ゲルチュチュ@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

20201229.JPG29日。
個人的には2020年のライヴ納め。
HEAVEN'S DOORとゲルチュチュの共同企画「斬光夜4」。

フロアに入ると、FJことDJ藤井政英(バラナンブ)がプレイ中。
そういや今年は、俺がHEAVEN'S DOORで回す機会はなかったなあ。

一番手、Daimon Orchestra。
この御時世に栃木(足利市)からわざわざやってきたという。
ヴォーカル、ギター、トロンボーン、ドラムという変則的な4人組。
2週間ほど前にベーシストが失踪したのだそうで(!)。
ベースとキーボードの音が聴こえたが、ステージ上に置かれていたPCで賄っていた様子。
変拍子もフィーチュアした、展開の読めない楽曲。
それに乗せて、十四代目トイレの花子さんや中学生棺桶の志村なんかを思わせる、つまり見た目子供みたいなかわいらしい女の子(ミニスカートに素足)が、終始笑顔で踊りながら歌う。
見た目に反してアニメ声やアイドル声などではなく、時にオペラティックでもある堂々たる歌唱。
面白かった。

二番手は御馴染みというか久しぶりというかの東京梁山泊。
相変わらずの、極右のSUICIDEというか私立極道高校から来たロマンポルシェ。というか、な演説エレクトロ・ポップ。
極道龍(ヴォーカル)が以前よりもかなり太っていて、動きのキレがますます悪い…。
途中からちんぽ丸出しで歌っていたのだが、そのちんぽが下半身にめり込んでるみたいな状態だった。
少しやせた方がイイのでは…。
それにしても相変わらずくだらなくて面白い。

三番手に鮭オーケストラ。
シンプルなトリオ編成だが、リズム・セクションはサポートで、実際にはギター兼ヴォーカル一人が鮭オーケストラなのだという。
しかもそのギター兼ヴォーカル、現在家がなく、車で全国を渡り歩いてコインパーキングで寝泊まりしながら活動しているのだとか。
いわゆるカーホームレスというやつか。
フレアのひらひらしたスカート(でも迷彩柄)という姿でワンタムのシンプルなセットをスパパパンと小気味よく叩く女性ドラマー。
高い位置にかまえたベースを指弾きするベーシスト。
そのリズム・セクションに乗せて、切迫感に満ちたギターと歌が放たれる。
カッティングの勢いがもの凄くて、1曲目でもう弦が切れていた。
そのプレイがレスポールによるというのが興味深い。
(いかにもテレキャスターとかが似合いそうなスタイル)
ハイテンションぶりは遠藤賢司なんかを思わせるところもアリ。

藤井政英のDJはジャンルレスに色々な曲を重ねていくのだが、コレがなんだかイヴェントの雰囲気によく合っていて面白かった。
で、トリ前が芸能佐伯組。
サックス2本、各種打楽器、各種メタル・パーカッションその他、ドラム(バラナンブの南部輝久)、舞踏という、ギターもベースもいない6人組。
メタル・パーカッションやホイッスル類を担当していたのが佐伯さんらしい。
バンド名通り(?)アングラ臭に満ち満ちた(多分)集団即興で、特に奇怪な被り物(と言うべきなのだろうかアレは)を着けて動き回る舞踏の人はインパクト大。


藤井政英がDJブースからいなくなって、インダストリアル風のSEが鳴り響く中、トリのゲルチュチュ(画像)が登場。
赤羽あつみ(キーボード)を迎えた6人編成。
最近はキーボードとパーカッションを配した編成でのライヴを度々やっているゲルチュチュだが、俺はキーボード入りの編成を初めて観たのだった。
ファンキーでハードなパンク・ロックはますます厚みを増し。
その中で激しく動きながら歌うハッチは、1曲目からサンダーと一斗缶で火花を散らしながら、勢い余って派手に転倒し。
その時に左手を切ったらしく、その手で顔をなで回したのでたちまち顔面が血だらけになる。
転倒しようが流血しようがバンドの生み出すどす黒いグルーヴは変わらず。
ドリンクカウンターを担当していた山村茜嬢(インモラリスターR)がたまらずフロアに飛び出し、ハッチと『パルプ・フィクション』のようなダンスに興じる。

珍しく(?)盛大なアンコールが起き、バンドはじゃがたらの「もうがまんできない」を演奏。
これまた珍しく、ハッチが歌詞を飛ばしたり。
本編ではどうかするとハッチのヴォーカルが演奏に埋もれそうになる場面もあったが、音数の少ないこの曲が一番歌がよく聴き取れた。
6年ほど前にサックスを含む現編成のゲルチュチュを初めて観た時にはどうも”ハッチとそのバック”という感じがしてしまっていたのが、今ではヴォーカルを呑み込みかねないほど演奏陣に勢いが付いている。
逆に、ハッチの更なる奮起が必要なところに来ているのかも知れない。


思ったよりも随分遅くなってしまったので、終演後すぐに退出。
ダイヤが乱れていて、乗れないはずだった電車に乗れたのはむしろラッキー。
どうにか日付が変わる前に帰宅。
フロアには久々に顔を合わせる人も多く、無事に今年のライヴが納まりました。


明日は出かけるので、今年は多分コレで最後になります。
なんだかひどい1年だったけど、ともあれ皆様、少しでもよいお年をお迎えください。

AIRBORN/LIZARD SECRETS~PART TWO-AGE OF WONDER~

AIRBORN.jpg紹介遅れた。
オーストラリアのAIRBOURNEじゃなくてイタリアのAIRBORNです。
6thアルバムにして、前作『LIZARD SECRETS~PART ONE-LAND OF THE LIVING~』(2018年)の続編。
しかも次作に続くコンセプト・アルバム3部作の第2章なのだという。
前作聴いてないんだけどどうよ…というのがあったのだが、単体のアルバムとしてもクォリティが高く、楽しめました。

1996年にトリノで結成。
IRON SAVIORのピート・シールクに見出され、彼のプロデュースで2001年に1stアルバム『AGAINST THE WORLD』をリリース。
結成から既に24年、アルバム・デビューからでも19年となる。
かなりのヴェテランだ。
リズム・セクションは00年代半ばに交代していて、現在のメンバーはアレッシオ・ペラルディ(ヴォーカル、ギター、キーボード)、ロベルト・カプッチオ(ギター)、ドメニコ・ブラッティ(ベース)、ロベルト・ガイア(ドラム)の4人。

ジャーマン・メタル系に通じるような、ドラマティックなメロディック・パワー・メタル。
ただし、いわゆるメロパワとかメロスピにありがちなハイトーン・ヴォーカルではなく、アレッシオ・ペラルディのミドルを中心とした歌唱をフィーチュアしている。
(声質やヴォーカルの処理にだけ着目すると、メロディック・パワー・メタルというよりも時々ちょっと最近のVOIVODみたいなところが。まあ本当にちょっとだけど)
それが彼らならではの味を醸し出している気がする。

ヨーロッパのシンフォニック・パワー・メタルでは、キーボード/シンセサイザーを前面に出しながらメンバーにキーボーディストがいない、とかいうのも多いが。
AIRBORNではアレッシオ・ペラルディが歌いながらツイン・ギターの一翼を担いつつ、更にキーボードもこなしている。
イントロのリフなどではメロディアスなツイン・リードをフィーチュアしつつ、一方でソロではロベルト・カプッチオがここぞとばかり前に出る。
(かなり上手い。しかしソロもどっちかというと速弾きよりメロディ重視)
全体に非常にバランスの良いアンサンブルで、ドラマティックにしてかつ全体に明るい曲調が特徴的。
(手元に歌詞がないんだけど、メッセージ性の強い内容とのこと)
かなりカッコいいです。

国内盤はボーナス・トラックとして、旧レパートリーからライヴの定番曲を3曲、再録して収録。
16日より発売中。

5 Years

MOTORHEAD ROCK N ROLL.jpg12月28日。
レミーの命日だ。
もう5年も経ったのか。
早いな。

シネマート新宿ではレミー追悼として久しぶりに『極悪レミー』の上映があるという。
しばらく権利が切れていて、3年ぶりの上映だそうで。
そして、2010年の公開からは10年となる。
今頃は新宿にいる人も多いのでは。

俺は新宿に出ることもなく。
整骨院から帰って、部屋で一人おとなしく過ごしている。
さっきようやくMOTORHEADを聴き始めて、一人静かに(?)追悼の夕べとでもいうか。

ところでレミーの新しい伝記映画が制作中なのだそうで。
『極悪レミー』のグレッグ・オリヴァーが監督で、MOTORHEADのマネージャーだったトッド・シンガーマンが制作総指揮とのこと。
完成がいつになるのか知らないが、楽しみに待ちたいところ。

あと、HANOI ROCKSがラズルを失った時に、レミーがMOTORHEADでバックを務めてもいいと言った、なんて話が出ていたな。
いかにもレミーが言いそうだ。
ミック・ファレンの自伝でも、ラリー・ウォリスらをバックに迎えて2ndソロ・アルバムを完成させたミックにレミーが「MOTORHEADにバックをやらせりゃよかったのに」みたいなことを言った、という話があった。
レミーは皮肉とかじゃなく純粋にそう言ったのでは、と思っている。
MOTORHEADでチャリティ・ライヴとかにも出ていたし。

レミー、生きてりゃ75歳か。
まったく、早いモノだ。