29日の訃報

EDGAR BROUGHTON BAND.jpg先日、26日に亡くなったアラン・ホワイトとアンディ・フレッチャーの話をしたが。
今度は29日に亡くなった人たちの訃報が続々と…。

ターザン後藤。
肝臓癌。
59歳。
FMWの”鬼神”として知られた人だが、その頃には俺はプロレスをほとんど観なくなっていたので、俺の中では力士を廃業して全日本プロレスでデビューした前座レスラー・後藤政二、なんだよな。
足に問題があって裸足でやる相撲が続けられず、靴を履いて試合が出来るプロレスに転向…というのは、当時のプロレス雑誌にも書いてあった。
当時弱冠18歳。
近年はラーメン屋だったのか。

ロニー・ホーキンス。
87歳。
死因は不明だが、長いこと闘病していたという。
THE BANDを世に出すきっかけとなった人物として知られる一方で、自身の音楽が高評価を得ることは少なく。
(映画『ラスト・ワルツ』でボ・ディドリーのカヴァーを喚いてた人、みたいな認識か)
しかしこの人のバンドには、THE BANDの面々だけでなくあのロイ・ブキャナンもいたのですよ。
自身もカナダでは80年代までトップ10ヒットを出し続けていたのだった。

スティーヴ・ブロートン。
死因は不明。
72歳。
EDGAR BROUGHTON BANDのドラマー。
しかしそれだけではなかった。
ロイ・ハーパーの『LIFEMASK』(1972年)をはじめとする諸作で叩いたのもこの人。
マイク・オールドフィールド『TUBELAR BELLS』(73年)B面で叩いたのもこの人。
一時期のMAGIC MUSCLEやMOTHER GONGで叩いていたのもこの人。
なんと、PSYCHIC TV「Godstar」(85年)でも叩いていたか…。
(他にもジェネシス・P・オリッジ関連諸作で叩いている)
このブログで紹介したEDGAR BROUGHTON BANDの『IN SIDE OUT』(72年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1387.html)や『DEMONS AT THE BEEB』(2000年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201610article_24.html)で叩いていたのももちろんこの人だし、『DEMONS AT THE BEEB』ではプロデュースも務めていた。

それにしても訃報続くなあ。
スティーヴ・ブロートンと近かったジェネシス・P・オリッジも一昨年亡くなっている。

GASTUNK/DEAD SONG(1985)

GASTUNK.jpg今更いろいろ言うまでもない名盤ですが。

1985年に宝島誌上でGASTUNKの写真を見て「何コレかっけえ!」となり、その後札幌のU.K.EDISON店頭で流れていた「Mr.Gazime」(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1596.html)を聴いてすぐ買った…というのは、前に書いた。
「Mr.Gazime」の半年ほど前にリリースされていたオリジナルの『DEAD SONG』(ドグマ・レコード盤)、更に半年ほど前に出ていたデビュー・シングル「Gastunk」は、その時点で既に入手出来なくなっていたと記憶する。
なので俺が持っている『DEAD SONG』は、翌86年にラヴ・レコードから再発されたLP。
(あとCDもある)
それからバンドが解散するまで、追いかけ続けることになった。
(「Gastunk」は89年に西新宿のレコード屋の壁に並んでいるのを見たことがあるが、およそ手の出せるような値段ではなかった)

『UNDER THE SUN』(1987年)も『MOTHER』(88年)も好きだし、もちろん昨年の再結成アルバム『VINTAGE SPIRIT, THE FACT』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202106article_8.html)も好きだけど、個人的にGASTUNKのアルバムといえばやはり『DEAD SONG』。
結成から解散まで約6年、レコード・デビューから解散まででは約4年という短い活動期間の中で変化を重ねたGASTUNK…『UNDER THE SUN』以降ハード・ロック色を強めていった一方で、初期のハードコア・パンクとヘヴィ・メタルを不可分にミックスした上にゴス色まであった特異に過ぎるスタイルをアルバムで聴かせるのは『DEAD SONG』だけだった。

不気味な「黙示録」で始まって、そのエンディングにかぶさって始まる「Night Sight Light」から「Warbird」「胎児(Sad)」「Computer Crime」と続くA面。
「Fastest Dream」に始まり「Inter Loper」「The Eyes」ときて「Dead Song」で締めるB面。
構成が完璧過ぎる。
いや、曲順と構成の見事さは『UNDER THE SUN』『MOTHER』も同様だったんだけど。
先述の通りハードコア+メタルな、『UNDER THE SUN』以降よりエクストリームなサウンドの『DEAD SONG』。
(当時は”メタルコア”とか呼ばれてたな)
「黙示録」「Dead Song」以外は速い曲ばっかりで、次々とたたみかけつつ、アルバムとしての流れも完璧とは。
メタルやパンクを聴き始めて間もなかった当時の俺には本当に衝撃的だったし、今でも聴けば血が滾る。
(出来ればLPで聴きたい1枚ですね)

元EXCUTEのBABY(ベース)に元THE COMESのMATSUMURA(ドラム)というリズム・セクションが猛烈に疾走し。
そこにマイケル・シェンカーを愛するTATSUの、とげとげしくも時にメロディアスなギターが乗り。
そしてBAKIの呪わしく激しいヴォーカル。
独特過ぎる発声と過剰なまでの勢い。
なんだか意味不明な英詞。
いや…いまだにほぼ完全に覚えている日本語詞も、改めて聴いてみるとかなり意味不明だが。

(そこでジャケットから歌詞カードを取り出そうとしたら、一緒に1988年の”MOTHER TOUR”のパンフレットが出てきて、しばらくの間ブログそっちのけになる)

…で、改めて歌詞を確認してみると、「Warbird」の作詞はBABYだったか。
(作曲もBABY)
しかしやっぱり意味不明。

ともあれ突っ走ってきて最後に「Dead Song」。
叙情さえもが過剰なGASTUNKであった。

ヴィジュアルも完璧。
その後ドラムが交代しても音楽性が変化しても、とにかくいつでもカッコいいバンドだった。
BAKIの髪の毛がなくなった今でもカッコいい。

「明烏 Vol.70 -大吟醸-」@高円寺ShowBoat

20220528.jpgはい、28日(土)「明烏 Vol.70 -大吟醸-」@高円寺ShowBoat、多数御来場いただきありがとうございました!
今回も良いイヴェントに参加出来て楽しかったな。

機材のチェックのためにハコ入りする予定時刻よりも1時間以上早く高円寺に到着。
友人と約束があったのだ。
しかし先方が足の指を骨折したとかで流れる。
早めにShowBoatに行ってまったりする。


1st SET(OP)
Gloria/PATTI SMITH
Claw Bite/BEBE BUELL
Dreamlover/PLASMATICS
幸せな奴等全員殺す/十四代目トイレの花子さん
I Feel Alright/LULU'S MARBLE
Papa Oom Mow Mow/SUPERSNAZZ
Barracuda/ナスカ・カーfeatホカダナオミ
My Way/NINA HAGEN

これまで回したことのない曲中心。
ナスカ・カーは出かける直前にバッグに突っ込んだんだけど、回したらSPEARMENのK.Mizusawaがブースに飛んできた(笑)。

一番手、クロメが登場。
ヴォーカル兼ベース、ギター兼ヴォーカル、ドラム兼ヴォーカルのトリオ。
メインのヴォーカルはベースのナカムラアヤで、ギターのサトウヒサナリは基本的にコーラス、一方ドラムのカジワラギスケは歌でもリードをとる部分も。
速くてやかましい演奏に、(ありきたりな表現で申し訳ないが)情念を感じさせる歌唱。
ヒリヒリした歌を聴かせるナカムラがそんな歌を歌いながら時々見せる笑顔は妖艶にして凄絶、魚住英里奈あたりに共通する部分も感じた。
で、3人とも演奏が上手い!
この日の3バンド中、演奏技術では一番ではなかったかと。
ナニゲに変則リフとか変拍子が出てくるんだけど(ギターは時々ハード・ロックっぽい)、テクニックが完全に激情とか衝動とかを伝えるために奉仕している感じ。
カッコいい。

DJヨツノのプレイに続いて、二番手がSPEARMEN。
約半年ぶりに観る。
毎回音がデカいSPEARMENだが…いつにもましてデカい!
今回改めてK.Mizusawa(ギター、ヴォーカル)の足元をよく見た。
エフェクターの少ないこと。
テレキャスターとあんな少ないエフェクターの組み合わせで、どうやってあんな音出してるんだろう…。
それでいて、R.YanagiharaのベースもJ.Shinoharaのドラムも埋もれないんだから。
クロメが上手い上手いと書いたけど、来年で結成40年となるこの人たちも当然上手い。
速い曲で、普通なら単なる2ビートになるところを、ハイハットがチャキチャキ開閉し続けて見事なアクセントが生まれる、Shinoharaのグルーヴ感たるや。
Yanagiharaの、塊となって襲いかかるようなヘヴィなベースも強力。
こんなゴツいロックを40年近く演っている人たち。


2nd SET
L'Internazionale/AREA
”Heroes”/DAVID BOWIE
Mr.Ray/SUICIDE
あせってナイフ/脳不安

我等に平和あれ。


そしてトリはMONE¥i$GOD(画像)。
SPEARMENほどではないものの、この人たちもいつもよりかなり音がデカい。
それでいてクリア。
(PAさんの手腕によるモノらしい)
爆音に乗って、メンバーも楽しそう。
特にしゃあみん(ベース)は絶好調。
平野勇(ドラム)はTHE VIBRATORSのTシャツ。
それにしても「Psycho Magic」は名曲だ。
メインのリフはしゃあみんさんのアイディアだったはずだけど、あのリフ思い付いた時点で名曲決定だった。
20年も活動した末に新たな代表曲が生まれるとは、唯一のオリジナル・メンバーであるKAN(ヴォーカル)も予想していなかったのではなかろうか。
そして、すり潰し系重剛インダストリアル・ハードコアだったMONE¥i$GODがシンガロング必至の(今はコロナ禍でそうでもないとはいえ)アンセムを持つようになることも。

で、その「Psycho Magic」でライヴが終わったと思ったら、熱烈なアンコールでバンドはステージに呼び戻される。
ここで演奏するのは、あの曲しかありえない。
最近レパートリーから消えていたかつての代表曲にしてこれまた名曲「Hate Song」。
大盛り上がり。
バンド終演後の出番が短くなってしまったDJヨツノだったが、実は”拍手だけ入った”CD-Rを回して、アンコールに加担していたのだった(笑)。


久しぶりの人にたくさん会った。
ハコ入りの前に会うはずだった友人にも会えたらよかったのだけど。
ともあれ楽しいイヴェントでした。

6月・7月はDJお休みです。
8月以降にまたお会いしましょう。


追記:
クロメ、この時に初めて観たと思ったんだけど、実は5年前に三軒茶屋HEAVEN'S DOORで観ていたことが判明。
記憶力がザル…。

(2022.8.5.)