
実は上に挙げただけでもタイトルの一部で、本当は『LUCILE'S GROTESQUE DIARY OF HER INTERSTELLAR JOURNEY TO THE INFAMOUS PAISLEY DUNGEONS OF THE PSYCHOTIC LEATHERNUNS: 2000 AND 10 FAIRYTALES FROM THE ACID DRENCHED BRAIN OF THE MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY, DEDICATED To ALL THOSE WHO ONLY FLY BY NIGHT AND DIE BY DAYLIGHT, BROTHERS AND SISTERS, WE MUST NOT DESERT ONE ANOTHER, OUR TIME WILL COME AGAIN AND WE SHALL RULE THIS EARTH AND RISE TO THE STARS IN GLORY AND TRIUMPH, SPREADING INTERGALACTIC CHAOS UND PSYCHOTIC LOVE THROUGHOUT THE GALAXY…』という。
(寿限無じゃねえんだからさ…)
ちなみにキャプテン・トリップ・レコーズから国内配給された際の邦題は『グロテスク・ダイアリー』とバッサリ(笑)。
MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETYは1992年に結成されたドイツのバンド。
93年に1stアルバム『MANDRA GORA LIGHTSHOW SOCIETY』を、95年に2ndアルバム『OVID'S GARDEN』を、99年に3rdアルバム『BEYOND THE MUSHROAM GATE』をリリースしている。
最初の2枚はLPのみのリリースで、その後もCD化されなかった模様。
編成はかなり流動的だったようだ。
バンドというよりもプロジェクトだったのかも知れない。
このアルバムが出た時点でのメンバーはティモ・ロマッツシェ(ヴォーカル、シンセサイザー)、ヴィレム・クッチャルジック(ギター)、アンダース・ベッカー(オルガン、ローズ)、マルティン・クーニッヒ(ドラム)、カクタス・クーパーことラルフ・ノイエンドルフ(キーボード)、ヴィリ・ダンメイアー(ダブ・エフェクト、プロデュース他)を中心に、ヴォーカルやドラムなどでゲストも加わっている。
同時期のバンドのHPではライティング担当者や”スピリチュアル・アドヴァイザー”なんかもクレジットされていたので、やはり堅固なバンドというよりもスタッフ含めて出入りのあるプロジェクトだったのだろう。
ティモは2004~05年にかけて各国のサイケ/スペース・ロック・バンドを集めて制作した、『ペリー・ローダン』シリーズにインスパイアされたスペース・ロック・オペラのプロジェクト・THE PSYCHEDELIC AVENGERS(MARBLE SHEEPも参加していた)の中心人物でもある。
また、彼らはダモ鈴木と共演したこともあるという。
このアルバムはオリジナル・アルバムではなく、2001年のEP「Space Rave」収録曲を中心に、シングル曲、オムニバス参加曲、以前のアルバムのアウトテイクなどを集めた、レア音源的な編集盤。
「Space Rave」からの2曲に続いて、51秒しかない「Perry Rhodan's Smoke In Hallucination Theme」で「何だこりゃ」となる。
『ペリー・ローダン』シリーズのテーマ曲のカヴァー、と言われたら信じそうなオルガン・インストゥルメンタル。
カヴァー?
ともあれ、アンダース・ベッカーのハモンド、ワーリッツァーそしてフェンダー・ローズと、ヴィレム・クッチャルジックのファズ・ギターを前面に出したサイケデリック・ロック/サイケ・ポップが続く。
アンダースのオルガンをはじめとして、チープではあるがバンド名やジャケットやタイトルからイメージするほどにはドグサレでも垂れ流しでもない。
しかし、何処か人を食ったような感覚が濃厚。
オムニバス参加曲と未発表となったシングル用の曲(7inch用の曲なのに9部構成8分半の組曲…)の後に、これまたオムニバス参加曲「Point Me At The Sky」。
PINK FLOYDのレアなシングル曲のカヴァー。
デイヴィッド・ギルモア加入後間もない時期の曲だが、このカヴァーを聴くとまるっきりシド・バレット時代の曲みたいに聴こえる(笑)。
続く「Song Of A Baker」は、結局リリースされなかったというSMALL FACESのトリビュート・アルバムのために録音されたという『OGDEN'S NUT GONE FLAKE』収録曲のカヴァー。
こちらもオリジナル以上にサイケデリックな仕上がり。
ラスト2曲には大物ゲスト参加。
10曲目「Big Store」は英国のサイケ系ファンジン・PTOLEMAIC TERRASCOPE誌のオムニバスに収録されたJACOBITESのカヴァーで、ニッキー・サドゥン本人が歌っている。
そして11曲目「Floating At The Gate Of Dawn」はコレもオムニバス参加曲で、先日亡くなったニック・ターナーがフルートを吹く。
この曲のみライヴ録音で、15分にわたって展開。
ハンブルクでの「GERMAN HAWKFAN MEETING」のステージで、突然ニックが飛び入りしたのだとか。
このアルバムは、オリジナル・リリースの翌年、2004年に国内配給されている。
ライナーノーツは俺が書いた。
売れなかったんじゃないかなあ。
その後バンドは2005年に4thアルバム『MORE TALES FROM LUCILLE'S COSMIC TRIPS AND X-TERRESTIAL SEXPERIENCES + GEM > A < DELIC BUBBLES FROM THE FLUX OF LIVE』(だから、長いっての!)をリリース。
以降はニュースがない。
多分解散したのだと思う。