MAGMA/SIMPLES(1998)

画像フランスが全宇宙に誇る異形の集団・MAGMA(いや、この人たちはフランスのバンドじゃなくて惑星コバイアのバンドだけど)が1971~74年にリリースしていた7inchから5曲を収録したミニアルバム。
ってか、MAGMAの7inch?
そんなモノが出ていたのか…と驚きつつ購入した1枚だった。

そりゃまあMAGMAだってアルバムを聴けば短い曲もあるにはあるが。
しかしMAGMAといえばやはり重厚長大というイメージが。
7inchで計2曲収録のレコードって、全然MAGMAのイメージじゃないよねえ。

ところが本当に出てたんですねえ、MAGMAの7inch。
ここに収録されているのは、1971年、72年、74年の3枚。
シングル3枚なら6曲入ってそうなもんだが、74年の「Mekanik Machine」のB面はアルバム『KOHNTARKOSZ』からのエディットだったそうで、そのせいでオミットされたか。
フェイドアウトで終わる、実際にはもっと長い曲だろうと思われる曲もあるけど、ともあれ2分半~5分の楽曲が並んでいる。

ともあれ、7inchでもMAGMAの異様さは存分に発揮されている。
1971年・72年の4曲は初期MAGMAに特徴的だったホーンズをフィーチュア。
(ベースはフランシス・モーズで、ギターはいない)
72年のシングルA面「Mekanik Kommandoh」をはじめとして、ラテン・タッチとさえ言える明るい(?)ムードを振りまきつつ、聴いているうちにどんどん混沌として来るのはやっぱりMAGMAだ。
基本的に歌モノと言えるだろうけど、コバイア語だしなあ(笑)。

個人的な聴きモノは、「Mekanik Kommandoh」のB面「Klaus Kombalad」。
フランソワ・カーンの柔らかなエレピに導かれて始まり、同じフレーズと“らららら”というスキャットを4分半繰り返すだけのバラード・ナンバー。
しかしコレが非常に美しい。
曲が進むにつれてやはり混沌の度合いを増すホーンズと、よく歌うベースも実に見事。
大好きな1曲。

一方、収録曲中で最も注目されたのは、一部で伝説的名曲などとも言われた「Mekanik Machine」だろう。
ヤニック・トップ(ベース)作曲の、暗黒へヴィ・ロック。
前半、ヤニックのベースこそ“どヘヴィ”だけど、それほど派手な曲じゃないよな、と思いつつ聴いていると。
ブライアン・ゴディング(元BLOSSOM TOES)の歪んだギターが大暴れし始める後半に至って、やっぱり混沌MAXに。
そう、ヤニックもさることながら、ブライアンの貢献度も大きいと思う。
あと、この時点ではステラ・ヴァンデ(コーラス)が参加しているのも効果大。

MAGMA全史の中では番外編かも知れないけど、意外と入門編にもなりうるのではと思ったりする1枚。


追記:
「Klaus Kombalad」はその後DJでよく回すようになる。

(2025.1.21.)

One Way Out

画像27日にグレッグ・オールマンが亡くなったという。
肝臓癌、69歳。

俺がロックを聴き始めた頃、THE ALLMAN BROTHERS BANDは既になかった。
しかし、間もなく再結成。
デュエイン・オールマン(ギター)はとっくの昔に世を去っていたが、結局復活したバンドは70年代までのバンドよりもずっと長く活動を続け。
バンドの活動歴を考えれば、再結成後に限らずデュエイン抜きの時代の方が遙かに長かったワケで。
それを一貫して引っ張り続けたのは、言うまでもなくグレッグ・オールマンのヴォーカルとキーボードだった。
俺の大好きな(というかみんな大好きだろうけど)「Jessica」も「Ramblin' Man」も、デュエイン亡き後の曲だ。

豪快そうなイメージでありながら、時に変拍子もぶち込んだある種プログレッシヴなアレンジ。
ところどころに香るジャズ的なテイスト。
欧米ではプログレに入れられることもあったというのは、よく聴けば意外と納得で。
実際、スウェーデンのPANTA REIあたりをはじめとして、THE ALLMAN BROTHERS BANDっぽく聴こえるプログレ/ジャズ・ロックのバンドはけっこうあったりした。

グレッグ・オールマンが闘病生活中というのはちょっと前から知られていて。
THE ALLMAN BROTHERS BANDも数年前からもう活動していなかったけど。
コレで本当に終わってしまった。
ブッチ・トラックス(ドラム)も、一足先にこの世を去り。


23日にはロジャー・ムーアも亡くなっている。
やはり癌。
89歳。

俺が映画館で初めて観たジェイムズ・ボンドは、ロジャー・ムーアだった。
そういう人は多いと思う。
(何しろ歴代のジェイムズ・ボンド役で一番多く出演してるからな)
歴代のボンドの中でも最もユーモラスな味を出していた人だが、そもそも本人もユーモラスな人だったらしい。

それにしても89歳とは。
『007 私を愛したスパイ』や『007 ムーンレイカー』の時点でもう50歳前後だったのか。


ひとつも二つも時代が終わる。
次々に終わる。
仕方ないけど、残念だ。


(2025.1.21.改訂)

ゲルチュチュ@新大久保EARTHDOM

画像27日。
三軒茶屋界隈をうろうろしたあと原宿に行って、辟易しながら人波をかき分け、神宮前3丁目のLUSSO CAFEで開催されている「ベスパ展」(31日まで)で、いろいろなイラストレーターや漫画家が描いたベスパのイラストを鑑賞しつつビールを飲んで酔っ払う。
すっかり出来上がったところで新大久保に移動。

EARTHDOMに着いた時点で、一番手の吉野大作は出番を終えたどころか既に帰ってしまっていたが。
いろいろな人に会っていろいろな話をする。
このブログでVAN HALENが取り上げられていることにびっくりしていた人がいたんだけど。
そんなもんでは済まされませんよ(笑)。

三番手、オートバックスから観る。
某自動車用品店から訴えられそうなバンド名(笑)。
いろいろなバンドで活躍するアキラ(ベース)を擁する4人組。
愚直なまでにシンプルなビートを刻み続けるドラムと太く重く自在なベースに乗せて、語りと叫びの間を行き来するヴォーカルと、フリーキーなギター。

トリ前にMONE¥i$GOD。
モトイ(ギター)加入後のこのバンドは、観る度に良くなっている気がする。
かつてよりもノリよくグルーヴする楽曲と演奏に乗せて、よく動くようになったカン(ヴォーカル)…のカリスマ性が増した気がするのは、俺だけじゃないだろう。
前任ギターの勇人に較べて上手いワケでもなく(笑)引き出しは相変わらずひとつだけなモトイだが、カンとの相性はとても良い。
いわゆるポスト・ハードコアとかに留まらない不思議な魅力が、今のMONE¥i$GODにはあると思う。
ってかモトイ、コーラスとれや(苦笑)。

そしてトリがゲルチュチュ(画像)。
先日の三軒茶屋HEAVEN'S DOORに続き、新曲「祝祭」で一斗缶破壊。
ファンキーな反復が持続するこの曲、ハッチ(ヴォーカル)には演っていて非常に楽しい曲らしく。
ハッチがステージで手拍子をするのは、初めて観たような。
しかし一斗缶をいわしまくるハッチのパフォーマンス、女性客には何故か不評。
口々に「いいからちゃんと歌えや」と(笑)。
中島みゆきカヴァー「狼になりたい」は、ここ最近のファンキーなアレンジ。
最後にはマイクを壊してしまい、「ああ、こりゃ弁償だな…」とか思ったが(苦笑)、メンバー的にはなかなか会心の演奏が出来た模様。
個人的にはこないだのHEAVEN'S DOORでのライヴに勝るモノではなかったものの。
ともあれ今回はゆうすけのギターを注意深く聴いていた。
彼のギターは、アンサンブルの中でどんどん存在感を増していると思う。


そうこうするうちにサクッと終電を逃し。
「鳥貴族」で4時まで飲んだ後、更に10時近くまで(!)ゴールデン街で飲む。
帰路は当然のごとく乗り越して、気が付けば熊谷…。


(2025.1.21.改訂)