MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY/LUCILE'S GROTESQUE DIARY OF HER INTERSTELLAR JOURNEY TO THE INFAMOUS PAISLEY DUNGEONS OF THE PSYCHOTIC LEATHERNUNS: (2003)

MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY.jpg「長いタイトルだなあ」と思った人は、まだ甘い(笑)。
実は上に挙げただけでもタイトルの一部で、本当は『LUCILE'S GROTESQUE DIARY OF HER INTERSTELLAR JOURNEY TO THE INFAMOUS PAISLEY DUNGEONS OF THE PSYCHOTIC LEATHERNUNS: 2000 AND 10 FAIRYTALES FROM THE ACID DRENCHED BRAIN OF THE MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY, DEDICATED To ALL THOSE WHO ONLY FLY BY NIGHT AND DIE BY DAYLIGHT, BROTHERS AND SISTERS, WE MUST NOT DESERT ONE ANOTHER, OUR TIME WILL COME AGAIN AND WE SHALL RULE THIS EARTH AND RISE TO THE STARS IN GLORY AND TRIUMPH, SPREADING INTERGALACTIC CHAOS UND PSYCHOTIC LOVE THROUGHOUT THE GALAXY…』という。
(寿限無じゃねえんだからさ…)
ちなみにキャプテン・トリップ・レコーズから国内配給された際の邦題は『グロテスク・ダイアリー』とバッサリ(笑)。

MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETYは1992年に結成されたドイツのバンド。
93年に1stアルバム『MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY』を、95年に2ndアルバム『OVID'S GARDEN』を、99年に3rdアルバム『BEYOND THE MUSHROAM GATE』をリリースしている。
最初の2枚はLPのみのリリースで、その後もCD化されなかった模様。

編成はかなり流動的だったようだ。
バンドというよりもプロジェクトだったのかも知れない。
このアルバムが出た時点でのメンバーはティモ・ロマッツシェ(ヴォーカル、シンセサイザー)、ヴィレム・クッチャルジック(ギター)、アンダース・ベッカー(オルガン、ローズ)、マルティン・クーニッヒ(ドラム)、カクタス・クーパーことラルフ・ノイエンドルフ(キーボード)、ヴィリ・ダンメイアー(ダブ・エフェクト、プロデュース他)を中心に、ヴォーカルやドラムなどでゲストも加わっている。
同時期のバンドのHPではライティング担当者や”スピリチュアル・アドヴァイザー”なんかもクレジットされていたので、やはり堅固なバンドというよりもスタッフ含めて出入りのあるプロジェクトだったのだろう。
ティモは2004~05年にかけて各国のサイケ/スペース・ロック・バンドを集めて制作した、『ペリー・ローダン』シリーズにインスパイアされたスペース・ロック・オペラのプロジェクト・THE PSYCHEDELIC AVENGERS(MARBLE SHEEPも参加していた)の中心人物でもある。
また、彼らはダモ鈴木と共演したこともあるという。

このアルバムはオリジナル・アルバムではなく、2001年のEP「Space Rave」収録曲を中心に、シングル曲、オムニバス参加曲、以前のアルバムのアウトテイクなどを集めた、レア音源的な編集盤。
「Space Rave」からの2曲に続いて、51秒しかない「Perry Rhodan's Smoke In Hallucination Theme」で「何だこりゃ」となる。
『ペリー・ローダン』シリーズのテーマ曲のカヴァー、と言われたら信じそうなオルガン・インストゥルメンタル。
カヴァー?
ともあれ、アンダース・ベッカーのハモンド、ワーリッツァーそしてフェンダー・ローズと、ヴィレム・クッチャルジックのファズ・ギターを前面に出したサイケデリック・ロック/サイケ・ポップが続く。
アンダースのオルガンをはじめとして、チープではあるがバンド名やジャケットやタイトルからイメージするほどにはドグサレでも垂れ流しでもない。
しかし、何処か人を食ったような感覚が濃厚。

オムニバス参加曲と未発表となったシングル用の曲(7inch用の曲なのに9部構成8分半の組曲…)の後に、これまたオムニバス参加曲「Point Me At The Sky」。
PINK FLOYDのレアなシングル曲のカヴァー。
デイヴィッド・ギルモア加入後間もない時期の曲だが、このカヴァーを聴くとまるっきりシド・バレット時代の曲みたいに聴こえる(笑)。
続く「Song Of A Baker」は、結局リリースされなかったというSMALL FACESのトリビュート・アルバムのために録音されたという『OGDEN'S NUT GONE FLAKE』収録曲のカヴァー。
こちらもオリジナル以上にサイケデリックな仕上がり。

ラスト2曲には大物ゲスト参加。
10曲目「Big Store」は英国のサイケ系ファンジン・PTOLEMAIC TERRASCOPE誌のオムニバスに収録されたJACOBITESのカヴァーで、ニッキー・サドゥン本人が歌っている。
そして11曲目「Floating At The Gate Of Dawn」はコレもオムニバス参加曲で、先日亡くなったニック・ターナーがフルートを吹く。
この曲のみライヴ録音で、15分にわたって展開。
ハンブルクでの「GERMAN HAWKFAN MEETING」のステージで、突然ニックが飛び入りしたのだとか。

このアルバムは、オリジナル・リリースの翌年、2004年に国内配給されている。
ライナーノーツは俺が書いた。
売れなかったんじゃないかなあ。

その後バンドは2005年に4thアルバム『MORE TALES FROM LUCILLE'S COSMIC TRIPS AND X-TERRESTIAL SEXPERIENCES + GEM > A < DELIC BUBBLES FROM THE FLUX OF LIVE』(だから、長いっての!)をリリース。
以降はニュースがない。
多分解散したのだと思う。

EURO-ROCK PRESS Vol.95

EURO-ROCK PRESS Vol.95.jpgはい、EURO-ROCK PRESS最新号、明日30日発売です。
表紙はMAGMAだが、巻頭はYESのライヴ・レポート、CARAVANのライヴ・レポート、玲里のインタヴュー、XOXO EXTREMEのライヴ・レポート、BANCO DEL MUTUO SOCCORSOのインタヴューと続いて、それからMAGMAのライヴ・レポート。
遂に来日バンドのライヴ・レポートをばんばん載せられる日々が戻ってきたのであります。
(コロナ禍はいまだ収束していないとはいえ)

で、今回もレヴューどっちゃり書きました。

ACID MAMMOTH
ALPHOENIX
BORIS
DAIDA LAIDA
デキゴコロ
DREAM THEATER
ED WYNNE AND GRE VANDERLOO
FALLUJAH
HELLOWEEN
IRON MAIDEN
JUDAS PRIEST
KLAUS SCHULZE
KRAFTWERK
LETITOUT -lelia-
LUGNET
MICHAEL SCHENKER GROUP
OZZY OSBOURNE
PATTO(×4)
PORNOSTATE
PURPENDICULAR
SCORPIONS(×2)
SIGH
TALAS
TI-THO
TWINK(×2)
VANGELIS
VIRTUAL SYMMETRY
WITHIN TEMPTATION

33枚。


その他にも、10月14日にCLUB CITTA'で行なわれたOSANNAのライヴ・レポートと、そして来年50周年を記念する来日公演を行なうCAMELのバイオグラフィを書いています。
CAMELのバイオなんて、何を今更…という感じかも知れませんが、『STATIONARY TRAVELLER』推しという奇特な(?)ファンの観点から書いた1本、是非読んでみてください。


他にもニコ・ディ・パーロのインタヴューとか、今回も濃い内容です。

嗚呼

WILKO JOHNSON BEST.jpg仕事が忙しくてブログ2日休んだ。
で、すっかり出遅れた。
更にPCの調子が悪く、さっきまで書いてた文章全部消えた。
気を取り直してもう一度。
ウィルコ・ジョンソンのこと。

21日に亡くなったという。
死因は不明。
75歳。

8年ぐらい前に膵臓癌で死んでいたかも知れないことを思えば、随分長生きしたモノだとは思うが。
それでもショック。

初めて聴いたのはDr.FEELGOODの『STUPIDITY』。
それも好きだったが、少し後に聴いたDr.FEELGOODの1stアルバム『DOWN BY THE JETTY』のイントロ一発で倒れた。

初めてライヴを観たのは1988年の札幌BESSIE HALL。
コレがまた凄まじいカッコよさで。
ソロ・アルバム『BARBED WIRE BLUES』にメンバー全員のサインをもらったのは、翌89年の再来日の際だったと思う。
その後91年2月の川崎CLUB CITTA'(対バンがDr.FEELGOOD!)、ずっと空いて2011年4月の渋谷CLUB QUATTRO(東日本大震災の直後)。
計4回観た。
いつも素晴らしかった。

R&Bに根差した、シンプルにもほどがあるR&R。
一方でリズムとリードを同時に弾くようなノコギリ・ギターは、実は全然シンプルじゃなかった。
Dr.FEELGOOD脱退後、ライヴがいつも最高な一方で、その真価をスタジオ作できちんと結実させることがなかったのだけは残念。


さて、今頃はあっちでリー・ブリローと和解の握手をしていてほしいのだが。
あとノーマン・ワット=ロイが長生きしますように。