退く人たち

画像ちょーっと仕事が首締まってきたんで、来月にかけて休みがちになりそうなこのブログですが。

日馬富士、引退かー。
同じモンゴル出身の朝青龍に続いて、横綱が“不祥事”で引退するのは戦後4人目という。
これまた朝青龍に続いて暴力沙汰・警察沙汰だ、仕方ないと言えば仕方ない。
国技とはいえそもそも格闘技をやる人間なんてのは荒ぶるチカラビトだ、土俵の外でその力を振るうことが絶対ないなんて保証はない。
今回も、「昔はこの手の暴力沙汰は珍しくなかった」なんて論調もあるが。
残念ながらと言うべきか、コンプライアンスにうるさい21世紀、昔の話はもう通用しない。
「横綱が説教する前でスマホいじるなんて」という声もわかる。
しかし暴力に訴えたらアウトなのだ、少なくとも今は。

白鵬のような、絶対的な強さを誇る横綱ではなかった。
しかし軽量を補って余りある速さと上手さで魅せた力士だった。
既に全盛期は過ぎ、あと何年やれるかという段階だったのは間違いない。
しかしキャリア半ばでの退場と相成った。
仕方ないとはいえ、残念だ。


HEREのドラマー、宮野大介がバンドを脱退。
重度の中耳炎と聴力低下でライヴ活動から離脱したのが先月。
「今、HEREという機関車は超ハイテンションな汽笛を鳴らし、眩いばかりのカラフルな蒸気を吹き上げ、前だけを見てエネルギッシュに爆進しています。僕は、この前進を自分の力不足により、寸分も遅れさせたくないと思うようになりました」
「結論、僕はここでHEREというバンド活動から脱退し、バンドメンバーの躍進と成功を全力で応援する者になることと致します」
とのこと。

宮野大介とは、インビシブルマンズデスベッド以来10年以上の付き合いになる。
インビシブルマンズデスベッド以降、ドラムだけでなくバンドのマネージメントを一手に引き受けていた宮野。
マネージャーとして残るのでは…と思っていた。
しかし、引き継ぎをして、完全に身を引くのだという。
残念だが…HEREと宮野の今後に幸あれと思うばかりだ。

そのHERE、今日は渋谷CLUB QUATTROでワンマン。
行けんかった…。


(2025.3.10.改訂)

NEIL YOUNG & CRAZY HORSE/ARC(1991)

画像このブログを始めて間もない頃に、ニール・ヤングのゲフィン時代の編集盤『LUCKY THIRTEEN』を紹介したことがあったが。
https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_919.html
俺が同時代のニールの活動を一生懸命聴いていたのは、ゲフィンを離れてリプリーズに移籍してからちょっとの間、つまり90年代前半だった。
ロックのヒストリー本や名盤カタログの類に必ず載っているような昔のロッカーが、ゲフィン時代の低迷(?)からは信じられないような気合の入った作品を作ってバリバリ現役でやっているのに目を見張った。
あのSONIC YOUTHを前座に従え、PEARL JAMとはアルバムを共作し。

特に1991年のライヴ盤『WELD』は愛聴していた。
アメリカ初回盤はCD3枚組『ARC-WELD』としてリリースされ。
しかし日本では『WELD』2枚のバラ売り。
そしてディスク3と言うべき『ARC』は国内発売されなかった。
(せめて『WELD』を2枚組で出すべきだったのでは…)

そこで、輸入盤の1枚モノで購入したのがこの『ARC』。
1991年の“Weld Tour”から、曲のイントロやエンディングや曲間などに聴けるノイズを編集した全1曲35分。

キャリアのあるロッカーがノイズにアプローチしたアルバムとしては、ルー・リードの『METAL MACHINE MUSIC』(1975年)がまず挙げられるだろう。
しかしフィードバック・ノイズのみで作られた『METAL MACHINE MUSIC』とは違い、ニール・ヤングとCRAZY HORSEとのいつもの共同名義でリリースされた『ARC』には、ギターの他にベースもドラムもキーボードも、そしてヴォーカルも入っている。
(すべて断片とはいえ)
そして、後にルー自身が「冗談だった」と語ったこともあるらしい『METAL MACHINE MUSIC』に対して、『ARC』からはニールのマジな激情が伝わる。

『ARC』を制作するに際しては、サーストン・ムーアからの助言があったという。
当時“グランジの祖”と呼ばれた男が、グランジの兄貴分との会話から生み出したアルバム。
「Like A Hurricane」や「Love And Only Love」の断片が聴こえる。
唸りを上げるギターのフィードバックと、蠢くようなベース、乱打されるドラム、そして歌のかけらが、曲の輪郭をおぼろげに垣間見せるくらいのところで切り出され、次々に放り出される。

このアルバムについて、ニール・ヤングは“白人のラップ”と語ったらしい。
ほとんど意味不明だが(笑)、黒人のラップ/ヒップホップの対極に位置する白人の白人による万人のための音楽、という意識があったのではと思われ。
更にはジミ・ヘンドリックスへのオマージュや、『WELD』にも聴かれた当時の湾岸戦争に対する怒りもあったのではと。

まあ多分、音楽でもなんでもない、ただの騒音にしか聴こえない…という人の方が多いであろうことは仕方ないだろう(笑)。
しかし、ニール・ヤングのハードなコアを凝縮した1枚がコレだと、俺は思う。
ハードコアなニール。


(2025.3.10.全面改訂)

THE 5.6.7.8's 30th Anniversary Series 45s

画像THE 5.6.7.8'sの結成30周年(!)を記念する7inch、2枚同時リリース。
どちらも限定300枚・ナンバリング入り。
いやー、30年かあ。
内容の方もそれぞれ興味深いモノになっております。









「I Walk Like Jayne Mansfield / Battle Without Honor Or Humanity」(画像)

第1弾。
A面は、以前にもシングルとしてリリースされていた「I Walk Like Jayne Mansfield」。
1994年の1stアルバム『THE 5.6.7.8's』に収録されているのと同一のテイクだが。
現在では、ジェーン・マンスフィールドのドキュメンタリー映画『MANSFIELD 66/67』のサウンドトラック収録曲、という新たな肩書きを得てもいる。
驚かされたのはB面で、THE 5.6.7.8'sも出演した映画『KILL BILL』のテーマ…というか、『新・仁義なき戦い』のテーマ曲である布袋寅泰「Battle Without Honor Or Humanity」のカヴァー。
しかも新録!
(2014年のアルバム『TANUKIGOTEN』以来か?)
コレがリンク・レイ風にアレンジされた、実にRAWでトラッシーなヴァージョンに仕上がっていて。
痛快。
エンディングに聴こえる「ヤッチマイナ!」という叫びも超ナイス。
ガレージ好きなら、オリジナルよりカッコよく聴こえるだろう。
それにしても、5.6.7.8'sのレコードに[Hotei]というクレジットを見る日が来るとは…。


「The Barracuda / Movin'」

第2弾。
こちらのA面は、これまたシングルやEPでお馴染み「The Barracuda」…と思ったら。
RUDE BONESのHIROSHI(トロンボーン)、MABO(ピアノ)、うつみようこ(コーラス)他参加による、2005年録音の未発表テイク。
既発表テイクよりも賑やか、とても楽しい1曲に仕上がっている。
こんなのが録音から12年も埋もれていたとは。
そしてB面は、「Movin'」(というか“太陽の彼方”)、2016年スペインでのライヴ・ヴァージョン。
ライヴをそのまま切り取ったようなラフなサウンド、オーディエンスの熱狂ぶりも生々しく伝わるテイクとなっている。
もちろん日本語詞で歌われています。


1994年、2005年、16年、17年のTHE 5.6.7.8's(基本的には全然変わってない)が楽しめる好リリース。
全国流通はなくて、TIME BOMB店頭と通販、そしてバンドの物販でしか扱われないようなので、興味持った人は入手急がれたし。
2枚とも25日リリース。


(2025.3.10.改訂)