来たるべき世界

難波弘之.jpg先日、子供の頃にSFばかり読んでいた、という話をしたが。
https://lsdblog.seesaa.net/article/514216398.html

俺が子供の頃に読んでいた名作SFの類は、エドガー・ライス・バロウズをはじめとして、おおむね20世紀前半に書かれたモノが主体。
それらの作品で描かれていたのは、基本的には”明るい未来”だった。
もちろんディストピア的な世界観もないではなかったが、基本的には明るい未来。

それらのSFの中には、当時の世の中に存在しなかった便利なモノがたくさん出てきた。
今になってみると、それらのアイテムの中には実現したモノもあるし、実現しなかったモノもある。

ガーンズバック『27世紀の発明王』の中には、レストランの入り口で吹き出してくる風に当たると、まったく空腹ではなかったのが急に空腹になる…というくだりがあった。
コレが実現していたら、飲食店はウハウハだ(笑)。

ベリャーエフ『宇宙たんけん隊』には、超高速の列車がそのスピードで鉄橋のない川を難なく通過するシーンがあるが。
それもまあ無理だよなあ。
あと宇宙ステーションでの入浴シーンもあったけど、現在の宇宙ステーションに風呂はない。

ベリャーエフ『合成人間』(ドウエル教授の首)やハミルトン『戦うフューチャーメン』などに登場する、人間の頭部や脳だけを生かし続ける技術も、まだない。
もちろんジョーンズ『合成脳のはんらん』(ゴセシケ人間)に登場するような人造人間も夢のまた夢。
タイムマシンやタイムスリップは、原理的には未来に行くことは可能とされるらしいが、過去に行くのはどうも不可能っぽい。

そもそも、現在でもSFの定番要素である星間航行や自律型の人型ロボットなどが、まだまだ実現には遠い。
自分で考えてしゃべるドラえもんのような存在を人類が本当に目に出来る時は来るのだろうか。

ところで。
TV電話は実現したけど、結局それほど普及はしなかったなあ、電話が持ち歩く小型パソコン的な方向に進化するとは、昔は誰も想像しなかったぜ…と常々思っていたのだが。
コロナ禍を経て、ZoomなどのTV電話的なモノが急速に普及したのにはびっくりしたよね。

ともあれこの21世紀。
人間は2001年に宇宙の旅もしてないし、スターチャイルドも出てこないし、戦争も差別もなくならないし、あんまり明るい未来になってないね…。


今聴いているのはSFと言えばこの人(?)、難波弘之の『N氏の天球儀』(画像:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_102.html)。
昔の人が夢想した未来をテーマにした、俺が子供の頃に読んだSFとドンズバで合致する世界観。
他にもアシモフの名作をコンセプトとした『I ROBOT』をはじめとして、ロック界にはSF的な作品がいくらでも見られる。
このブログでは何と言ってもHAWKWINDだよなー。