
何故か偶然、こういうチョイスになってしまっている。
スタジオ作にも良いモノはたくさんあれど、ライヴでこそ本領を発揮するイギー・ポップ。
THE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESでもソロでも、ブートまがいのライヴ音源はとんでもない数が出ているが。
しかし、ソロ名義でのオフィシャルなライヴ盤は何故かコレだけ。
どうしてなんでしょう。
1977年に立て続けにリリースされたソロ・アルバム『THE IDIOT』と『LUST FOR LIFE』に伴う北米ツアー。
77年3月21日クリーヴランド、3月28日シカゴ、10月26日カンザス・シティでのステージからまとめられたライヴ盤。
確か札幌のU.K.EDISONで購入したと記憶。
『THE IDIOT』よりは後だったと思うし、『LUST FOR LIFE』よりは前だったはず。
3月はリッキー・ガーディナー(ギター:元BEGGAR'S OPERA)とデイヴィッド・ボウイ(キーボード)。
10月はステイシー・ヘイドン(ギター)とスコット・サーストン(キーボード、ギター、ハープ:元IGGY AND THE STOOGES)。
リズム・セクションは『KILL CITY』(77年)に参加していたトニー・セイルズ(ベース)とハント・セイルズ(ドラム:元PARIS)の兄弟。
つまり10月のパーソネルは限りなく『KILL CITY』に近いのである。
A面1曲目、絶叫と共にスタートする「T.V.Eye」でぶっ飛ぶ。
以後、THE STOOGES/IGGY AND THE STOOGES/ソロをまたいだ禁じ手なしのセットリストが炸裂。
(この後のSONIC'S RENDEZVOUS BANDを迎えたツアーでは、フレッド”ソニック”スミスの意向で曲目が大きく変わる)
ラフな録音、タフな演奏。
抑えた感触でSTOOGES時代との違いを強調していた『THE IDIOT』の曲でさえ、ここでは荒々しくも猛々しく演奏される。
やっぱりライヴでのイギー・ポップは違うのだ。
ひたすらにエネルギッシュでエキサイティングで暴力的。
『THE IDIOT』『LUST FOR LIFE』をろくにプロモーションしなかったアリスタとの契約消化のために手っ取り早くライヴ盤をリリースしたと言われるが、内容は最高。
1972年にオリンピック・スタジオで録音されて、お蔵入りになっていた「I Got A Right」が、ここで初めてアルバムに収録されたというのもデカい。
(アレンジはかなり遅くなってるけど。あと、シングルとしてはIGGY AND THE STOOGESでの録音がこのちょっと前にリリースされている)
ギタリスト二人はロック史上では限りなく無名に近いが(?…ステイシー・ヘイドンはデイヴィッド・ボウイの“STATION TO STATION TOUR”に参加。その後はプロデューサーに転向した様子)、二人とも過不足ない働き。
最後は「I Wanna Be Your Dog」でシメる。
ともあれ、映像作品はいろいろ出ているのに、改めて…イギー・ポップの公式なライヴ・アルバムは何故コレだけなんだろう。
CD化に際してボーナス・トラックが追加されるでもなかったし。
オリジナル・リリースからもうすぐ40年経つ。
(2025.2.19.改訂)