訃報やまず

IRON BUTTERFLY.jpg14日にミック・レインことマイケル・ルーアンが亡くなっていたという。
新型コロナウイルスによる感染症。
62歳。
PEZBANDのドラマー。
やれやれ…。
これだけ死者の山が築かれているのに、いまだ「コロナはただの風邪」などという人がいるのが、本当に理解出来ない。

24日にフリッツ・マッキンタイアが。
死因は不明。
62歳。
SIMPLY REDのオリジナル・キーボーディスト。
SIMPLY RED、デビュー当時は全く好きになれなかったのだが。
大ヒットした「Holding Back The Years」の、前身バンド・FRANTIC ELEVATORS時代のテイクを聴いたら、大ヒットしたSIMPLY REDのとは全く違うガサツな叙情に驚き。
(もっとも、その時はフリッツはいなかったんだけど)
それでSIMPLY REDを聴き直すに至ったのだった。
SIMPLY REDに10年ほど在籍した後、教会音楽/宗教音楽の世界で活動していたのだそうで。

29日にはリー”スクラッチ”ペリーが。
死因は不明。
老衰かも知れない。
85歳。
この人、死なないんじゃないかとか思っていたが。
それにしても、85歳!
『SUPER APE』(1976年)の時点で既に40歳だったとは…。

そしてリー・ペリーと同じ29日に、ロン・ブッシーが逝った。
食道癌とのこと。
79歳。
IRON BUTTERFLYのドラマーにして、すべてのアルバムにただ一人参加し続けたオリジナル・メンバー。
ずっと前にこのブログで7inch「Soul Experience」(画像:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1012.html)を紹介した際、IRON BUTTERFLYの音楽性を”どよ~ん”の一言でまとめてしまったが。
その”どよ~ん”は、リー・ドーマンの重いベースと共に、ロンのドラムによる部分も大きかったと思う。
リーも、エリック・ブラン(ギター)もラリー”ライノ”ラインハート(ギター)ももういない。
(それどころか、70年代後半以降にバンドを出入りした無名のメンバーにも多くの物故者が)
デビュー時のメンバーで現在も存命なのはダグ・イングル(ヴォーカル、キーボード)ただ一人となっている。
一方、オリジナル・メンバーが一人もいなくなったIRON BUTTERFLYは、新作リリースもないまま、いまだに活動を続けているのだった。
(それもある意味凄いな)
来月76歳となるダグはどうしていることか…。

EURO-ROCK PRESS Vol.90

EURO-ROCK PRESS Vol.90.jpgはい、EURO-ROCK PRESS最新号、31日発売です。
表紙と巻頭インタヴューはプログレ・アイドルXOXO EXTREME!







今回も、レヴューたくさん書きました。



ALESTORM
ANGERS
CANDLEMASS
DIE APOKALYPTISCHEN REITER
DIE KRUPPS
ELEANOR
GARY MOORE
GENTLE GIANT
GOJIRA
HAWKWIND
HEBI KATANA
HELLOWEEN
ジャックス(×2)
辛島宜夫
LETITOUT -Lelia-
LOCH VOSTOK
LOUDSTORM
MEGADETH
MONSTER MAGNET
NIGHT RANGER
人間椅子
OPETH
PARADISE LOST
六合
SAEKO
SAXON
SCYTHEWRACK SYSTEM
SHOW-YA
宇宙
YES
YNGWIE MALMSTEEN
YYNOT(×2)

34枚か、多いな…。

あと、6月に亡くなったジョン・ロートンの追悼記事も書いています。
皆様、是非お読みください。


他にもKANSASのインタヴューとか。
スティーヴ・ハケットのインタヴューとか。
カヴァー集(ウェンディ・O・ウィリアムズも取り上げてる!)をリリースしたマルタ・ガブリエルのインタヴューとか。
パーシー・ジョーンズのインタヴューとか。
リーノ・ヴァイレッティ(OSANNA)のインタヴューとか。
デニス・デ・ヤングのインタヴューとか。
フィル・マンザネラのインタヴューとか。
今回もいろいろ読みごたえアリです。

SCOTT MORGAN'S POWERTRANE/ANN ARBOR REVIVAL MEETING(2002)

SCOTT MORGANS POWERTRANE.jpgSONIC'S RENDEZVOUS BAND解散後、スコット・モーガンは80年代にBROTHERS OF THE ROAD、SCOTT MORGAN GROUP、SCOTT MORGAN BAND、90年代に入るとTHE RATIONALSの一時的な再結成を経てSCOTTS PIRATES…と、地味ながらもコンスタントに活動を続けていた。
(それにしてもバンドが長続きしない人である)
そんなスコット、1996年にDODGE MAIN名義でデニス・テック(元RADIO BIRDMAN)、ウェイン・クレイマー(元MC5)と組んで以降、デニスと一緒に活動することが増え。
一方で、元々は直接的な関わりがなかったはずのTHE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESの楽曲をライヴのレパートリーに取り入れるようになる。
(スコット以外のSONIC'S RENDEZVOUS BANDがイギー・ポップのバック・バンドとしてツアーしている間、デトロイトに残ったスコットが始めたのがBROTHERS OF THE ROADだった。ロードに出ないでデトロイトで活動していたスコットのバンドがBROITHERS OF THE ROADとは、なかなか皮肉じゃないか…)
故フレッド”ソニック”スミスの代わりにデニスを入れた再結成SONIC'S RENDEZVOUS BANDとも言うべきTHE RENDEZVOUS BAND(99年)、TEK, MORGAN & 3 ASSASSINS(2001年)など。
(一方でスコットはHELLACOPTERSのニッケ・ロイヤルら北欧勢とも一緒にやっていたが)

そんなスコット・モーガンが、DODGE MAIN、THE RENDEZVOUS BAND、TEK, MORGAN & 3 ASSASSINSに続いてまたしてもデニス・テックと組んだ1枚。
(時系列的には大体上の通りだが、リリースの順番は前後してたりもするんでややこしい)
ジャケットを見ての通り、スコットの当時の新バンド・POWERTRANEにデニス、更に元THE STOOGESのロン・アシュトンが加わった格好。
正式な(?)名義は”SCOTT MORGAN'S POWERTRANE FEATURING DENIS TEK WITH SPECIAL GUEST RON ASHETON”(なげえよ!)。
2002年4月13日と11月10日、デトロイトのTHE BLIND PIGでのライヴ。
(凄い名前のハコだね…)

SCOTT MORGAN'S POWERTRANEのメンバーは、スコット・モーガン(ヴォーカル、ギター)、ROB TYNER BANDやミッチ・ライダーのバックで活動したロバート・ギレスピー(ギター)、元MAZINGA(バンド名はもちろん『マジンガーZ』から)のクリス”ボックス”テイラー(ベース、ヴォーカル)、2001年のTHE HYDROMATICSでもスコットと一緒にやっていたアンドリュー・フロスト(ドラム)。
デニス・テック(ヴォーカル、ギター)は全編で演奏に参加しているので、最初からギター3本。
HYDROMATICSの楽曲やRADIO BIRDMANの楽曲、それにSONIC'S RENDEZVOUS BANDの名曲「Dangerous」やROB TYNER BANDの「Taboo」などが次々に放たれる。
フロントの二人はもちろん、バック陣の力量もまったく問題なく(しかもラウドで分厚いサウンド)、実にカッコいい。

しかし、スコット・モーガンには大変失礼ながら、ライヴのハイライトはロン・アシュトン(ギター)が加わっての終盤、「1969」「I Wanna Be Your Dog」「Down On The Street」「No Fun」「TV Eye」というTHE STOOGESナンバー5連発。
そのうち4曲では元CULT HEROES(https://lsdblog.seesaa.net/article/201610article_6.html)の黒人シンガー、ハイアワーサ・ベイリーが歌い、ステージ上にはギター4人を含む7人がいたことになる。
ハイアワーサの歌唱はイギー・ポップに迫れるようなモノではないながら、STOOGES楽曲を歌いこなすのはスコットにもデニス・テックにも難しかったはずで、当然ながら専任ヴォーカルが必要とされたのだろう。
(「1969」を歌っているのはデニスだと思うが、やはり弱い)
そしてロンの強力なギターがかつてのままなのは、その後の再結成STOOGESで証明された通り。
ここでは曲によりロンとデニスのリード・ギターが左右のチャンネルから襲いかかり、スコットとロバート・ギレスピーがリズム・ギターを聴かせたりしているので、ギター・パートに限って言えば再結成STOOGESのライヴより凄いかも知れない。
(常に4人がギターを弾いていたワケではなさそうなのは、「No Fun」でハンドクラップが聴こえることからも明らか)

もっとも、自分の新バンドのライヴの終盤がTHE STOOGES祭りになってしまったスコット・モーガンの心中や如何に(苦笑)。
「I Got A Right」ならスコット自身も歌っていたレパートリーだが、ジェイムズ・ウィリアムソンの曲である「I Got A Right」を、ロン・アシュトンを含む編成で演るのは無理だったろう。
もっとも、このライヴがこうしてCDになったのも、ロン・アシュトンの参加あったればこそではなかったかと。

その後デニス・テックがRADIO BIRDMANを再結成したせいか、スコット・モーガンとデニスのコラボレーションは行なわれなくなった(はずだ)が、スコットはTHE SOLUTIONでニッケ・ロイヤルと組んだりする一方で、単にPOWERTRANEと名乗るようになったバンドで00年代末まで活動。
07年にはPOWERTRANEとしてのスタジオ・アルバム『BEYOND THE SOUND』をリリースしている。
スコットは10年に、60年代以来のキャリアで初となるソロ・アルバム『SCOTT MORGAN』をリリース。
(残念ながら近年は健康に問題を抱えていると聞く)
クリス・テイラーはTHE AVATARSに参加し、アルバムを1枚リリースして解散。
アンドリュー・フロスト(POWERTRANEでの演奏を聴く限り、無名ながら素晴らしいドラマーだったと思う)は、10年に亡くなっている。
POWERTRANEと同時期に再びミッチ・ライダーとも活動していたロバート・ギレスピーは、どうしていることか。