『キミならどうする!? もしもサバイバル 魔王になって魔界を守る方法』

魔王になって魔界を守る方法.jpg先月発売されていたんだけど、手違いで今日やっと現物が届き。
『ゾンビから身を守る方法』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202011article_14.html)、『恐竜時代で生きのこる方法』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202107article_10.html)に続く、ポプラ社『キミならどうする!? もしもサバイバル』シリーズ第3作。
今回も漫画原作を担当しました。
(しかし、これまた手違いでクレジットが抜けている…)
児童書の仕事は多分6冊目。
漫画原作は何作目かもうわからなくなった…。

監修は明治大学専門職大学院ガバナンス研究科専任教授・松浦正浩さん。
作画は『ゾンビから身を守る方法』でも一緒に仕事させていただいた花小金井正幸さん。

小学5年生の九田マオは、シングルマザーの母親(デス・メタルのファン)が突然都内から地方に移ることを決断したため、転校を余儀なくされる。
ところが、引っ越しの準備をしていたマオは何故か田舎に転校ではなく魔界に転生してしまい(!)。
魔物たちに新たな魔王として迎えられたマオは、魔界を取りまとめながら勇者の襲来に備えなければならなくなり。
さあ、マオは良い魔王として魔界に君臨することが出来るのか…?

…まさか自分が、流行りの”異世界転生モノ”のストーリーを考える日がこようとは。
でも頑張ってやりました。

そしてこの本、マオ=魔王は勇者と戦わない。
粘り強く話し合っておとしどころを見つけようとする。
小学生向けの本なんだけど、コレ、交渉術/交渉学の入門書なのだった!
攻めてるなーポプラ社…。

漫画原作の仕事では、俺が書いたシナリオが編集段階でいろいろ改変されることも少なくないのだけど。
今回はそれがほとんどなく。
俺が書いたお話を、花小金井正幸さんが大体そのまんま楽しい漫画にしてくれています。

2月16日から絶賛発売中。
小学生のお子様がいる方には是非。
(中学生でもイケる)
このシリーズ今後も続くらしいんで、引き続き仕事もらえることを祈ろう…。

GURU GURU/ESSEN 1970(2002)

GURU GURU ESSEN 1970.jpg以前紹介した3rdアルバム『KANGURU』(1972年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201908article_6.html)と同じオリジナル・ラインナップによる、最も古いライヴ音源ではと思われる1枚。
70年10月25日、エッセンのGRUGAHALLEで開催された第3回の「ESSENER POP &BLUES FESTIVAL」での3曲37分。

ミュンヘンで生まれスイスで育ったマニ・ノイマイアー(ドラム)が、チューリッヒでウリ・トレプテ(ベース)、イレーネ・シュヴァイツァー(ピアノ)と出会ったのは1963年のことだった。
一緒に演奏するようになった彼らが正式にIRENE SCHWEIZER TRIOを名乗るようになったのは、65年の大晦日だったという。
ドイツ最初期のフリー・ジャズ・グループとしてシーンで名を馳せた彼らだったが、ツアー生活に疲れたイレーネとライヴ大好きだったマニ&ウリは67年に袂を分かつ。

マンフレッド・ショーフやペーター・ブロッツマンと活動していたマニ・ノイマイアーが、ウッドベースからエレキに持ち替えたウリ・トレプテとGURU GURU GROOVEを結成したのは1968年夏。
69年春にはバンド名をGURU GURUと短縮。
マニとウリ以外のメンバーは交代を繰り返したが(サックス奏者や専任ヴォーカリストがいたことも)、最終的に元AGITATION FREEのアクス・ゲンリッヒ(ギター)を迎えたトリオとしてラインナップが固まる。
そして彼らは70年6月にデビュー・アルバムの録音を行なうのだった。

1970年10月22日~25日にかけて開催された「ESSENER POP & BLUES FESTIVAL」は、メイン・ステージにTASTE、FOTHERIGHAY、EAST OF EDEN、GUN、MAY BLITZ、SAVOY BROWN、BRINSLEY SCHWARZ、QUIVER、TYRANNOSAURUS REX、GINGER BAKER'S AIR FORCEといった英国勢が出演(アメリカからジョン・マクラフリンも)。
対して地元ドイツ勢にはサブ・ステージがあてがわれた。
FRUMPY、XHOL、EMBRYOといった連中に混じって、1stアルバム『UFO』をリリースして間もなかったGURU GURUも出演したのだった。

フェスティヴァルの模様は録音されていたが、当時リリースされたのはSAVOY BROWN、MAY BLITZ、FOTHERINGHAYの演奏をLP1枚に収録したライヴ盤『LIVE』(そのまんま)のみ。
それ以外のテープは長い間行方不明のままだった。
ドイツのバンドを鬼のように再発・発掘しまくっていたレーベル、ガーデン・オブ・ディライツがGURU GURUのテープを発見し、CD化したのは2002年。
フェスティヴァルから実に32年が経過していた。

それ以前にリリースされていたGURU GURUのライヴ音源で最も古かったのは、1999年にキャプテン・トリップ・レコーズから出ていた『GURU GURU 98 LIVE』にボーナス収録されていた71年フランクフルトでの演奏だったはず。
このエッセンでのライヴは、その前年。
それだけでも価値ある再発と言えたが、驚かされたのはその高音質だった。
かつてこの手の発掘音源の定番だった72年ライヴ(95年のカップリング盤『GURU GURU/ULI TREPTE』に収録。71年9月説も)とは比較にならないクリアさ、シャープさ。
初めて聴いた時は本当にびっくりした。

ただし、問題もあった。
当時20分近かったはずの「Bo Diddley」が11分半ほど演奏されたところで、テープが終わってしまっている。
(残りは全く見つからなかったという)
1曲目「Stone In」も、ちょっとフェイドアウトっぽい終わり方。

しかし、それらを不問に出来るくらいの素晴らしい演奏と素晴らしい音質が楽しめる37分。
初めて聴いた時には、細かい金物類まではっきり聴こえるドラムに較べてギターのバランスが今ひとつ…と思ったモノだったが、今ではさほど気にならない。
2ndアルバム『HINTEN』がリリースされた1971年のライヴで「Der LSD-Marsch」と「Girl Call」、『KANGURU』がリリースされた72年のライヴでも「Der LSD-Marsch」と、『UFO』の収録曲をステージで演奏し続けていたGURU GURU。
しかしこのCDで聴ける「Stone In」と「Der LSD-Marsch」は、まさに『UFO』リリース当時の演奏。
そして『UFO』リリース間もなかったGURU GURUが、この頃既に『HINTEN』収録曲「Bo Diddley」を演っていたことも知れるワケで。
(『HINTEN』のレコーディングは71年7月)
水銀のように沈み込む異形のヘヴィ・ロックを聴かせる『UFO』と、ジャズ・ロックとハード・ロックと妙なユーモラスさを混ぜ合わせた『HINTEN』の間をつなぐようなサウンドを聴くことが出来る。

このCDはオリジナル・リリースの翌年、2003年に国内配給され、ライナーノーツは俺が担当した。
AMON DUUL Ⅱのように10枚以上書いているワケではないが、実はGURU GURUも『KANGURU』とコレに加えて、『DON'T CALL US(WE CALL YOU)』(73年)、『SHAKE WELL』(93年)、『WAH WAH』(95年)と、5枚もライナー書いていたのだった。
(半ば忘れていた)

それにしても。
ジャケットの写真は1970年頃、彼らが暮らしていたハイデルベルクで録られたモノというが。
マニ・ノイマイアーとウリ・トレプテが当時29歳。
それはイイとして。
赤いズボンにヒゲ面のアクス・ゲンリッヒ…この時点で25歳!
み、見えねえ…。

GURU GURUは『UFO』『HINTEN』のリリースに続き、1972年2月から3月にかけて『KANGURU』をレコーディング。
しかし『KANGURU』のリリースと前後してウリ・トレプテがバンドを脱退。
デビュー時のトリオは3年ほどしか続かなかった。

それぞれの老境

GENESIS FOXTROT.jpgトム・ベイリーが9月にTHOMPSON TWINS『INTO THE GAP』全曲演奏ライヴというのをやるんだそうで。
おお…。
『INTO THE GAP』リリースから38年、THOMPSON TWINS解散から29年という、なんだか中途半端なタイミングだが。
68歳(!)のトムが歌う「Hold Me Now」や「Doctor! Doctor!」はどんな風に響くだろうか。
ってかトムって『INTO THE GAP』の時点でもう30歳だったんだなあ。

先日HEARTが分裂、ナンシー・ウィルソンがNANCY WILSON'S HEARTを…という話をしたばかりだが。
結成50周年となる2023年には、姉妹そろって活動する予定があるんだとか。
バンド分裂とか姉妹の断絶とか、そこまで深刻な話でもなかったってことですかね…?
よくわかりませんなあ。

ジョーイ・クレイマ―は、今年のAEROSMITHのライヴ活動に不参加だそうで。
コロナ禍以前に、ジョーイがライヴ活動から外されてモメたことがあったが。
今回は、報道を見る限りジョーイ自身の意志で不参加のような…。
どうなんでしょう。
オリジナル・メンバーが二人となったTHE ROLLING STONESが存続するらしい昨今、AEROSMITHがスティーヴン・タイラーとジョー・ペリー+新メンバーという編成で活動する未来もありえなくはないのだな、という気はする。

GENESISがフェアウェル・ツアーを終了。
最終公演の客席にはピーター・ゲイブリエルの姿があったという。
フィル・コリンズが座ったままで歌ったというGENESIS、多分コレで終わるのだろう。
KING CRIMSONも終わるようだし、PINK FLOYDも既に活動終了(バンドの消滅)を宣言している。
メンバー中でカール・パーマー一人しか生き残りがいないEL&Pは完全に終わった。
オリジナル・メンバーが一人もいなくなったYESだけが続いている。
クリス・スクワイアを失っても活動を継続したYES…この先スティーヴ・ハウやアラン・ホワイトが亡くなって、70年代のメンバーが一人もいなくなったとしても、ひょっとして続くのでは、という気がしている。
ところでKING CRIMSONやPINK FLOYDやEL&PやYESと違って、GENESISは往年の主要メンバー全員存命なんだけどなー。

一方ROXY MUSICは、50周年を記念するリユニオン・ツアーをやるのだという。
ブライアン・フェリー、フィル・マンザネラ、アンディ・マッケイ、ポール・トンプソンという、デビュー時に限りなく近いラインナップ。
このバンドの場合ベースが誰かは不問だし(?)、下手にイーノを入れたら初期2作のレパートリーしか演れなくなるから、コレでいいのだ。
可能であればライヴ本編でオールタイム・ベスト的なセットを披露して、それからアンコールでイーノが出てきて「Re-Make/Re-Model」とか「Do The Strand」とかを演ればイイのでは?
(その場合、アンコールで全員がケバケバな衣装で出てきたらなお良し)


以上、THOMPSON TWINSとHEART以外はどのバンドも結成から50年以上経っている。
HEARTも来年で半世紀。
まったく、ロックも歴史を持ったモノだ。