
今日はベルギー。
”ベルギーのSEX PISTOLS”とも呼ばれた、かの国を代表するパンク・バンド、THE KIDSの初期2作+αな編集盤。
70分32曲。
船の修理工として働きながらUNDERGROUND STATIONというバンドでギターを弾いていたルード・マリマンが、1976年に加入したCRASH…が改名してTHE KIDSとなる。
その時点でルード(ヴォーカル、ギター)が21歳、ダニー・デ・ハース(ベース)が12歳(!)、エディ・デ・ハース(ドラム)が16歳。
76年10月9日に初ライヴ。
77年にはベルギーを訪れたイギー・ポップやパティ・スミスの前座を務め、フェスティヴァル「JAZZ BLIZEN」ではルー・リード、THE JAM、THE BOOMTOWN RATSなどと並んで出演を果たす。
そしてバンドはフォノグラム・レコーズと契約を得て、78年から86年までにメンバー交代と音楽性の変遷を経つつ、6枚のアルバムを残している。
ここに収録されたアルバム2枚はどちらも1978年のリリース。
1st『THE KIDS』は77年に1日で録音されたという。
EDDIE & THE HOT RODSとRAMONESの多大な影響を受けた、というのが透けて見える、パブ・ロック風味のシンプルなR&Rが猛然と突っ走るパンク・ロック。
「I Wanna Get A Job In The City」イントロの加速感とかもうたまらんよね。
「Do You Love The Nazis」「Fascist Cops」といった曲名からは、反ナチズム、反権力な姿勢が窺われる。
(しかもこの編集盤、歌詞&対訳が完備で素晴らしかった。あとルード・マリマン自身によるライナーノーツも)
このCDのタイトルにもなった1曲目「This Is Rock'n Roll」は、TEENGENERATEもカヴァーした名曲。
サポートだったリュック・ファン・デ・ポールが正式加入してギター2本の4人編成となった2ndアルバム『NAUGHTY KIDS』ではもう少し腰の据わった、ロック寄りな感じに。
(こちらのレコーディングは1週間だったという)
いずれにしてもカッコいい。
ここでも「Jesus Christ(Didn't Exist)」「We Are The Prisoners」といった曲名に彼らのアティテュードが現れている。
ボーナス・トラックには、1995年に俺のTHE KIDS初体験となったEP「Never Mind The Pistols, Here's The Kids」(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1024.html)の全曲が含まれる。
そのうち5曲は78年アントワープでのライヴ音源で、WIRE「12XU」のカヴァーが目を引く。
『THE KIDS』制作時のアウトテイク「No Work」でのガリガリしたベースも強烈。
バンドは1996年に再結成。
2004年にはアメリカでのライヴも果たしている。
05年以降はリリースがないが、唯一のオリジナル・メンバーとなったルード・マリマンを中心に、現在も活動している模様。