OLEDICKFOGGY/BEAUTIFUL DAYS

OLEDICKFOGGY.jpg紹介が遅れてしまった。
16日のリリース。
OLEDICKFOGGY、前作『残夜の汀線 -ZANYA NO TEISEN-』(https://lsdblog.seesaa.net/article/498657616.html)から2年ぶりとなる8thアルバム。

2年ぶりというと随分経った気がするが、『残夜の汀線 -ZANYA NO TEISEN-』はその前の『Gerato』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201803article_7.html)から5年ぶりだったので、そんなにむやみに空いたワケでもない。
しかし、バンドには大きな変化がある。
昨年四條未来(バンジョー)が脱退していて。
現在のOLEDICKFOGGYは伊藤雄和(ヴォーカル、マンドリン)、SUZZY(ギター)、三隅朋子(アコーディオン、キーボード、ヴォーカル)、鹿児島大資(ベース)、大川順堂(ドラム)の5人編成。
”OLEDICKFOGGY第3章”なのだという。

前作からエレキ・ベースとなっていたところに、バンジョーも聴かれなくなり。
一聴しての”ラスティックっぽさ”は、更に後退した感がある。
バンジョーに代わって、曲によっては伊藤雄和のマンドリンがより前面に出るようにもなっているが。
「ラスティックの楽器編成の必然性がない」と言われることもあったOLEDICKFOGGY、今やその楽器編成自体がラスティックと言い切れないモノになりつつあり。
しかしそれでも、彼ら流のラスティックを追求し続けているのでは、と思われてならない。
(それは是非聴いて判断してください)

そして今作が”OLEDICKFOGGY第3章”の端緒たる由縁。
全員が曲を書いている。
全12曲中、伊藤雄和が4曲、SUZZYが3曲、鹿児島大資が2曲、三隅朋子と大川順堂が各1曲、カヴァーが1曲。
「O.D.N.」(おでん?)をはじめとする、SUZZY作曲の楽曲での、以前から感じられたメタル好きっぽい部分も好ましい。
(続く鹿児島作曲「LIFE」のソロもメタリック)
鹿児島が書いた「今夜はきっと満月」が、鹿児島参加前の「KUNG FU VACATION」(https://lsdblog.seesaa.net/article/201801article_23.html)を思わせる中華テイストなのも、第3章を迎えた現在のバンドの一体感を示している気がする。

更に、今回SUZZYが2曲を作詞。
こんなことは、これまでになかった。
一方で、前作同様に伊藤作詞・作曲で三隅朋子が歌う曲もアリ。
(コレがまたよいのです)
カヴァーは彼らが影響を受けた16TONSの「白銀を越えて」。

タイトル曲は伊藤雄和が私淑する故・西村賢太に捧げた1曲。
”飲んでる間に 早く忘れちまいたい 事ばかりの毎日だったけど/時の静寂に 飲み込まれたくないから 街に出てみても 虚しいだけ/だけど諦めのついた夜だけはなかったのさ/ごめんな俺まだ終われずにいるよ”という最後のサビがグッとクる。

タイトル曲に限らず、伊藤雄和の歌詞の言葉の力/煽情力はますます研ぎ澄まされ。
”昨日よりはマシさ そうやって此処まで来たんだろう/「それならもう少し行けるだろう」 そんな声がした”(「飴色の街」)とか。
三隅朋子作曲「隣人」での、睦まじいカップルの歌と見えて、実はコレ、主人公はただのストーカーでは…と思わせる怖さもユニーク。

「地下で」「未完の肖像」(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_2057.html)や「KUNG FU VACATION」のような、それこそ1回聴いてすぐ覚えるような楽曲がないのが弱点と言えなくもない気はする。
しかしタイトル曲や「飴色の街」など、これから繰り返し聴いて体にしみこんでいきそうな曲は幾つもある。
更に繰り返し聴こう。

TELEVISION『MARQUEE MOON』を思わせるジャケットの色調もナイス。