DAYMAREの3枚(heaven in her arms+COHOL, TOUCHE AMORE & CHELSEA WOLFE)

刻光.jpgデイメア・レコーディングスから一挙リリースの新作3枚、まとめて紹介。









heaven in her arms/COHOL『刻光』(画像)

東京を中心に激音をまき散らしつつ、それぞれに際立った個性の2バンドによるスプリット。
それぞれ3曲ずつ。
heaven in her armsは、2010年にSONZAI RECORDSからリリースされた2ndアルバム『幻月』で初めて聴いた。
ギター3本の5人組。
時にリリカルで、時に激情…やたら陰影に富んだ楽曲を低い重心で聴かせる、異形のバンド。
今回もその異形ぶりは変わらず。
3本のギターの美しい絡みとタイトなドラムから轟音へ…という「黒い閃光」に始まり、リリカルな小曲「繭」を挟んで、6分38秒の「終焉の眩しさ」で真骨頂発揮。
ゴツいベースとブラストなドラムの上をトレモロリフが埋め尽くし、そしてブラック・メタル的なスクリームとモノローグの間を行き来するヴォーカル。
その激音がメロディアスな演奏に移行していく…3曲でも、いや1曲でも陰影富みまくり。

一方のCOHOLは、初めて聴いたんだけど。
02年結成というから、既に活動11年。
非常にブルータル。
1曲目から「不毛の地」…と、タイトル見ただけで聴く前から緊張感。
(以下、「木霊」「疎外」と続く)
こちらも真ん中にアコースティックな感じの小曲(それも非常に不穏)を配しつつ、その前後は随所に凄まじいブラストと呪わしいスクリーム。
特にラストの「疎外」はのっけからブラスト全開のテクニカルなファスト・チューン。
3曲ながら、終末感溢れる狂気じみたブラック・メタルに圧倒されます。



TOUCHE AMORE『IS SURVIVED BY』

2007年に結成されたLAの激情系スクリーモ5人組…の3rdアルバム。
このバンド、なんというか、聴きやすい。
緩急がある楽曲、メロディアスなアレンジ。
ジェレミー・ボルム(ヴォーカル)は、速い曲でも遅い曲でも全編絶叫なんだけど、激情スクリーミングながらも切迫感だとか殺気立ったような部分はあんまり感じられず、一種の“軽さ”みたいなモノがある。
(アコースティックでフォーキーな「Praise/Love」でもやっぱり絶叫なのはちょっと笑った。しかもちょっと声が遠い)
随所にアコースティック・ギターをフィーチュアしたアレンジの幅広さも魅力的で、まごうかたなきハードコア/スクリーモながらも、個人的には…演奏やアレンジの一部に、どこか80年代の元祖メロディック系ハードコアだとか、90年代のいわゆる“カレッジ・ロック”みたいな部分を感じます。
(そういやHUSKER DUとかTHE REPLACEMENTSとかも、初期は爆裂だったしなあ)
タイラー・カービー(ドラム)の、ダイナミックにして多彩なプレイも良い。



CHELSEA WOLFE『PAIN IS BEAUTY』

突如として耳目を集めるようになった新世代ゴス(?)の歌姫、チェルシー・ウルフ…も、もう4thアルバム。
昨年には来日も果たしていますね。
(俺行ってないけど)
前作がアコースティック・アルバムだった反動か…録音自体は4人編成のバンド形態ながら、ベン・チゾルム(ベース)が担当するシンセサイザーと打ち込みが前面に出るようになっていて、全体にエレクトロ色の強い音に。
ゆったりとしたイントロから、チェルシーのミステリアスなヴォーカルが入って来て、徐々にきしみを上げながら厚みを増していくダークな音像…という曲が多いのだが。
「We Hit A Wall」のメロディにちょっと昔のDEPECHE MODEを思い出したり。
「Destruction Makes The World Burn Brighter」が妙にあっけらかんとした、まるで往年のガールズ・ポップを思わせるようなメロディだったり。
かと思えば「They'll Clap When You're Gone」みたいなアコースティック・ナンバーもあったりと。
以前にも増して多面的です。
海外のサイトでは、“シンセサイズド・ドゥーム・フォーク”とか書いてあったな(笑)。

圧巻なのは、8分30秒に及ぶ「The Waves Have Come」。
タイトルでピンとくる人も多いかと思うけど、東日本大震災にインスパイアされたという大曲。
現時点で歌詞がわからないので、内容について触れられないのは残念だが、ちょっとアイリッシュ風でもある、優美にして力強いメロディと歌い回しに引き込まれる。

そして、ラストをアコースティックに締める「Lone」。
スージー・スーだとかジャーボウだとか、暗黒系歌姫の系譜に連なるチェルシー・ウルフだと思うけど、この曲でのクリアな歌声は、まるでエンヤ…。
まだまだ伸びしろたっぷりな気がするチェルシーであります。



3作とも9月25日リリース。


(2024.1.1.改訂)

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