読めない雑誌

JUKEBOX MAGAZINE.jpg先日のMETALLIONに続いて、本棚をゴソゴソやっていたら(仕事しろ)、JUKEBOX MAGAZINEという海外の音楽誌が出てきた。
2001年の167号。
表紙はイギー・ポップで、もちろん特集記事が載っている。
だから買ったんだね。
全然覚えてないんだけど。

ところが。
全然覚えてないそのJUKEBOX MAGAZINEを「どれ…」と開いてみたら(仕事しろ)。
フランスの雑誌だ!
もちろん中身は全部フランス語。
全く読めない!
よくこんなの買ったな俺…。
2001年に買ったのは間違いないとして、何処で買ったかもおよそ記憶にないんだけど。

いわゆるロック総合誌ということになると思う。
表紙には、イギー・ポップ以外にディック・リヴァーズ、RADIO BIRDMAN、ジョン・メイオール、ジョー・コッカー、リッキー・ノートンの名前があり。
それぞれに4~5ページずつ特集が組まれている。
ディックとリッキーは60年代フランスのロックンローラー。
納得というか。

グラビアみたいなページもアリ。
それが、センターフォールドのTHE BEACH BOYSはともかくとして、ペトゥラ・クラークとか、ディオンとか、ミシェル・ベルジェ(フランス・ギャルの元旦那)とか…し、渋い。
後ろの方にはニュー・リリースのレヴューもアリ。
それが、クリフ・リチャードの編集盤とか、THE SEEDSの再発とか、ルー・リードの『AMERICAN POET』とか、リチャード・トンプソンとかKILLING JOKEとかSAXON(!)とかBARCLAY JAMES HARVESTのベスト盤とかIAN GILLAN BAND(!)の『LIVE IN HIROSHIMA』とかJETHRO TULLのベスト盤とか…。
総合誌とは言ったものの、この雑誌、一体どんな読者層を想定して出ていたのだろうか…。


ネットで検索してみると、1984年に創刊されて、その後88年に月刊化、レトロなロックを中心にしたレコード・コレクター向けの音楽誌だったそうだが、2020年4月の400号で廃刊になったらしい。
何処の国も紙媒体は大変ねえ。
とりあえずTHE STOOGESを聴いています。
(仕事しろ)

「RETURN OF THE LIVING DOLLS VOL.3」@武蔵境STATTO

20221029.jpgはい、29日(土)「RETURN OF THE LIVING DOLLS VOL.3」@武蔵境STATTO、多数御来場いただきありがとうございました。
いやあ、楽しかったなあ。

書籍『ジョニー・サンダース コンプリート・ワークス』、Lily & Gen with Friends『An Imperfect Life…Tribute to Johnny Thunders』、the GOLDEN RAT『we got a right』の、(the GOLDEN RAT以外は)2年遅れの発売記念パーティーにして、ジョニー・サンダースのファンのジョニー・サンダースのファンによるジョニー・サンダースのファンのためのイヴェント、4年ぶりの3回目。
イヴェントの開始予定は17時半だったが、DJの入り時刻は15時。
随分早い時間に家を出て、電車の中で昼食。
ともあれいろいろな人たちと実に4年ぶりの再会を果たす。

リハーサルが押して、定刻の15分後にスタート。
4人のDJの中で唯一アナログ7inchオンリーだったKADOI THE HEARTBREAKに続いて、俺の1回目の出番。


1st SET
Pipeline/JOHNNY THUNDERS
Black Sand Beach/THE GOLDEN ARMS
The Godfether/SURFIN' LUNGS
Rock 'n' Roll/PAPPYS
Pipeline/DICK DALE with STEVIE RAY VAUGHAN
Rumble/BROWNSVILLE STATION
Sabre Dance/LOVE SCULPTURE

カヴァーのインストゥルメンタルで。

一番手、ジョニーダンサーズ。
相変わらず、ユルめで楽しいジョニー・サンダース(ウォルター・ルアーも)のカヴァー祭り。
「Chinese Rocks」ではTHE FOURTH DOWN GAMBLESのMASATO EVIL-EYEがゲスト参加し、激しいアクションで盛り上げた。
ラストは「Pipeline」で締め。

KADOI THE HEARTBREAKの2回目の出番に続いて、二番手はRIOT MISSILE。
名前は聞いていたが、初めて観た。
赤い髪の女性ベーシストを含むトリオ。
こちらは1曲目が「Pipeline」でラストが「Chinese Rocks」。
ギターは完全にジョニー・サンダース直系ながら、オリジナル曲は突進力のあるパンク/R&R。
勢いがあってよろしい。
「Chinese Rocks」ではthe GODのKAZUHIDEが飛び入りしてギターを弾く。

続くDJは音楽ライター/編集者の白谷潔弘。
(この人がいなければ多分『ジョニー・サンダース コンプリート・ワークス』の出版はなかったのだ)
そうこうする間に、酒が飛ぶように売れていく。
STATTOはビールだけでもかなりの種類が置いてあるのだが(全部小瓶)、エビスがなくなり、サッポロがなくなり…。

そして三番手、Naruzy Suicide。
今回はソロでの出演。
エレアコ弾き語り。
妖しいルックスとピーター・ペレット直系のヌルッとした歌唱は健在。
LIPSTICK KILLERS解散後は日本語で歌っているのだが、押韻にこだわり抜いた歌詞の連なりは、時々何語で歌ってるのかわからなくなる。

物販も担当していたDJ AKIRA 13th Avenueがひねりのある選曲で回した後、トリ前のLily & Gen and Friendsが登場。
Lily(ヴォーカル)とGen(アコースティック・ギター)に加え、Dannie B.GoodのDannieがエレキ・ギターを弾き。
アルバム同様、ジョニー・サンダースのカヴァーを基本アコースティックに聴かせる。
「Ask Me No Questions」ではLittle Johnnie(元THE HONG KONG KNIFE)とNaruzy Suicideが加わり。
更にラストの「Let Go」ではMr.RATBOYとHIROSHI THE GOLDEN ARM、それにジョニーダンサーズも加わり、STATTOの狭いステージをいっぱいにして大盛り上がり。


で、俺の出番2回目。

2nd SET
Aloha Steve & Danno/RADIO BIRDMAN
Vicious/LOU REED
Rock 'N Roll/DETROIT
Frederick/PATTI SMITH GROUP
Walk On By/THE STRANGLERS
Method To My Madness/THE LORDS OF THE NEW CHURCH

アルバム『we got a light』でカヴァーされているバンド/アーティストの、それ以外の楽曲。
持ち時間20分なので、途中からはフェードイン/フェードアウトで次々入れ替える。

トリはもちろんthe GOLDEN RAT(画像は本番ではなくリハーサル時のモノ)。
驚いたことに、Mr.RATBOY(ヴォーカル、アコースティック・ギター)とHIROSHI THE GOLDEN ARM(エレキ・ギター)+ベースとドラム(どちらも外国人)…に加えて『we got a right』に参加していた岡島大源太(バリトン・サックス)まで登場というフルバンド編成。
(日本人の方が少ない)
THE STRANGLERS「No More Heroes」やRADIO BIRDMAN「Love Kills」など、アルバムで演っていた数々のカヴァーを、アルバムよりもずっとダイナミックなバンド・サウンドで披露していく。
見た目にはわからないがかなり気合入っていたのだろうか、Mr.RATBOYが早々にアコギの弦を切る。
困りながら「キース・リチャーズだってギター5弦だしな…」とか言ってたらNaruzy Suicideがギターを貸してくれた。
時間が押していたものの、ルー・リード「Rock And Roll Heart」で演奏を終えたあとには当然のようにアンコールがかかる。
で、アンコールがミッチ・ライダーの「Ain't Nobody White」というもの凄い(?)選曲だったんだけど、フロアはかまわず盛り上がっていたのでした。
お坊さんのような和装の岡島が異彩を放っていた…。


終演後、帰りを気にしなくて済むようホテルを取った(!)KADOI THE HEARTBREAKの楽しいDJ(実際彼の選曲が一番ウケてたな)を聴きながらしばらく飲む。
Mr.RATBOYは俺の選曲を気に入ってくれたようで、「You understand!!」と言われました。
俺がお金もらって文章書くようになる以前にやってたファンジン・LSD→DOLL→EL ZINEとずっと読んでくださっている方(多分世界に10人もいない)にお会いして驚愕。
俺が以前ブログで紹介したGOD(日本じゃなくてオーストラリアの方)のCDを「何処で買ったんですか?」と訊いてきたMASATO EVIL-EYEにも、思わず笑ってしまった。
(そんなこと訊いてくるのは君ぐらいだよ…)

しかしこちらは帰りを気にしないワケにはいかなかったので、後ろ髪をひかれつつ駅に向かう。
電車が遅れていて肝を冷やしたけど、どうにか湘南新宿ラインの終電で帰ってきましたよ。


次回の「NIGHT OF THE LIVING DOLLS」は4年後…ではないらしい。
(オリンピックじゃないんだからさ…)
俺の次回DJ(多分今年最後)は来月です。
そちらの告知はまた今度改めて。

FAUST/SO FAR(1972)

FAUST SO FAR.jpgFAUSTについては1stアルバム『FAUST』(1971年)、4th『Ⅳ』(73年)、それにレコメンデッド・レコーズから出た7inchを紹介したが。
一番大好きで一番たくさん聴いたのはこの2ndアルバムだ。
今更言うまでもない名盤だけどね。
『FAUST』同様、LPとCDで3枚持っている。

『FAUST』に続き、メンバーたちがコミューン生活をしていたヴュンメの廃校で録音されたアルバム。
しかし方向性はけっこう違う。
メンバーはルドルフ・ゾスナ(ギター、キーボード、ヴォーカル)、ジャン=エルヴェ・ペロン(ベース、ヴォーカル)、ハンス・ヨアヒム・イルムラー(オルガン)、ギュンター・ヴュストホフ(サックス、シンセサイザー)、ヴェルナー”ザッピ”ディアマイアー(ドラム)。
前作からアルヌルフ・マイフェルト(ドラム)が抜けた5人。
まあ元々ドラマー二人いる意味わからなかったけどねー。
クレジットはないが、ギュンターはトランペットも吹いているのでは。

透明なジャケットに拳骨(Faust)のレントゲン写真がプリントされていた『FAUST』に対して、こちらは裏も表も真っ黒。
裏ジャケットは完全に真っ黒で、曲目の記載すらない。
で、中にはレコード(CD)と一緒に、全9曲に対応した9枚のイラストが封入されている…という、またしても無駄に凝ったアートワーク。

1曲目「It's A Rainy Day, Sunshine Girl」からして、前作と全然違う。
連打されるフロアタムに、THE VELVET UNDERGROUNDばりの強力なリズム・ギター、そして”雨の日だよ、サンシャイン・ガール、雨の日だよ、サンシャイン・ベイビー”というまったく意味のない歌詞が延々と繰り返される。
ワンコード、ワンリフで7分半。
対して2曲目は端正なアコースティック・ギターをフィーチュアした小曲。
そして10分を超える3曲目「No Harm」ではサックスとオルガンをフィーチュアしたクラシカル、あるいは現代音楽的な曲調からいきなりノイジーなギターが暴れまわる、FAUST流のハード・ロック(?)に。
ここでも”父ちゃん、バナナ取って、明日は日曜日!”というまるっきり意味のない歌詞がひたすら絶叫される。
ここまでがLPのA面。

B面1曲目にタイトル曲「So Far」。
逆回転によると思われる不気味なイントロから、反復ビートと不穏なノイズが続く6分。
シンセかオルガンによると思われるノイズは、このアルバムの中でほとんど唯一前作に共通する要素。
続く「Mamie Is Blue」は、重苦しくノイジーな反復の中から、”ママは憂鬱、パパは憂鬱”という例によって意味不明なヴォーカルの繰り返し。
「I've Got My Car And My TV」では子供場組のテーマ曲みたいなイントロに続いて、メンバーと子供たちのコーラス、そしてその後『Ⅳ』に持ち越されることになるヘンテコなリフの反復…に乗るサックス・ソロ、からのギター・ソロ。
(このギター・ソロも「No Harm」同様、ハード・ロックのパロディみたいに聴こえる)
現代音楽的(?)な「Picnic On A Frozen River」とノイジーなコラージュ「Me Lack Space…」という30~40秒ほどの2曲を挿み。
最後は何故かヴォードヴィル風(?)の「…In The Spirit」で終わる。

全体に、妙な薄明るさ。
陰欝に響く「So Far」や「Mamie Is Blue」も、何処かユーモラスで人懐こさみたいなモノを感じさせる。
あちこちアヴァンギャルドでフリーキーな一方で、この人たち本質的にポップ。
個人的には何回でも聴けるアルバム。

バンドをやっていた頃、「It's A Rainy Day, Sunshine Girl」をずっとカヴァーしていた。
DJでも何度回したかわからない。


明日は「RETURN OF THE LIVING DOLLS VOL.2」@武蔵境STATTOです。
「It's A Rainy Day, Sunshine Girl」は回さんが。