REQUIEM FOR THE INDIFFERENT

ANGEL WITCH.jpg相変わらず先の見えない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうかね。

GOBLINの来日は延期に。
(やっぱりか…)
ANGEL WITCHの来日も再延期に。
THE CHEMICAL BROTHERSの来日は中止に。

DJでお世話になっていた町田TRAFALGARが閉店とのこと。
(コロナ禍のせいかどうかは知らないのだが)
懸念していた通り、活動をやめてしまう地下アイドルも出始めた。
そして、ROYAL ALBERT HALLはこのままだと来年3月までに破産するという…。

玉ノ井部屋で集団感染が発生し、先場所は部屋の全員が休場。
アメリカのディズニーランドは28000人削減するのだそうで。

そこに、新型コロナウイルスが空気感染するらしいとの話まで。
死亡者は世界で100万人を超え。
そのうち日本は1500人余りだから随分少ないものの、コロナ禍関連の失職者は国内で6万人を超えているという。

一方で2月に来日していたテリー・ライリーが帰国出来なくなって、そのまま日本に移住してしまったとか。
(それも凄いな…)

否応なしにすべてが変わる。
ともあれ日々は続く。
”自助・共助・公助そして絆”とか言ってる新政権は如何に…。

次々逝ってしまう

URIAH HEEP.jpgその後も訃報続々の日々。

8月28日に岸部四郎が亡くなっていたという。
拡張型心筋症による急性心不全。
71歳。
元ザ・タイガースというよりも、やはりタレントとしての姿が記憶に残る。
「西遊記」の沙悟浄や、「ルックルックこんにちは」の司会。
それに「遠山の金さん」やヨーグルトのCM。
もう随分長いこと、体を悪くした人、というイメージのままだったが。
タイガースのステージに車椅子で登場したのがもう7年前か。

今月11日にトゥーツ・ヒバート。
新型コロナウイルスによる感染症だったという。
77歳。
TOOTS & THE MAYTALS「Pressure Drop」はDJでよく回したし、回せばいつも盛り上がった。
何よりもレゲエというジャンルはMAYTALSの「Do The Reggay」(1968年)から始まったのだ。
またコロナが伝説的なミュージシャンを連れ去ってしまった。

19日にリー・カースレイクが。
前立腺癌が転移し、もうかなり前から末期的な状態と伝えられていたので、正直言って遂にこの日が来たかという感じではあった。
73歳。
オジー・オズボーンのソロ初期のドラマーとしても知られるが、何しろ脱退と復帰を挟むURIAH HEEP在籍は通算して約34年間。
唯一のオリジナル・メンバーとなったミック・ボックスと並んで、URIAH HEEPの黄金期も低迷期も経験した男だった。
パワフルではあるものの、特徴あるプレイをしたり名ドラマーと呼ばれるような存在では決してなかった…とはいえ、間違いなく彼こそがURIAH HEEPのパワーハウスだったと言える。
大好きなアルバムもトホホなアルバム(?)も、クレジットを見ればほとんど彼が叩いていたのだから。
(なんだかんだでDEEP PURPLEよりもURIAH HEEPの方が好きかも知れない)
確執のあったオジーとも晩年に和解出来たのは本当に良かったな、と思う。

リー・カースレイクとは逆に、デイヴ・カスワースの訃報には本当に驚かされた。
亡くなった日も死因も公表されていない。
60歳。
3月に来日していたじゃないか。
以前紹介したLily & Gen with Friendsのジョニー・サンダース・トリビュート盤『An Imperfect Life...Tribute to Johnny Thunders』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202006article_21.html)が、ひょっとして生前最後のレコーディングになってしまったのだろうか。
ジョニーが亡くなって来年で30年になる。
そしてジョニーを知る人たちもどんどん鬼籍に入っていく…。

22日にはロード・ウォリアー・アニマル(アニマル・ウォリアー)ことジョセフ・マイケル・ロウリティネス。
死因は不明。
60歳。
ロード・ウォリアーズが初来日した時は、びっくりした。
その見た目とその強さに。
しかしホークも既に亡く。
遂にアニマルも逝ってしまった。

そして26日に加部正義も。
多臓器不全。
71歳。
岸部四郎と同い年だったか。
JOHNNY, LOUIS & CHAR/PINK CLOUDは80年代から聴いていたが、ザ・ゴールデン・カップスは「長い髪の少女」しか知らず。
加部在籍時のアルバムを聴いたのはずっと後になってからだった。
ぶっ飛ばされた。
「なんだこのベース!」
60年代からこんなプレイをしていたとは。
同時代の世界的なレベルで、間違いなくトップクラスのベーシストだった。
しかし岸部同様、随分前から健康ではない印象のまま、世を去った。
ジョニー吉長ももういない。
Charには長生きしてほしいモノだ。


予想されたこと、仕方のないこととはいえ、改めて思うとリー・カースレイクの逝去はやっぱり残念だなあ。
ハード・ロックを聴き始めた頃、URIAH HEEPは本当に大好きだったから。
名盤『DEMONS AND WIZARDS』(1972年:画像)当時のメンバーのうち、半分以上がもうこの世にいない、ということになる。

V.A./KRAUT-BLOODY-RAGEOUS!(200?)

KRAUT BLOODY RAGEOUS.jpg随分前にBARN HOMESで買ったオムニバス。
タイトル通り、いわゆるクラウト・ロックを集めたモノ。
そしてサブタイトルは”Thee Fourth Incarnation Ov Thee Obscured Hungry Kraut Daddy Demon”。
このアルバムで初めて名前を知ったようなバンドばかり、そして有名バンドでもオリジナル・アルバムに入っていないような、とにかくレア度重視な1枚になっている。
(ドイツで活動していた国外のバンドもあり)

THE RAVERS「Turn In」からスタート。
RAVERSは1965年~69年にかけてアルバムを8枚も出していて、当時のハンブルクでは知られていたバンドらしい。
65年の1stアルバムでは単なるビート・グループで、R&Rのカヴァーばかり演っていたのが、その後サイケデリックに傾倒。
69年のアルバムからの「Turn In」では曲名からしてもティモシー・リアリーに感化されたと思われるドラッグ・ミュージックとなっている。

BLACKBIRDS 2000はプットリンゲン出身でアルバムを2枚出しているTHE BLACKBIRDSが改名して1970年にリリースした、改名後で唯一の、そして最後の7inchから。
けっこうワイルド。
続くJO HAMANNは「Wild Woman」という曲名ほどワイルドじゃなくてユルい。
73年の唯一の7inchからの楽曲だそうで、ライナーノーツには”ガレージでVUがCANに出会ったようなサウンド”とあるが、どうかなー。

HABOOBはわりと有名だろう。
AMON DUUL Ⅱへの参加で知られるジミー・ジャクソンら、ドイツ在住の外国人によるバンドで、1971年のアルバムからの楽曲。
BIG BERTHAもドイツ人のバンドではなく、デイヴ・ボール(ギター)、デニー・ボール(ベース)、コージー・パウエル(ドラム)ら英国人メンバーによる出稼ぎバンド。
70年の7inch。
ドイツっぽさもサイケっぽさもほぼなく(曲名は「Munich City」という)、英国ハード・ロック黎明期な感じの音。
71年にバンドが解散した後、73年には同じような顔ぶれであのBEDLAMを結成。

BARNEY WILEN & HIS AMAZING FREE ROCK BANDは、マイルズ・デイヴィスとの共演でも知られるフランスのサックス奏者バルネ・ウィランが何故かドイツでやっていたバンド。
バルネ以外のメンバーはブリジット・フォンテーヌのバックも務めたフランス人マリウス・ロレンツィーニ(ギター)、GEORGES GRUNTZ SEXTETやMANFRED SCHOOF QUINTETへの参加でも知られるギュンター・レンツ(ベース)、DON CHERRY QUARTETやROLF+JOACHIM KUHN QUINTETなどに参加していたイタリア人アルド・ロマーノ(ドラム)、KLAUS DOLDINGER QUARTETやPASSPORT、BRAINTICKETなんかで活動したヴォルフガング・パープ(ドラム)、それにヨアヒム・キューン(キーボード)という錚々たる顔ぶれ。
1968年の唯一のアルバムから。
バンド名通り、フリー・ジャズとロックを統合したアプローチを狙っていたようで、ベースの反復リフの周りで各楽器が暴れまくる。
こんなことやっていたのか。

CANNOCKは1980年と82年にアルバムをリリースしていて、その頃はニュー・ウェイヴに転じていたようだが、活動歴は長く、ここに収録されているのは74年の7inchのB面曲。
変拍子リフに乗せて、甲高くて細い声質のヴォーカルが叫ぶ、サイケにもプログレにもハード・ロックにもなり切れない感じの曲。
THE CT FOUR PLUSはシングル4枚だけ出しているバンドで、1969年の2ndシングルのB面曲を収録。
歪んだギターをフィーチュアしたインストゥルメンタル。
STUFF CARPENBORG AND THE ELECTRIC CORONAは1970年にアルバムを1枚リリースしているバンドで、ちょっと中近東風味を醸し出すとりとめのない演奏はいかにもドイツのサイケという感じ。

MIKE LEWIS & CONNY PLANK名義でここに収録されている「Voodoo Woman」は、実際にはマイク・ルイスのソロ名義の1stアルバム(1971年)の収録曲だが、実際にコニー・プランクが参加して制作されている。
マイクは70年代前半にドイツで活動していたというカナダ人キーボーディストで、なるほどサイケデリックというよりもフツーにオルガン・ロックという感じ。

DRUMは1970年(76年という話も)に7inchを1枚だけ出しているバンドで、サイケデリックというよりもいかにも60年代的なギターとオルガンを前面に出したロック。
76年だとしたら古臭過ぎる。
THE SPEEDERSは66~70年にかけてシングルを6枚出しているバンドで、ここに収録された「I Can't Get It」は70年に録音されて未発表となった最後の音源だという。
暑苦しいヴォーカルが特徴的だがやはりサイケという感じではなく、このオムニバスがジャケットほどサイケデリックな内容ではなく、とにかくレア度偏重であることが改めてよくわかる。
(確かに何処にもサイケとは書いてなくて、”オブスキュアなクラウト・ロック”と銘打っているワケで)

KARL LENFERS & PETER JANSSENSはこの連名で2枚のアルバムを出しているが、ペーター・ヤンセンスという人はソロ名義で30枚ほどもアルバムを出している、西ドイツでは有名なミュージシャンらしい。
(”サクロ・ポップ・ミュージカル”なるジャンルの創始者なのだそうで)
ここに収録されている「Jesus And The Rockesr」は1972年の連名作の収録曲で、カール・レンファースは作詞を担当。
えらくシアトリカルな楽曲で、この曲はヴォーカルじゃなくて語りが入っている。

ANDORRAは1972年に結成されたバンドだが、アルバムはリリースしておらず、ここに収録された「On My Way」はオムニバスの収録曲。
パーカッションをフィーチュアした、ラテン・ロックとハード・ロックの中間みたいな音。
JAMは70年に自主制作の7inchを1枚だけリリースしている超オブスキュアなバンド。
フルートをフィーチュアした、どんよりとしたアシッド・ロック。

ドン・ポーリンは1929年フィラデルフィア生まれの作家/シンガーソングライターで、60年代半ばにドイツに移住して、主にフォークを演っていた人だという。
70年代半ばに帰国するまでに多数のアルバムを残していて、ここに収録された「Don't Forget To Love」を含む70年のアルバムではEMBRYO他に参加していたジークフリート・シュワブがアレンジを担当している。
ドンはこの時点で41歳だが、なかなかカッコいいサイケ・ロックになっているのだった。

TUSKは1970年に7inchを1枚だけ残しているスイスのバンド。
DEEP PURPLEに対するスイスからの回答と呼ばれたとか呼ばれないとか。
実際『IN ROCK』当時のDEEP PURPLEに影響されたらしいが、むしろ初期のTHE AMBOY DUKESあたりを思わせたりもするハード・ロック。

そして出ましたTHE MONKS!
しかし聴いたことあるようなないような曲。
なんと、1965年に録音されてアセテート盤1枚しか存在しないという超激レア音源。
その後彼らのアルバムに収録される「Pretty Susanne」の原型。
「Pretty Susanne」よりヘヴィでダウナー。

続いてCANが入っているのだが、コレも聴いたことない曲。
この「The Million Game」というのは、1971年のTV番組のテーマ曲なのだという。
サックスやフルートをフィーチュアしたスピーディーな演奏はあんまりCANっぽくないのだが、エフェクトや編集はなるほどCANだ。

最後にAL CAPONEというバンドが入っている。
1972年(75年という話も)の唯一のEPの収録曲。
フルートと素人臭いヴォーカルをフィーチュアした楽曲と演奏はCANNOCKやDRUMあたりと同様、サイケにもプログレにもハード・ロックにもなり切れない感じの中途半端さ。

さて全20曲聴き終えた…と思ったら、最後の最後にヴォコーダーによる、曲とも言えないようなのが入っている。
このCDには一切クレジットがないのだが、この21曲目はフローリアン・シュナイダーによる未発表音源なのだという。

先述した通り、70年代のオブスキュアなドイツのバンドを集めたからといって、コレ全部”クラウト・ロック”で括るってどうよ?…と思わないでもないし、クォリティにはばらつきがあるものの、まあとにかく、よくここまでレアな音源ばかり集めたモノだ。
しかもライナーノーツで(フローリアン・シュナイダー以外)全バンドきちんと解説してある。
編纂者(ライナーを書いている”kain & bebel”というのがそうだろう)の異常な執念を感じずにいられない。