
今回はEDDIE & THE HOT RODSの発掘音源。
コレはまあ、パンクと言うよりパブ・ロックですね。
しかしジャケットの真ん中でカッコつけてるポール・グレイは言うまでもなくその後THE DAMNEDに参加する人。
『TEENAGE DEPRESSION』(1976年)、『LIFE ON THE LINE』(77年)と、初期のアルバムはタイトルもジャケットもパンクっぽかった。
このアルバムも”THE HOT RODSの呪い”ですってよ。
副題は”15 UNRELEASED STUDIO TRACKS FROM THE CLASSIC HOT ROD LINE UP”。
クラシック・ラインナップというのは、もちろんバリー・マスターズ(ヴォーカル)、デイヴ・ヒッグス(ギター)、グレアム・ダグラス(ギター:元THE KURSAAL FLYERS)、ポール・グレイ(ベース)、スティーヴ・ニコル(ドラム)の5人。
1979年夏、アイランド・レコーズからドロップしてEMIと契約する前後に録音され、お蔵入りになっていた音源。
75年に結成され、初期のライヴ音源『GET YOUR BALLS OFF』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_618.html)ではカヴァー曲中心のコテコテなパブ・ロッカーぶりを聴かせていたEDDIE & THE HOT RODS。
『TEENAGE DEPRESSION』ではR&Bとパンクの融合を、『LIFE ON THE LINE』ではよりパンクに寄った感があったが。
79年のバンドはパンクなビートを残しつつも、もう少しポップな方向に向かいつつある。
とは言っても十分に武骨な音だ。
SMALL FACES「I Got Mine」、THE YOUNG RASCALS「You Better Run」、そしてブルーズ・スプリングスティーン「Ties That Bind」というカヴァーが目を引く。
SMALL FACESの曲は初期のSEX PISTOLSもカヴァーしていたが、YOUNG RASCALSにブルースとは、やはりそこいらのパンク・バンドとはセンスが違う感じ。
(『GET YOUR BALLS OFF』ではボブ・シーガーのカヴァーもあった)
何より注目なのは「Hit Or Miss」だろう。
THE DAMNEDのレパートリーとなった名曲の、EDDIE & THE HOT RODSによるオリジナル・ヴァージョン。
当然だけど、全然違うアレンジ。
DAMNEDの『CHISWICK SINGLES』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202111article_14.html)でこの曲を聴いていた俺は、このアルバムを聴いて「え~っ」となった。
でもこっちのもタフで凄くカッコいい。
いや、他の曲もみんなナイスです。
バンドは1981年に解散。
84年に再結成するも、85年に再び解散。
ポール・グレイはその間にTHE DAMNED、UFOと渡り歩いていた。
92年に再々結成。
デイヴ・ヒッグスは2013年12月に亡くなり、ポールは17年からDAMNEDに復帰。
唯一のオリジナル・メンバーとなっていたバリー・マスターズも19年10月に亡くなったが。
EDDIE & THE HOT RODSはオリジナル・メンバー不在で現在も活動を続けているという。