SKEW SISKIN(1992)

SKEW SISKIN.jpgレミー/MOTORHEAD絡みで注目した、ベルリンの4人組の1stアルバム。

1990年結成。
バンド名は英語で”CRAZY BIRD”を意味するとか。
メンバーはニーナ・C・アリス(ヴォーカル、キーボード)、ジム・フォックス(ギター、キーボード)、ヨギ・ラウテンベルク(ベース)、ニック・テリー(ドラム)の4人。
ジムはパンク・バンドPVC5の、ヨギは同じくCLUB Xの元メンバー。
アルバムにはヴェテラン・セッションマンのトマス・グランツ(キーボード)も2曲で参加している。
(トマスはその後のアルバムにも参加)
国内盤CDの帯には”ベルリン最強のリズム・セクション“”噂のジャーマン・メタル”という勇ましい惹句が躍っている。

レミーに目をかけられ、MOTORHEADのツアーのサポートを務めたバンド…ということで注目したのだが、音楽性はMOTORHEADっぽくはない。
ずっしり重くてシンプルなリズム・セクションに甲高いアグレッシヴなヴォーカルは、むしろブライアン・ジョンソン参加後のAC/DCに近いタイプ。
(速い曲では『ORGASMATRON』当時のMOTORHEADを思わせる部分も)
つまり、帯にあるようなジャーマン・メタルではない。
アメリカでウケそうなハードR&R。

ハイライトは5曲目「In Another World」だろう。
中盤でのジム・フォックスのギターは明らかにジミ・ヘンドリックス「Voodoo Chile」を思わせ。
そのあとのサイケデリックなギターとニーナ・C・アリスのヴォーカルの絡みはほとんどLED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」。
更にドラム・ソロまで入る。
グランジ全盛の時代とは思えない、実に12分半に及ぶクラシック・ロック影響下の熱演。

他のオリジナル曲もキャッチーなリフに引っかかりのあるヴォーカルでなかなか聴かせる。
THE KINKSのカヴァー「All Day & All Of The Night」もユニーク。

バンドはリズム・セクションを交代させながら、2007年までに6枚のアルバムをリリース。
03年の『ALBUM OF THE YEAR』ではレミーがバッキング・ヴォーカルでゲスト参加している。
その後15年ほどアルバムのリリースがなく、ニーナ・C・アリスはレミー死後にスリム・ジム・ファントムらがやっていたHEAD CATの活動にも関わっていたが、SKEW SISKINは解散したワケではなさそう。


さて、コレが2022年最後の投稿になる予定です。
苦しいなりに、どうにか年は越せそう。
皆様、来年もどうぞよろしくお願いします。

V.A./MITOHOS Ⅳ

MITOHOS.jpgLAのレーベル、デフ・タッチ・レコーズから25日にデジタル・リリースされた、日本のバンドを集めたオムニバスの第4弾。
このブログで何度か紹介してきた札幌のシンガー、ハシモニュウ率いるHasymonew Band…改めNOT SUNCHILDSが参加している。

2010年に東京で結成されたバンド、Loolowningen & The Far East Idiots(俺は2017年に一度ライヴを観ている)による制作。
『MITOHOS』(”見通す”?)というタイトルは、彼らが主催するシリーズ・イヴェントのタイトルにちなむらしい。
そのイヴェントは、”新しいフィーリング、スタイル、サウンドを提供する日本全国のバンドやミュージシャンを紹介”する意図があるのだという。
そしてこのオムニバスは”日本国内でいわば「ガラパゴス化」したサウンドと呼ばれることも多い、未知の素晴らしいミュージシャンを日本国外に住む方に紹介すること”を目的としているのだそうで。

Loolowningen & The Far East Idiotsをはじめとして、18組18曲。
で、Loolowningen & The Far East IdiotsとNOT SUNCHILDS以外には、名前だけでも知っているバンドはメシアと人人しかない。
なるほど、未知のバンドが集められているのですね。
1分49秒しかないマクマナマン「おまつり」から6分12秒ある皆木大知「不思議な旅」まで、バラバラな方向性の18曲が収められている。

お目当てのNOT SUNCHILDSは6曲目に「tutu」を提供。
現在の4人編成では初の音源という。
ハシモニュウとしては珍しい(?)ブルーズ・ロックをベースにした感じの(?)楽曲。
サビで繰り返される”言葉が愛を見出だしたよ”というフレーズと、それに重なるノイジーなギターが印象的な佳曲。

他にも聴きどころ多数。
個人的には、ムーディーなエレクトロニカ/トリップ・ホップといった感じのfolk enough「Black Frug(ANGELO REMIX)」、札幌の水玉さがしあたりにも通じるジャジーな雰囲気と儚げな女性ヴォーカルが印象に残る? Meytel「This Is Not A Lullaby」、テクニカルなドラムとブリブリのシンセ・ベースがカッコいいCowbellsのインストゥルメンタル「Melo」、エスニックというか汎アフリカ的な雰囲気を醸す電子音に柔らかい女性ヴォーカルが乗る5kai「drifter(demo)」あたりが良かった。


俺の知らない良いバンドが日本に、世界に、まだまだある…というのを痛感する。
金と時間がもっとありゃあな、とも思う。
(特に金)

夕べの終わり

イブニング.jpg講談社「イブニング」が来年2月28日発売号を以て休刊するという。

https://evening.kodansha.co.jp/news/5159.html

マジっすか…。
一瞬言葉を失った。

もう随分前から毎号追いかけることは出来ない状態だった(何しろ近所のコンビニや本屋にほとんど置いてなかったので。そして金もない)イブニング…とはいえ、現行の作品では『JJM 女子柔道部物語』とか『紫電改343』とか『賊軍 土方歳三』とか、それなりに楽しみにしていたんだけどな。
特に『創世のタイガ』。

毎号欠かさず買っていた頃は、『いとしのムーコ』(このブログでも紹介した)をはじめ、『オールラウンダー廻』とか『極悪がんぼ』とか『恋風』とか『サトラレ』とか『とろける鉄工所』とか『モテキ』とか『よんでますよ、アザゼルさん。』とか『レッド』とか、一生懸命読んでたよなあ。
しかし、2001年に月刊誌としてスタートした時点で35万部だった発行部数が、22年には7分の1以下(!)の4万部台に。
それは、休刊もやむなしか…。

”いくつかの連載作品”は「コミックDAYS」でWEB連載として継続されるという。
『創世のタイガ』は、続くんだよね?
一方で、”いくつかの連載作品”は容赦なく打ちきりか…。


自分自身がイイ歳こいて明日をも知れぬ不安定極まりないフリーランス生活を続けていることもあり(現状ブログ休みがちなぐらい仕事が忙しいのも、ホント有難いッスよ…)、同じく不安定な(ただし俺みたいな木端ライターと違って漫画家は大ヒットで一攫千金も可能だが)漫画家さんたちに幸あれ、と願う。
ってかイブニング、お世話になりました。