
上手い言い方だとは思うが、ソ連が態度を硬化させるきっかけにもなったはず。
翌1947年、トルーマンは東欧諸国に地理的に近いギリシャとトルコを援助することを決め、共産主義封じ込め政策”トルーマン・ドクトリン”を発表する。
東側はそれに対抗し、同年ソ連を中心にコミンフォルム(国際共産党情報局)を設立。
同じ1947年、アメリカは西欧諸国への経済援助を決定し、”マーシャル・プラン”を発表。
それに対抗したソ連は同年、東欧諸国への経済援助のため”モロトフ・プラン”を発表し、49年にコメコン(経済相互援助会議)が創設される。
そして49年にはNATO(北大西洋条約機構)が、55年にはWTO(ワルシャワ条約機構)がそれぞれ結成され…と、東西冷戦の構造は確たるモノになって行くのでありました。
ところでBLUE OYSTER CULT(また出た!)に「The Marshall Plan」という曲がある。
はて、東西冷戦を歌った曲かしら、と思いながら歌詞を読んでみたら…意中の彼女をロック・スターに取られてしまったジョニーくんが、自分もギターを手にしてブイブイいわしたろうと一念発起する、という歌で。
この曲、歌詞の中に”The Marshall Plan”なんて言葉は一切出てこず。
元々のタイトルは「Here's Johnny」だったようで(なるほど”Here's Johnny”というセリフは曲中にも出てくる)、YouTubeでも曲名は「Here's Johnny」となっている。
https://www.youtube.com/watch?v=bd8sYxkvV5s
この曲、シングルは「Here's Johnny(The Marshall Plan)」というタイトルで出ていたのね。
(流石にシングルは持ってない…)
なんで「Here's Johnny」が「The Marshall Plan」なんてまったく関係ない曲名に…と思ったけど。
アレか、ジョニーがギターを手に入れて、マーシャル・アンプを鳴らすってことなんだな?
(歌詞には単に”a big amp”とある)
それを冷戦期の”マーシャル・プラン”にひっかけたと…。
BLUE OYSTER CULTが「The Marshall Plan」なんて曲名を付けるからには、冷戦について歌っているのでは…と思う根拠は、ひとつあった。
「The Marshall Plan」がB面1曲目に収録されたアルバム『CULTOSAURUS ERECTUS』(1980年:画像)には、A面に「Divine Wind」が入っている。
”あいつが本気で俺たちのことを悪魔と思っているんだったら、地獄に送ってやろうじゃないか”というサビの歌詞を初めて読んだ時、珍しくサタニズムっぽい内容?…などと思ってしまったのだが。
そうじゃなかった。
この曲、親米だったのが革命で厳格なイスラム教国となり、アメリカを悪魔呼ばわりするようになったイラン(=ホメイニ師)をディスる曲だったんだよな。
(そのことにはずっと後になって気付いた)
『ROCKET TO RUSSIA』なんてアルバムを出したRAMONESにも通じるような(?)メンタリティが、BLUE OYSTER CULTにもちょっとあったらしい、というのは、なかなか興味深い。
西海岸サイケに少なからず影響されながら、本人たちは東海岸の大学生からミュージシャンになった、いわゆるラヴ&ピースのヒッピーではなかった人たちだし、わからなくもない。
そう考えれば、ギターにつなぐマーシャル・アンプにアメリカ政府のマーシャル・プランをかけるセンスも、納得と言えるのかも知れない。
マーシャル・プランは東西の分断を招く一因となった一方で、西欧諸国の戦後復興に寄与し。
提唱したアメリカ国務長官ジョージ・マーシャルは、その後ノーベル平和賞を受けている。