
その時にスタジオ作『FRIENDSHIP』とライヴ盤『GIN ROSE』がリリースされていたが、この度『GIN ROSE』がDVD付きの2枚組として再発された。
ライナーノーツを書きました。
当時マニュエル・ゲッチングとクラウス・シュルツェの二人はハルトムート・エンケを含む結成当時の編成でASH RA TEMPELを復活させようとしていたらしい。
しかしオーヴァードーズで精神を病んで30年近く前にシーンから消えていたエンケの参加がかなうはずもなく。
ゲッチングとシュルツの二人はロンドンでの再編ライヴで、エンケに捧げるパフォーマンスを行なう。
『GIN ROSE』はその時、2000年4月2日のROYAL FESTIVAL HALLでの演奏を収録したモノだが。
先述した通り、今回の再発にはDVDが付属している。
クラウス・シュルツェは2010年の来日公演(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_183.html)同様に座ったままプレイし、マニュエル・ゲッチングもライヴの大半で座っているので、動きが乏しく、視覚的なアピールは小さい。
しかも照明も暗い。
それでも、二人のプレイする様子を実際に映像で観られる意義は大きい。
特にゲッチングに関しては手元がアップになるところも多く、エレクトリック・ハワイアン・ギター(!)を用いてのサイケデリックな音の出し方を目で確認出来るのはとても有り難かった。
ジャーマン・ロック界/ベルリン・スクールにおけるエコー・ギターの神髄とエレクトロ・ミュージックの極致という二大巨匠の久しぶりの共演が楽しめます。
DVDはライヴの完全収録ではなくダイジェストながら、CDには入っていないリハーサルの様子なども収められていて、オフステージでのクラウス・シュルツェのヘヴィ・スモーカーぶりも目にすることが出来る。
70年代以来友情を保ち続けてきたマニュエル・ゲッチングとシュルツェ…しかし健康状態の悪化でシュルツェがコンサート活動からの引退を表明している現在、両者の再びの共演は望めそうにない。
今回の2枚組は貴重な記録だし、嬉しい再発だと思う。
『GIN ROSE』、25日より発売中。