THE SHORT FUSES/DAWN OF THE DEAF

SHORT FUSES.jpg昨年10月のリリース。
先日入手。
(レコーディングに入ったのは2017年10月だそうで、配信リリースでは19年から出ていたらしいが)

THE SHORT FUSES、17年ぶり(!)の新作4thアルバム。
すっかり貫禄のついたミス・ジョージア・ピーチが帰ってきた。

ミス・ジョージア・ピーチ(ヴォーカル、ベース)、トラヴィス・ラミン(リード・ギター、ドラム)、ジャスティン・スタッグス(リズム・ギター)という、結成以来のコアなメンバーによる録音。
ジョージア・ピーチがベースを兼ね、トラヴィスがドラムを兼ねる。

THE SHORT FUSESとしてのアルバムは3rdアルバム『DUCHESS HUSTLE』(2003年)以来17年ぶりだが、メンバーはその間いろいろやってきた。
ミス・ジョージア・ピーチとトラヴィス・ラミンの夫婦はTHE FEVERSやNIKKI CORVETTE & THE STINGRAYSやTINA & THE TOTAL BABESで活動。
ジャスティン・スタッグスはTINA & THE TOTAL BABESなどのアートワークを担当する一方で、映像作家としてFOO FIGHTERSなんかのMVを手掛けている。

プロデュースはダニエル・レイ。
メンバーが標榜する、BLONDIE、MC5、BLACK SABBATH、MOTORHEADなんかのブレンド…を音源に落とし込むのには最適の人選だろう。
西海岸のバンドというよりはデトロイトのバンドを思わせる、ラウドでハイエナジーなR&Rに貫かれている。
もちろんと言うべきか、ダニエルがプロデュースしたNASHVILLE PUSSYに共通する感覚も。
そこに乗る、ミス・ジョージア・ピーチのパワフルでソウルフルなヴォーカル。
キャッチーさも充分にある。
いやあ、こりゃカッコいい。
(歌詞わからないけど「Furiosa」は『マッドマックス』ネタだよね?)

海外のサイトでは、10点満点付けてるレヴューもあった。
俺も昨年入手していたら、ベスト10に入れていたかも知れない。

次の50年

HAWKWIND 50 LIVE.jpg先日書いた通り、HAWKWINDの50周年記念ライヴ盤『50 LIVE』(画像)のライナーノーツを担当した。
https://lsdblog.seesaa.net/article/202101article_14.html

で、原盤リリース元であるチェリー・レッド・レコーズのHPを見ると、“Here’s to the next 50!”とある。
次の50年、と来ましたか…。

1969年にHAWKWINDがスタートした時、首魁デイヴ・ブロックは既に28歳だった。
2019年の50周年記念ツアーの時点で78歳。
”次の50年”が経ち、2069年にHAWKWINDが100周年を迎える時、デイヴは128歳になっている計算だ。

128歳か…。
生物の細胞が分裂出来る回数には限界があり、人間の場合120歳を超えて生き続けることは難しいとされる。
デイヴ・ブロックがどんなに頑健な体を持っていたとしても、128歳まで活動するどころか、生きながらえる可能性もほとんどないだろう。
(ゼロではないとはいえ)

しかし。
デイヴィッド・アレンもジリ・スマイスもいないGONGが今も活動していることを思えば、デイヴ・ブロックの死後もHAWKWINDが存続する可能性は大いにありうる。
(実際、かなり現実的な話だと思う)
だとすると、HAWKWIND100周年ってのもあながち夢物語とは言えませんね…。


HAWKWINDから視線を転じてみると。
オリジナル・メンバーが一人もいなくなっても活動を続けているバンド…がざらにあるということは、このブログで何度か書いた通りだ。

現在活動を継続している、それなりに名のあるバンドの中で、最も活動歴が長いのは…多分THE VENTURESではないだろうか。
1959年結成。
2019年の時点で、既に60周年を迎えている。
2016年にノーキー・エドワーズが引退した後(ノーキーは18年に死去)、ツアー・メンバーにオリジナル・メンバーが一人もいなくなってから、もう5年経つ。
(ドン・ウィルソンは一応今も在籍しているが、ステージに立つことはなく、ほとんど”名誉メンバー”みたいな感じ)
そして2059年に100周年となる。
いや…オリジナル・メンバーが一人もいなくなって代替わりしつつのVENTURES100周年、コレは本当にあり得ますね。


1937年に結成されたTHE GLENN MILLER ORCHESTRAは活動歴84年。
2037年には100周年となる。
(あとたったの16年後だ)
グレン・ミラーの没後77年経過しているが、その間GLENN MILLER ORCHESTRAにグレンがいないからと不満を言った人は、もしいたとしてもごくわずかだろう。
THE VENTURESも、そして将来のHAWKWINDも、GLENN MILLER ORCHESTRAやTHE DUKE ELLINGTON ORCHESTRAみたいになる可能性はあるというワケだ。
ロックも随分歴史を持ってしまった、とつくづく思う。

GENESIS/TURN IT ON AGAIN - THE HITS(1999)

GENESIS.jpg先日のFOCUSに続いてまたもベスト盤です。

GENESISについては今までに1stアルバム『FROM GENESIS TO REVELATION』(1969年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1535.html)、『LIVE』(73年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201806article_8.html)、そしてピーター・ゲイブリエル脱退後のライヴを収録した『LIVE IN LONDON 76』(2018年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201910article_13.html)を紹介したが。
どの時代も大好きで、3人になってからのアルバムもあらかたそろえていた。
ただしLPで。
10年近く前に、某社の編集さんと池袋で飲むことになって、待ち合わせまでに時間があったので、池袋のDISK UNIONでバーゲンコーナーを漁っていて、安く入手したのがこのCDだった。

ともあれGENESISのベスト盤。
先日のDEEP PURPLE同様、バンドや音楽については今更説明不要でしょう。

サブタイトルからも明らかな通り、トリオになって以降のヒット・シングルを中心とした選曲。
18曲79分。
「Abacab」「That's All」「Mama」「Invisible Touch」「Tonight Tonight Tonight」といったヒット曲・代表曲が存分に楽しめる。

一方で、ピーター・ゲイブリエル在籍時の『SELLING ENGLAND BY THE POUND』(1973年)から「I Know What I Like」も収録され。
そしてラストにピーターとスティーヴ・ハケットを迎えた往年の編成で『THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY』(74年)の名曲を再録した「The Carpet Crawlers 1999」が。
コレはまたえらいボーナスですな…。
しかし、”THE HITS”というコンセプトに則るのであれば、この特大ボーナスは正直言って逆に蛇足な感じもするのであった。
罰当たりと言われるかも知れんが。

あとレイ・ウィルソン期の楽曲も要らないと言ったら言い過ぎか。
でも実際「Congo」って大してヒットしてないし…。
個人的にはこの曲を外して「Illegal Alien」か「No Reply At All」を入れてもよかったのでは、という気がする。
(どっちも「Congo」同様そんなにヒットしてないけどね…)

このベスト盤は全英4位、全米65位。
90年代のライヴでも客席から「Supper's Ready!!」と絶叫していた(笑)根強いファンの多いイギリス。
一方、あくまで80年代にヒットしてたポップ・バンド、として忘れ去った人も多かった(?)アメリカ、という違いだったのだろうか。
そこらへんは俺の想像に過ぎないのだけど。


そして、予定されていたGENESISの再結成ツアーは、コロナ禍の影響で再び延期されたという。