[原作]西尾雄太・室井大資/[作画]マツダユカ『世界の終わりの洋裁店』1

世界の終わりの洋裁店1.jpg先月28日発売だったが、地元の本屋に見当たらず。
『まりあず-Revenge of Rock'n'Roll Sisters』(https://lsdblog.seesaa.net/article/504921081.html)同様、新宿の紀伊国屋書店でゲット。
(新刊のコーナーに1冊だけあった)
西尾雄太・室井大資・マツダユカという旬の漫画家3人が原作と作画で手を組んだ作品、初の単行本。

第1話から第7話まで収録。
掲載誌が近所の本屋に全く見当たらなかった『まりあず』と違って、ビッグコミックオリジナルでの連載開始以来このブログでも逐一紹介してきた作品なので、あらすじその他は断固として省略。
(ブログの過去記事を参照してください)


たとえ世界が終わっても、人は死ぬまで生きていく。
衣・食・住。
その最初に来る”服”とは、人にとってどんな意味があるのか?
飽食の時代の命題。
その答えの一つが、ここにある―
(単行本裏表紙より)


服とは人にとって何なのか。
それを改めて問い直すために、既製の服がおいそれとは手に入れられなくなってしまった”終わってしまった世界”が舞台として設定されている。
しかし、作品に込められたモノはそれだけではない。

終わってしまった世界で3人の子どもを産んだ麻衣は「—でもさ、じゃねえと、光がないんだわ」と語る(第2話)。
負傷して戦えなくなったことで自死を思う猟友会員りあに、どんちゃんは「役に立てなきゃ死ぬほうがマシ—なんてこと、ないと思うぜ」と声をかける(第7話)。
そして主人公・こうたは「小さくても誰かに寄り添い誰かの救いになる仕事をする。そうすれば自分も救われるかもしれない」と心を決め、テーラーの仕事に向き合っていく(第4話)。
S地区のファッション番長・照男を含め、誰もが終わってしまった世界でそれぞれの光を求めながら暮らしている。

ゾンビが跋扈する世界、という設定に反するかのように、派手さはあまりない作品。
しかしウェルメイドなよく出来た物語。
単行本化に際して修正された幾つかの箇所も興味深い。
そして今後も非常に楽しみ。


…と思ったところに、原作の片翼・室井大資の健康の問題が聞こえてきているのだが…。
(ビッグコミックオリジナル最新号でも休載だったし)