FRANKENSTEIN/EVE OF THE DEAD BOYS(1995)

FRANKENSTEIN.jpg”今日の旧譜”、ここしばらく70年代英国パンク/パブ・ロック(の編集盤とかブートとか発掘音源)を紹介していたが。
ここにきてアメリカのバンド。
そして微妙にプロト・パンクな。
DEAD BOYSの前身バンド。

オハイオ州クリーヴランドで1974年春に結成されたROCKET FROM THE TOMBS。
しかしメンバー交代が相次ぎ。
74年末にユージン・オコナー(ギター)とジョン”マッドマン”マダンスキ(ドラム)が加入する。

1974年8月、ジーン・オコナーとジョン・マダンスキはROCKET FROM THE TOMBSのステージに友人のスティーヴン・ジョン・ベイターを上がらせ、スティーヴンに「Down In Flames」とIGGY AND THE STOOGESのカヴァー「Search And Destroy」を歌わせる。
ROCKET FROM THE TOMBSの他のメンバーはそのことを不快に思い、デイヴィッド・トーマス(ヴォーカル)とピーター・ラフナー(ギター、ヴォーカル)はステージを降りたという。
そしてこの件がきっかけで、バンドは解散となる。

ジーン・オコナーとジョン・マダンスキは改めてスティーヴン・ジョン・ベイターをシンガーに据え、ウィリアム・ジェイムズ・ウィルデン(ギター)とジェフ・ハルマジー(ベース)を迎えて新しいバンドを結成する。
それがFRANKENSTEINだった。
(デイヴィッド・トーマスとピーター・ラフナーはPERE UBUを結成)

で、そのFRANKENSTEINが1975年10月に録音していたデモが、20年後に発掘リリース。
クリーヴランドで開催されたハロウィン・イヴェントのオーディションのためにレコーディングされたという。
「Sonic Reducer」「High Tension Wire」「Down In Flames」の3曲。
前にも書いたけど、「Sonic Reducer」も「Down In Flames」も元はROCCKET FROM THE TOMBSのレパートリーだったってのが凄いね…。
(当時は「Sonic Reducer」をジーン・オコナーが、「Down In Flames」をデイヴィッド・トーマスが歌っていた)

いずれもDEAD BOYS時代に較べると遅い。
しかし、ROCKET FROM THE TOMBSのヴァージョンよりもかなり荒々しいパンク・ロック/プロト・パンクになっている。
一方ジョン・マダンスキのドラム、ハード・ロックの影響がけっこうあったのではと思ったりも。

このFRANKENSTEIN、一般にACTRESSと呼ばれるNEW YORK DOLLSの前身バンドがその名義では一度もライヴをやっていなかった…のと同じようなもんだろうかと思っていたんだけど。
ところがこのデモがライヴ出演のオーディションのために録音されたことでも明らかな通り、ごく短い期間ながら、FRANKENSTEINとしてのライヴ活動も行なわれていて。
今ではネットで当時のステージ写真も見ることが出来る。
DEAD BOYSとは違い、全員凄い長髪で、モロにNEW YORK DOLLSあるいはグラム・ロックの影響を受けたファッション。

クリーヴランドではモノにならなかったのか、FRANKENSTEINは1976年1月に解散。
(基本的にはトップ40モノを演るバー・バンドしかいない街だったとかで、ROCKET FROM THE TOMBSとかELECTRIC EELSみたいなバンドは異端も異端だったらしい)
しかしメンバーはその後再結集して76年7月にニューヨークへと拠点を移し、DEAD BOYSとなる。
スティーヴン・ジョン・ベイターはスティーヴ・ベイターズに。
ジーン・オコナーはチーター・クロームに。
ジェイムズ・ウィルデンはジミー・ゼロに。
ジェフ・ハルマジーはジェフ・マグナムに。
そしてジョン・マダンスキはジョニー・ブリッツとなった。
その後については説明不要だろう。
ちなみにこのCDEP、ジェフ自身がライナーノーツを書いている。


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