MICK COLLINS INTERVIEW 2004(前編)

DIRTBOMBS 3rd.jpg デトロイト・ガレージの黒い魔神、ミック・コリンズ!…THE GORIESやTHE DIRTBOMBS他、次々にいろいろなバンドやプロジェクトで活動して、その度にガレージ・ファンを唸らせたり熱狂させたりし続けている男。そのミックが2003年にDIRTBOMBSの3rdアルバム『DANGEROUS MAGICAL NOISE』(名作!)をリリースした後、04年にそのDIRTBOMBSを率いて2度目の来日を果たした(99年の初来日はTHE SCREWSとして)。その時に実現したインタヴューを、今回は御紹介しよう。
 インタヴューは来日公演初日の前日、04年2月3日に代々木八幡で行われた。その時のインタヴュー記事はDOLL誌04年4月号に掲載されたが、今回はほぼノーカット版でお届けします。

(Translated by 川原真理子)

―今回のインタヴューの前に、THE SCREWSで来日した時のインタヴューを読み返してみたんです。そこでは「今後ライヴ活動をストップする」とか「音楽活動はコンピューター・プログラミングを使ってやっていく」みたいな発言があったんですけど、無事にライヴ活動を続けて、日本にも来てくれて嬉しいです。
「あの頃はちょっと荒んでて(苦笑)…音楽活動を続けるかどうかもわかってなかったんだ。当時のTHE DIRTBOMBSには内部的に問題があって…っていうか、ある人物と関わることでえらくモメていて、そのせいでメンバーが二人辞めてしまって…僕自身、もう音楽はやめて普通の仕事をしようかとか思っていたんだよ。でもその後、すべてがイイ方に向かって行って、音楽も続けられたし、当時よりずっとハッピーな状態だと思うよ」
―レコーディング・アーティストに専念するかと思っていたんで、日本でまた観られることになって凄く安心しました。
「僕にとってはやっぱりDIRTBOMBSでツアーをするのが何より楽しいことで、しかもそれを日本でやれるんだから…凄く楽しいね!」

―この何年かの間に、周りを取り巻く状況も変化したと思うんですよね。デトロイト周辺のガレージ系の音楽が今盛り上がってきてるんですけど、そのことがミックさん自身に影響した、みたいなことはありましたか?
「う~ん…確かに状況は変わって…デトロイトのバンドの露出がずっと多くなって、プレスからも注目されるようになったんだけど…僕からすると、その状況ってちょっと、笑っちゃうよね(苦笑)。僕は15年間ずっと同じようなことをやってきたワケでさ?…誰も見向きもしてくれなかったのが、突然盛り上がっちゃって、レポーターやらレコード会社の人間やらが押し寄せて、地元の人間が観に来られないような状況で…それって一体何なんだ?…とか思っちゃうんだよね。こういう状況も流行りだからさ、どうせ1~2年すればまた誰も見向きもしなくなるさ。僕らはずっと変わらないスタンスでやって行くだけで…」
―THE WHITE STRIPESがブレイクしたことがきっかけになってると思うんですけど、THE GORIESの頃からあったはずの音楽がどうして今頃盛り上がってきたのかっていうのがミックさんなりの考えとか分析って、ありますか?
「WHITE STRIPESがきっかけになった…事実としては間違いないよね。だけど、僕たちにしてみれば、WHITE STRIPESは特別な存在でもなんでもなくて、デトロイトの一バンドに過ぎないんだよ。ところがプレスでは「THE BEATLES以来のスーパースター!」みたいにもてはやされているワケじゃない?…そのギャップが凄いんだよね。地元ではバーでジャック・ホワイトが歩いてる、それだけなのに、例えばヨーロッパに行ったりすると、誰も彼もがWHITE STRIPESのことを話してるワケだよ。確かにその恩恵はあるワケだ…特にジャック・ホワイトがTHE GORIESのファンだったってのもあって、それでGORIESが注目されるってのも事実としてあるワケで、それはまあ…ありがたいと言えば、ありがたいんだけどさぁ…(苦笑)」
―個人的には、WHITE STRIPESってあんまりピンと来ないんですよね。JON SPENCER BLUES EXPLOSIONよりもGORIESの方がずっと好きだったし。でもそのへんの人たちとは、仲はいいんですよね?
「(笑)うん、仲は良くて…ジョン・スペンサーとは12~3年くらいの付き合いだし、ジャック・ホワイトとも96~97年くらいから知り合いだし」

―今のデトロイト周辺の盛り上がりっていうのはジム・ダイアモンド(デトロイトのスタジオ、ゲットー・レコーダーを運営。当時THE DIRTBOMBSのベーシストでもあった)の手腕によるところが大きいんじゃないかと思ってるんですが、実際ゲットー・レコーダーでの録音に関わってきて、そのへんどう思いますか?
「(思わず吹き出して)ジムが聞いたらさぞ喜ぶだろうな。まあ実際のところ、ジムだけの功績とはいえないね(笑)。デトロイトから多くのバンドが出てきて、たまたまその大半にジムが関わっていた、みたいな?…僕自身がジムに負うところは、ほとんどないんじゃないかと思うけど(爆笑)。ジム本人は自分の功績だって言うだろうけどね。ワハハハハ。ともあれこの記事にジムの名前が出ていれば、彼は喜ぶだろうね(笑)」
―自分自身の話をすれば、2001年末にDOLLで毎月レヴューを担当する話が来て、それ以来新譜を買うことが以前よりも増えたんです。買って、裏を返すと、(エンジニアが)ジム・ダイアモンド、またジム・ダイアモンド。…ジム・ダイアモンドって誰なんだろう?っていうのがあって。
「ジムがスタジオを作ってレコーディングの仕事を始めたのが96年で、最初に手がけたのがBANTAM ROOSTER。DIRTBOMBSは3番目だったんだ。ジムはDIRTBOMBSのファンで、曲も知ってて、彼の方からバンドに入れてくれと志願してきたんだよ。最初は一時的なモノのつもりだったんだけど、結局7年一緒にやってる(笑)。DIRTBOMBSよりもスタジオの仕事の方が全然稼ぎになるんだけど(笑)、彼はツアーが好きで、それで今でもバンドにいるらしいよ」

―…では周辺の話はこれくらいにして、今度のアルバムの話をしましょうか。…THE DIRTBOMBSというのはアルバム毎にかなりサウンドが違うんですけど…今回は、ロックしてますよね!
「フハハハハハハ。確かに、アルバムを作る度に違ったモノを目指してきた。ひとつのイメージで捉えられたくなくて、いつもイイ意味で聴き手の期待を裏切るようなモノを作ろうとしてきたね。今回は、ポップ・アルバムを作ろうと思ったんだ。思いっきりラジオ向けのモノをね。で、成功したと思う。僕は基本的にラジオ向きのポップ・サウンドなんてモノは嫌いなんだ。…で、出来上がったアルバムは気に入らなかった(笑)。…ということは、ラジオ向きという狙いは成功したということで(爆笑)」
―(苦笑)…どうツッコんだらいいんだ?!…き、嫌いなんですか?…凄くいいアルバムになってると思うんですけど…。
「(笑)出来上がった作品自体は凄くイイと思うんだよ。ただ、例えばこの「Stop」っていう曲がラジオでかかったとして、自分がこのアルバムを買うかって言ったら、買わないね(笑)。大体最近ラジオは聴いてないんで、どっちみちそんな曲に出会うこともないだろうけど(笑)。でもこの「Stop」を作った時はとにかくラジオでかかる曲というのを前提にしていたんで、ラジオをいろいろと聴いたりして、今売れそうなモノを心がけて作ってみたんだよ。でも全部がそうかというと、今のラジオには当てはまらないモノもあって、「21st Century Fox」とか「Motor City Baby」とかは、例えば74年のラジオでかかってる曲、って感じだよね。そんなワケで僕としては複雑な気分なんだ。自分たちはポップ・バンドじゃない。でもこのアルバムを作ったことによって、DIRTBOMBSというのはただのガレージ・バンドじゃなくて、ポップな面もあり、一方でノイジーなこともやるんだ、とみんなにわかってもらいたかったのさ」
―実際、メジャーなプロダクションでラジオ向けな感じはしますね。ただ、これまでのDIRTBOMBSのレコードっていうのは、どれも“ダンス・レコード”だったと思うんです。でも今回はダンス・レコードの部分が半減して、頭からの3曲みたいにストレートにハードなロックで“モッシュ・レコード”みたいになってる部分もあるかな、って感じですね。
「フフフ。面白い意見だね。アメリカでは今回のアルバムはまったくハードとは言われてなくて、1stの『HORNDOG FEST』よりもハードじゃないとされているんだよ。だから、そういう風に言ってもらえると嬉しいね」

―アルバムの中でも曲が多彩で。特に今回はボーナス・トラックを除くと全曲オリジナルですよね。それで、これだけ幅を持たせた作曲が出来るということには、凄く驚いたんです。
「アリガトウ(日本語で)。THE DIRTBOMBSの場合、ひとつの音楽に固執しないというのが常にあって、デトロイトでも昔は、ひとつのスタイルしかやらないバンドはマジにやってない、みたいに捉えられる風潮があったんだよ。例えば同じ人のライヴを3日連続で観に行ったとしても、1回ずつ違う音楽をやってのけるみたいなことが当たり前のように行なわれていたんだよ。最近になって、ひとつの方向性だけをやり続けるバンドっていうのも多くなったんだけど、その中でも僕は今でも常にいろんなことをやりたいと思ってるんだ。DIRTBOMBSのユニークな部分というのは、ひとつにはドラムが二人、ベースも二人という編成にあるワケだけど、この編成でどれだけのことが出来るかというのも、ひとつの挑戦でもあるし。一言でロックといっても、実にさまざまな形態があるワケだから、違う音楽をやろう、という時に編成を変えるという手もあるワケだけれど、DIRTBOMBSの場合、あくまでも同じ編成で、その中で如何に違う音楽をやっていけるかというところをひとつの目標にしているんだ。基本はR&Rだけど、R&Rと言ってもいろいろあるし、いろいろなR&Rをやらない手はないね。…でもメタルはやらないよ(笑)。メンバー全員メタルは大嫌いなんだよね」
―(笑)

 …以下、後編に続く。ミックさん、更にディープに語ります。お楽しみに。


(2023.1.19.改訂)

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