
活動中に音源リリースはなく。
コレは30年近く経ってリリースされた発掘音源。
当時のレーベル宣材では、WISHBONE ASHがこのバンドの影響を受けて、アルバムのタイトルにまでしてしまった…という話だったが。
それ本当?
逆じゃないの?
メンバーはケン・ルイス(ヴォーカル)、デル・ワトキンス(ギター)、ミック・パール(ベース)、デイヴ・ウォグスタッフェ(ドラム)の4人。
デル・ワトキンスはRARE AMBERというバンドで1969年にアルバムを出していて。
その後JULIAN'S TREATMENTで活動。
(こちらは当時音源がなく、ARGUS同様のちに発掘されている)
このCDに収録されたのは1973年にロンドンで録音されたというデモ音源5曲。
1曲目「Friend Of Mine」は、FREEを思わせるような、タメの効いたブルーズ・ロック。
ただしドラムがやたらと手数多く叩いている。
2曲目「Road To Life」は一転して疾走するハード・ロック。
なかなかカッコいい。
ドラムだけでなく、ギターもベースもかなりの腕前だったことがわかる。
ヴォーカルだけは素人臭さが否めない、かつ英国ロックによくいるタイプの熱くなり切らない歌唱。
3曲目「Twenty-four Hours」はLED ZEPPELIN「Since I've Been Loving You」っぽいブルーズ。
4曲目「Same Old Story」で1曲目みたいな引きずるリズムのブルーズ・ロックに戻る。
5曲目「Superstition」はBECK, BOGERT & APPICEのカヴァー。
腕に自信、だったであろうメンバーにはふさわしい選曲だ。
ただ、やっぱりヴォーカル…なんというか、昔EURO-ROCK PRESSで誰かがデイヴィ・パティソン(元GAMMA~ROBIN TROWER他)を評した”ブルーズ的な歌い回しでメロディから逃げ回る”みたいな。
ヴォーカルがコレじゃなかったら、もっとカッコいいカヴァーになったと思うんだけど。
ARGUSには当時エルトン・ジョンのロケット・レコーズとの契約話があったというが。
しかしバンドは解散してしまい、デモ音源しか残らなかった。
で、CDの後半にはデイヴ・ウォグスタッフェがその後結成したANACONDAのライヴ音源が収録されている。
(実はこっちの方が長い)
1977年ロンドンでの演奏。
デイヴ以外のメンバーはランディ・スペンス(ギター、ヴォーカル)、ロッド・ニューイントン(ベース)、”マッド”レグ(フルート)。
1曲目は「Funk Song」というタイトルだが、リズム・セクションは確かにファンキーに跳ねてはいるものの、いわゆるファンクという感じじゃないな。
2曲目「Why Can't They Leave Us Alone?」も、「Funk Song」とほとんど同じようなリズム・パターン。
ランディ・スペンスが暑苦しい系のヴォーカルを聴かせる一方で、フルートがフィーチュアされていることからもわかる通り、歌よりはむしろインストゥルメンタルを重視したバンド。
スローに始まる3曲目「Take No Chance」は8分以上もあり、途中で変態的なキメフレーズを経てテンポがアップ。
長いギター・ソロではランディがかなりの速弾きを披露する。
ARGUS以上の演奏巧者が集まったバンドだったことがよくわかる。
4曲目「Drum Thing」は曲名から丸わかりの、デイヴ・ウォグスタッフェのドラム・ソロを中心とする1曲。
(こちらも8分超え。そのうち5分近くがドラム・ソロ)
やはりというか、デイヴの上手さはARGUSよりも更に際立つ。
5曲目「Jubilee Shuffle」は、これまた曲名通りのシャッフル/ブギーで、ランディがギターを弾きまくるインストゥルメンタル。
そして6曲目・7曲目は組曲「77 St Thomas' Road(Pts 1&2)」。
組曲といってもプログレみたいな長大なやつじゃなくて2部構成、BUDGIEの「Napoleon Bona-Part 1/Part 2」みたいな、というか。
こちらもフルートとギターを前面に出したインストゥルメンタル。
これまたかなりテクニカル。
しかしこの、フルートとギターをフィーチュアしたプログレッシヴ・ブルーズ的な音楽性…1977年にコレは、シーンに居場所はほとんどなかったのでは。
結局ANACONDAもリリースに至らず解散。
なかなか惜しいバンドだったと思う。
デイヴ・ウォグスタッフェを除くANACONDAのメンバーは、その後名を成すことはなく。
元ARGUSのミック・パールはなんとポール・ヤングで知られるTHE Q TIPSに参加し、バンド解散後はポールのソロ作でもベースを弾いている。
デイヴはQUASARやLANDMARQといったバンドで活躍し、ジョン・ウェットンやスティーヴ・ハウ、オリヴァー・ウェイクマンなどとも活動。
デイヴだけは今も現役の模様。