春は近く、命は散る

OSANNA.jpg元MONTROSEのシンガー、ボブ・ジェイムズが亡くなったという。
今月のことらしいが、日付は明らかになっていない。
胃潰瘍の合併症とのこと。
68歳。
サミー・ヘイガーの後任としてMONTROSEに参加したが、正直言って前任者の存在がデカ過ぎた。
その後もピーター・フランプトンのMAGNETに参加したり、ガタガタだった時期のAEROSMITHに加入を打診されたり、QUIET RIOT再編前のリズム・セクションと活動したりと、スターダムの手前で足踏みし続けた人だった。


そして27日にダニーロ・ルスティチが亡くなったとのこと。
OSANNAのオリジナル・ギタリスト。
新型コロナウイルスによる感染症という。
72歳。
嗚呼…。

イタリアン・プログレの名盤数あれど、個人的にはARTI + MESTIERIとOSANNA、そしてそれぞれの名作『TILT』(1974年)と『MILANO CALIBRO 9』(72年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1279.html)に尽きる。
そのOSANNAでジミヘン・マナーな歪み切ったギターを聴かせていたのがダニーロ・ルスティチだった。

『MILANO CALIBRO 9』に収録された至高の名曲「There Will Be Time」…クライマックスで斬り込んでくる、あのノイジーにして粘っこいギターはもう聴けない。

70年代イタリアン・プログレを彩った数々の名手たちも、ダニーロ・ルスティチ同様に70代に入っている。
今後訃報が続くのだろうなあ。
嗚呼…。

EURO-ROCK PRESS Vol.88

EURO-ROCK PRESS Vol.88.jpgはい、EURO-ROCK PRESS最新号、本日発売です。
(WORLD DISQUE店頭では25日から扱ってたらしいが)


今回もレヴューどっちゃり書きました。








ALL IMAGES BLAZING
the Art of Mankind
BLACK SABBATH
CADAVER
DAMIAN HAMADA'S CREATURES
DARK TRANQUILLITY
EQUILIBRIUM(×3)
GILLAN
GONG
GRAVE TO THE HOPE
LOST AARAAF
MICHAEL SCHENKER GROUP
OZZY OSBOURNE
P-MODEL(×2)
SABER TIGER
SATANICA
SEED MOUTH(×2)
SODOM
種口裕人
TANGERINE DREAM
TOTO
VAN HALEN
VOIVOD
Wooming
V.A./fantin latour

あと、五人一首のインタヴューのページで新作アルバムのレヴューを書きました。
更に、SIR LORD BALTIMORE再発に関連する初期アメリカン・ハード・ロックの特集(テキスト本文は白谷潔弘氏による興味深い内容。SIR LORD BALTIMOREの生き残った唯一のオリジナル・メンバーに連絡が付かず、インタヴューは出来なかったとのこと。残念)で、THE AMBOY DUKES、THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE、MC5、THE STOOGES、BLUE OYSTER CULT(また出た!)、NEW YORK DOLLS、KISSのレヴューを書いています。


他の記事も読み応え充分。
毎度御馴染みスティーヴ・ハケットのインタヴューとか。
高橋祐希氏によるMESHUGGAHの記事とか。
皆様、是非お求めください。

RANDY HOLDEN/POPULATION Ⅱ(1970)

RANDY HOLDEN.jpgランディ・ホールデンについては、以前初期音源集『EARLY WORKS '64~'66』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_686.html)と1996年の2ndソロ・アルバム『GUITAR GOD』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202004article_6.html)を紹介したが。
満を持して(?)一番有名な1stソロ・アルバム行ってみましょう。
まあ今更そんなに書くこともない、名盤中の名盤ですけどね。

FENDER Ⅳ~SONS OF ADAM~NEW WING~THE OTHER HALFを経て、1969年の『NEW! IMPROVED!』(の片面)のみでBLUE CHEERを脱退したランディ・ホールデン(ギター、ヴォーカル)が、KAKのクリス・ロッキード(ドラム)と結成したLUCIFER。
しかしアルバムはランディのソロ名義でのリリース。

とにかく何もかもがいびつなアルバム。
ジャケットには二人しか写ってなくて、実際ほとんど二人で録音されている。
裏ジャケットにはでっかいサンのアンプの壁の前で演奏する二人の姿。
”クリスはライヴではベースをプレイする”とクレジットされているが、じゃあドラムどうすんの、って。
10分超の楽曲もある大曲志向なのに、アルバムの尺は29分しかないし。
歪みに歪んだヘヴィなギターに、対照的に線の細いヴォーカル。

ともあれ、いきなり「Guitar Song」なんて曲から始まることでも、ランディ・ホールデンがここで何を目指していたのかは明白。
BLUE CHEERで録音した「Fruit & Iceburgs」がよほど気に入っていたのか、それともBLUE CHEERヴァージョンに納得いかないところでもあったのか、ここで再録している。
(しかも本編の後に”Conclusion”というショート・ヴァージョンも入っている)

BLUE CHEERの故ディッキー・ピーターソンはランディ・ホールデンについて「BLACK SABBATH以前にBLACK SABBATHしてた」と評したが、単にギターの音がダークでヘヴィ、というだけでなく、フレーズの随所にちょっとアメリカン・ロックっぽくない、むしろ英国やヨーロッパ的なセンスが感じられる。
(10分の大曲「Keeper Of My Flame」の途中で聴けるリフはCREAM「White Room」っぽい)
そのためか、なるほどBLACK SABBATHと比較したくもなる音だ。
一方でBLACK SABBATHよりも圧倒的にサイケデリック。

このアルバムのリリースを巡ってレーベルと揉め、破産状態となったランディ・ホールデンはその後20年以上もシーンから離れることとなる。
ハワイに移住して、絵を描いたり魚を釣ったりして暮らしていたそうだが、すると画家として食えていたのだろうか。
いろいろ謎な人だ。