NEIL YOUNG/MIRROR BALL(1995)

NEIL YOUNG MIRROR BALL.jpg皆様御存知の通り、名義こそニール・ヤングのソロながら、PEARL JAMとの合体で生まれた1枚。

カート・コベインの遺書に歌詞を引用“されてしまった”ニール・ヤングと、カートと同時代のシアトルで活動して“置いて行かれてしまった”PEARL JAM。
必然としか言いようのない邂逅だった。

契約の関係だろうが、PEARL JAMの名前は何処にもクレジットされていない。
エディ・ヴェダーが1曲で作詞を手伝った以外は全曲がニール・ヤングの作詞作曲。
レコーディングに参加したのはニール・ヤング(ヴォーカル、ギター、オルガン)、マイク・マクレディ(ギター)、ストーン・ゴッサード(ギター)、ジェフ・アメン(ベース)、ジャック・アイアンズ(ドラム:当時はまだPEARL JAMの正式メンバーではなかったはず)、エディ・ヴェダー(バッキング・ヴォーカル)、そしてプロデューサーのブレンダン・オブライエンもギターを弾き。
(「I'm The Ocean」などで聴ける印象的なピアノもブレンダンによるモノ)
ギターだけで4人もいる一方、エディの参加が最小限にとどめられているのはやはり契約絡みか。

オーヴァーダブなしのスタジオ・ライヴ一発録りで、制作期間は2週間足らず、レコーディング自体は4日で行なわれている。
一気呵成に仕上げた勢いが、完全にプラスの方向のみに作用。

制作期間からして曲作りもあっという間だったはずなのに、インスタントな感じは全くせず、いずれも粒ぞろい。
スローでヘヴィな「Song X」(サビがちょっとロシア民謡っぽい)から始まるが、「Big Green Country」をはじめとしてニール・ヤングの曲としてはファストな感じの楽曲も多く、グランジというよりはむしろパンク。
(いわゆるパンク・ロック的な楽曲はないとはいえ)
重層的なギターが分厚くヘヴィに絡み合い。
ジャック・アイアンズのヘンテコなオカズもユニーク。
一方でラストの「Fallen Angel」はニールのオルガン弾き語りでしめやかに終わる。

この頃まで、CROSSBEATなんかに載っているような(?)当時の現行の第一線のバンド(ROLLINS BANDとかFISHBONEとかMINISTRYとか)をリアルタイムで追いかけていたのが、その後興味の中心がサイケデリックとガレージに移り。
(もちろんMOTORHEADとイギー・ポップとBLUE OYSTER CULTはずっと追いかけ続けていた)
PEARL JAMのアルバムもあらかた処分してしまったのだが。
このアルバムは今聴いてもグッとクる。
(もちろん手元にあるニール・ヤングのアルバムはどれを聴いてもグッとクる)

EL ZINE VOL.39

EL ZINE VOL.39.pngはい、EL ZINE最新号です。

今回(遂に連載40回)はリチャード・ストレンジ/DOCTORS OF MADNESSについて書きました。
EL ZINE的には「誰よそれ」となる読者様が多いかも知れないけど、このブログを読んでるような人なら御存知の方も多いことでしょう。
DOCTORS OF MADNESSについては初来日時にDOLLで一度インタヴューしていて、その後も2ページの記事を書いたことがあった。
今回はリチャードのソロ・キャリアにも触れ、9月に来日した時のライヴ・レポートもアリ。
皆様、是非お読みください。

ちなみに9月10日早稲田ZONE-BでのDOCTORS OF MADNESSのセットリストは
Blood Brother
Doctors Of Madness
Triple Vision
Mary And Joe
So Many Ways To Hurt You
This Kind Of Failure
Midge's Cure
Suicide City
Walk Of Shame
Sons Of Survival
Damn
Sour Hour
Make It Stop
Waitin'
Kiss Goodbye Tomorrow
Into The Strange
の16曲。
(記事本文では間違って15曲と書いちゃってますが)


今回のEL ZINEは“FASHION PARADE”と題して、パンクな服屋さんのインタヴューとかを中心に。
他にもZYMOTICSの“後身バンド”ともいうべきVODOVOのインタヴューとか、1stアルバムをリリースしたSKITKLASSのインタヴューとか、相変わらず読み応えアリです。

EL ZINE VOL.39、31日より発売。

渋谷で解説

KIMG0264.JPGはい、28日(月)「音楽酒場交遊録Vol.3」@渋谷SHIFTY、御来場の皆様ありがとうございました!
今回は“LEGEND ROCK SP”ということで、DJ陣の選曲もバンドのカヴァー曲もそれぞれに工夫を凝らしたクラシック・ロックの宴に。

主催のDJ YOUに続いて、ライヴの一番手は楽羅。
女性ヴォーカル兼アコースティックギター(まだ大学生という)とエレキギターの二人組。
THE CARDIGANSとジャニス・ジョプリンの2曲。

DJいちごとTARUのB2Bに続いて、ライヴ二番手、カリんちょ落書き。
アコギ弾き語り。
THE WHOとTHE BEATLESのカヴァーに、オリジナル。

町田の帝王ATSUYAとTAKUYAのB2Bに続いては、環城英市。
ソロ名義になっていたが、実際はエレキ弾き語りとジャンベの二人組で出演。
いきなりTHE DOORS「Crystal Ship」に始まり、PINK FLOYD「Lucifer Sam」やTHE STRANGLERS「Golden Brown」、TELEVISION「Guiding Light」といった渋いカヴァーを披露。

あっという間に俺の出番。
今回は10年前に大塚Deepaで開催された「WHO NIGHT VOL.2」で共演したTOWNZEN(当時はTOWN禅)の前ということで、その時のセットに近いことをやってみた。
“THE WHOの前と後”と題して、曲をかける合間に解説を挟むスタイル。
以下セットリスト、ここでも簡単な解説付きで。


まずハチャメチャなドラムやロック・オペラの制作でTHE WHOに先駆けていたTHE PRETTY THINGSを1曲。

Road Runner/THE PRETTY THINGS

ジミ・ヘンドリックスがギターを燃やしたのもTHE WHOへの対抗心だったことなど、カヴァーにとどまらないWHOの影響を語りつつ、現代音楽畑出身のジョン・ケイルがロック・バンドでベースを弾くにあたって参考にしたのはジョン・エントウィッスルではなかったか?…ということで1曲。

White Light/White Heat/THE VELVET UNDERGROUND

そしてカヴァーを2曲。

Substitute/SEX PISTOLS
The Kids Are Alright/EDDIE & THE HOT RODS

カヴァーにとどまらず、THE WHOが演奏面で与えた影響について、再びベースに着目。

Leaving Here/MOTORHEAD
No More Heroes/THE STRANGLERS

そしてTHE WHO「My Generation」がなければこの曲は生まれなかったのではないかと。

Blank Generation/RICHARD HELL & THE VOIDOIDS

ここでジョン・ケイルがジョン・エントウィッスルから受けた影響を検証。

My Generation/PATTI SMITH

↑ジョン・ケイルがベースを弾くライヴ・ヴァージョン。
最後に番外編として、曲自体はほとんどJ-POPなのに、アレンジだけ完全に70年代前半のTHE WHOみたいな1曲でシメ。

ボクらのセカイ/尾苗愛


イヴェントの進行が巻きだったので、予定よりちょっと長くやりました。
たまにはこういうのもアリじゃないかと。

そしてライヴのトリはTOWNZEN(画像)。
アコースティックギターにエレキベース、カホンというアンプラグド編成。
以前観たGENESISトリビュート・バンドGENEしげ同様、ヴォーカリストが外国人なので、日本人だけの洋楽トリビュート・バンドにはない“それっぽさ”が。
(地の声はそんなに似ているワケでもないのだが、声を張ってシャウト気味になるとロジャー・ダルトリーにかなり似た声だった)
「Substitute」や「Summertime Blues」などの有名曲あり、「Behind Blue Eyes」のような渋い選曲あり。
最後は「Won't Get Fooled Again」。
アンプラグドながら、いかにもTHE WHOらしさ溢れる迫力のライヴだった。
サムライサムのギター・プレイがピート・タウンシェンドのそれを相当研究したモノであることもよく伝わった。

最後はDJ YOUの選曲で場内大盛り上がり。
大変楽しいイヴェントでございました。


11月はDJお休みです。
12月のDJの告知はまた改めて。