Sole Survivor

画像少し前に、元メンバーの曲を何でもHAWKWINDで演っちゃうデイヴ・ブロック…という話をしたけど。
で、デイヴといえば、HAWKWINDのギタリストにしてリーダーであり、唯一残ってバンドを存続させているオリジナル・メンバー。
もっとずっと前に、オリジナル・メンバーが一人もいなくなっても活動を続けているバンドの話もしたが。
一方でHAWKWINDみたいに、ただ一人のオリジナル・メンバーによって転がり続けているバンドもまた多い。

もちろんRAINBOWあたりもそうと言えないこともないけど。
しかしRAINBOWまで行っちゃうと、そもそもオリジナル・メンバーが一人残って…じゃなくて最初からリッチー・ブラックモアのバンドだし。
それにずっと続いてたバンドじゃないしね。

パッと思い付くのはURIAH HEEP。
(まあこのバンドも一時解散同然だったみたいだけど)
オリジナル・メンバーで残っているのは、ミック・ボックス(ギター)だけ。
純然たるオリジナル・メンバーではないものの、噛みつくようなオルガンでバンドのサウンドを決定づけていたケン・ヘンズレーはとっくにいなくなり。
エネルギッシュなヴォーカルで初期の黄金時代を牽引したデイヴィッド・バイロンなんぞはもうこの世にすらおらず。
音楽性も随分変わった。
しかしミックが頑張り続けている間は、URIAH HEEPは続くんだろう。
今やURIAH HEEPといえば、笑顔でワウ・ペダルを踏むミックの姿しか思い浮かばん(笑)。

一方で、オリジナル・メンバー一人で存続させてたのが結局元の編成に戻ることになったのは、BLACK SABBATH。
このバンドも基本ずっと続けて、かなり長い間トニー・アイオミ(ギター)が一人で引っ張ってたけど、結局はオリジナルに準じる編成で有終の美を飾ることに。
まあ、トニー・マーティン(ヴォーカル)と一緒に続けてたら絶対とれなかっただろう全米1位も獲得したし、アイオミさんとしてはそれで良かったのかしら。

解散期間を挟みつつ、オリジナル・メンバー一人となった現在も活動しているのは、DEEP PURPLE。
イアン・ギラン(ヴォーカル)とロジャー・グローヴァー(ベース)が頑張ってるけど、もちろん二人ともオリジナル・メンバーじゃないワケで。
唯一のオリジナル・メンバーは、イアン・ペイス(ドラム)。
しかしURIAH HEEPと違うのは…ペイスさんが引退とかしても、ギランさんとグローヴァーさんがいればバンドは続くのではと思わされるところ。
うーん。

ところでKRAFTWERKはどうしとるかね?


(2025.1.30.改訂)

FOLLOW-UP Vol.168

画像はい、FOLLOW-UP最新号出ました。


今回は、DISK UNIONの新人発掘企画“DIVE INTO MUSIC.オーディション”第1回の最終合格アーティストとして、新レーベルdim upから1stアルバム(あと7inchも!)をリリースする2組の若いバンドにインタヴューしました。
unizzz...(“うにず”と読みます)と、ペドラザ。
unizzz...は京都を、ぺドラザは東京を拠点に活動中。
ペドラザは2015年結成で。
unizzz...に至っては昨年結成、まだ1年くらいしか活動していないという。
シンセを前面に出して、ノイジーでアヴァンギャルドな曲とJ-POPみたいに聴こえるかわいらしい曲の間を行き来するunizzz...。
いわゆるグランジ/オルターナティヴ以後のギター・バンド然としつつ独自な歌詞を聴かせるペドラザ。
若い2バンドの発言、是非お読みください。


他にもいろいろ。
3rdアルバムをリリースするD・O・Tのインタヴューとか。
(インタヴュアーは行川和彦さん。非常に良いインタヴュー)
HUSKING BEEのインタヴューとか。
(インタヴュアーは遠藤妙子さん)
そしていつもの連載陣、「果樹園残酷物語」「ベッド・インのそこまで挿入れて委員会!?」「白痴淫乱不倫火山」「異常メタル愛好癖」も。
「異常メタル愛好癖」、今回はCELTIC FROSTの『COLD LAKE』!
あっ、デイメア・レコーディングスのページがカラーになってる。

あと、今月からDISK UNIONの月間チャートが載るようになってて、興味深い。
パンクとメタルと和モノの3部門。
へー、こないだ四谷OUTBREAKでDJやってた子のいる偶想ドロップが和モノの2位に入ってる。


FOLLOW-UP Vol.168、DISK UNION他各所で24日より絶賛配布中。


追記:
偶想ドロップはその後解散して爆裂女子に移行。
それも解散してメンバーは散り散りになっていたが、先日爆裂女子は再結成を果たしている。

(2025.1.29.)

SUFFRAJETT(2003)

画像コレはなかなかびっくりするジャケット。
ジャケットなしのプラケースに収められたCD-R…と見せかけておいて、実はこういうデザインのジャケットなのだった。
もちろん中身はプレスのCD。

ニューヨークで2002年に結成された男女二人組の1stアルバム。
バンド/ユニット名は多分、デイヴィッド・ボウイの「Suffragette City」からとったんだろう。
メンバーはニューヨーク出身のシミことシマンサ・サーネイカー(ヴォーカル、ヴァイオリン)と、シカゴ出身のジェイソン・チャスコ(ギター他)。
シミは半分かそれ以上黒人の血が入ってると思われる、コケティッシュな美人。
ジェイソンはリズ・フェアと仕事していたことがあるそうで。

で、音を聴いてまたびっくりした。
歪みまくったギターに乗って飛び出す、シミの鼻にかかったセクシーな歌声。
日本人のシンガーで言うと、Charaなんかに近い声質。
ディストーションの利いたギターを前面に、ガレージやグランジ/オルターナティヴの影響を感じさせるRAWでナスティな音質ながら、楽曲そのものはポップで、キャッチーなフックを持つ。
グラム・ロックっぽさもアリ。
サンクス・リストにCHEAP TRICK(あとピーター・クリス)の名前があるのに、何となく納得。
しかも随所でシミのヴァイオリンが響く。
“もしコレが本当に愛なら、随分と過大評価されていると思うの”(「Love Me More」)、“ドラッグはあなたをもっと気持ち良くしてくれる? 今夜アタシを愛してくれるの?”(「The Drugs」)なんて歌詞もグッとクる。
ともあれかなりのハイクォリティ。
「コレは、売れるんじゃないか?」と思った。

実際には、残念ながらそれほど売れなかった様子。
その後シミとジェイソン・チャスコの二人はリズム・セクションを迎えて、SUFFRAJETTは4人編成のバンドとなり。
2007年には2ndアルバム『BLACK GLITTER』をリリース。
バンドはニューヨークからシカゴに拠点を移し、現在も活動を続けている模様。
もっと話題になってもいいバンドだと思うんだけどな。


追記:
シミ・サーネイカーはジャマイカ系のハーフで、1979年生まれ。
このアルバムの時点で24歳だったことになる。
彼女は00年代末からシミ・ストーン名義でソロ活動を開始。
(SUFFRAJETTは解散した模様)
ナタリー・マーチャントやデイヴィッド・バーンのバックで歌ったりもしていたらしいが、彼女自身がもっと注目されてイイはずだと思う。
そんな彼女も今年46歳になるのだという。

(2025.1.29.)