NASHVILLE PUSSY INTERVIEW 2006(前編)

NASHVILLE PUSSY GET SOME!.jpg アメリカの“女アンガス”(?)、ライダー・サイズを擁するナスティR&R4人組、NASHVILLE PUSSY。この前のアルバム『FROM HELL TO TEXAS』は国内発売されなくて残念。で、その前のアルバム『GET SOME!』(2005年)が出た後に2度目の来日を果たしたときの、インタヴューが以下。
 インタヴューはブレイン・カートライト(ヴォーカル、ギター)とライダー・サイズ(ギター)の、真性R&R夫婦に行ないました…が、この二人、オフではステージでのワイルドなイメージと全然違ってた。物静かで紳士なブレイン、キュートでチャーミングな姐さんライダー。二人ともカフェラテ飲んでましたよ。
 話を聞いたのは渋谷で。元の記事はDOLL2006年10月号に掲載された。まずは前編。

(2006年6月2日/Translated by 吉田香織)


―3年前の池袋でライダーに指舐められたんだけど、覚えてますか?
ライダー・サイズ「アナタだったの?…Oh My God!…忘れようと思ってたのに!(笑)」
―(笑)3年ぶりの日本へようこそ!…再来日までの3年は長く感じましたか? 短く感じましたか?
ブレイン・カートライト「毎年日本に来たいくらい待ち遠しかったよ」
ライダー「呼んでくれればいつでも来るわよ!(笑)」
―アルバム・リリースも3年ぶりでしたが、その間の活動はどんな感じでしたか?
ライダー「9年ぶりのヴァケーションを楽しんだり。…っていうか、実際にはヴァケーションにはならなかったんだけど(笑)。ケイティ(3代目ベーシスト)が抜けたときに、いったん活動を休止して、余暇を楽しみながら新しいベーシストを探そうとか思ってたんだけど、結局そうはならなかったわね」
―新しいベーシストのカレンはいつ加入したんですか?
ブレイン「2年前くらいかな。彼女とは、共通の友人を介して知り合ったんだ。彼女が入ってから新作の曲作りを始めて…とにかく自分たちが納得出来る、完璧な曲を仕上げたかった。もちろんその間にライヴもこなして。今回はプロデューサーのダニエル・レイとの曲作りにかなり時間をかけたね。これまではいつもスケジュールに追い立てられていたところを、今回は時間的な制約も少なく、自分たちが何故バンドをやっているのかとか、その存在意義なんかも考えながら制作することが出来たね」

―ちなみに前任ベーシスト、ケイティの脱退の理由は何だったんですか? 差し支えなければ、教えてください…。
ブレイン「彼女は、俺たちのツアーのサウンドマンで、前座を務めたカナダのバンドBIONICのメンバーでもあったイアン・ブラートン(元CHANGE OF HEART)と恋に落ちてしまってね…。やっぱり色恋にはかなわないよなあ(笑)」
ライダー「NASHVILLE PUSSYのモットーは“Keep On Fuckin’”だから、文句は言えなかったワケ(笑)」
―ケイティは今、新しいバンドやってますね。
ブレイン「ああ、C’MONってバンド。カナダをツアーしたりしてるね。…ケイティがバンドにいてよかったことは、日本語が出来たってことだな。日本ツアーの間はとても便利だった(笑)。みんなで飲んでいて、ジェレミーがバーにジャケットを忘れたことをタクシーに乗ってから気付いて…で、ケイティが携帯電話でバーに電話して、確認してくれたりとかさ」
―カレンはどんな人ですか?
ブレイン「とてもいいミュージシャンだよ」
ライダー「しかもクレイジー!(笑)…このバンドにはパーフェクトね。遺伝子レベルでNASHVILLE PUSSYメンバーって感じの(笑)」
―NASHVILLE PUSSY参加以前のHEMI CUDAではかなりエロい衣装で有名だったようですが、NASHVILLE PUSSY加入後はパンツルックみたいですね。
ライダー「(笑)以前のバンドでは派手なカツラをかぶったりプラスチック製のコスチュームを着たりもの凄いハイヒールを履いたり、そんな感じでライヴをやっていて、NASHVILLE PUSSY加入直後も“ライヴでは毎回衣装を変えるんだ!”とか言ってたんだけど、結局途中で面倒臭くなったみたいで(笑)、“もういい! ロックに専念する!”とか言って今のスタイルになったのよ。でも今でも凄くセクシーよ」

―コリー(初代ベーシスト)から数えてベーシストも4代目ですけど、ブレインの両サイドに女性メンバー、というのはもうNASHVILLE PUSSYのお約束というか、決まりごとなんですね!
ブレイン「そう。コリー、トレイシー(2代目ベーシスト)、ケイティ…みんなとてもキュートだった。両脇に女性メンバー、それがNASHVILLE PUSSYの方程式さ」
ライダー「女独りに男3人だと、けっこう気持ち悪いわよ(笑)。ただ、ブレインとジェレミーは、典型的なマッチョじゃなくて、ちゃんと女性に対しての思慮をわきまえたクールな男たちなの。それでNASHVILLE PUSSYはバランスが取れているのよ。男ばかりのマッチョなバンドよりこっちの方がクールだし、上手く行ってると思うわ。見た目もいいし、第一私は今まで、しっくり来る男性ベーシストに会ったことがないのよ(笑)」
―基本的にマッチョな音楽性なのに、フェミニンな要素も持っている、凄く珍しいバンドですよね。
ライダー「よくバンド内のジョークとして言ってるのが、“このバンドにPussyはいない”って(笑)」(この場合の“Pussy”は“女々しい奴”とかそういう意味)

―じゃあ、新しいアルバムの話をしましょうか。ジャケットがいいですね。ピンボールみたいで。
ライダー「ウチにはピンボール・マシーンがあるのよ~」
―うわ~、アメリカだなあ。
ライダー「実はこれまでのアルバムも、アートワークには必ずピンボール風のデザインを取り入れてきたのよ。アルバムのクレジットにも、ウチにあるピンボール・マシーンのメーカー“Williams And Bally”へのサンクスが載ってるし。でもこのメーカーはもう倒産しちゃって存在しないんだけど…。新作のジャケットの下の方に書いてある“Ballsy”(この場合“タマが据わっている”くらいの意味)っていうロゴは、このメーカー名にひっかけたの(笑)」
―日本ではピンボールは絶滅寸前です。俺の友人たちはピンボール振興会みたいなのを作って啓蒙活動してるくらいで、日本滞在中にピンボール・マシーンは見かけないと思いますよ…。
ライダー「私たちは、お酒を飲んでもピンボールの話ばかりになってしまうの。いろいろヘンなアイディアを出し合ったり(笑)。“ボールがここに当たったらNASHVILLE PUSSYのサインをゲット!”とか、“ここに当たったらバックステージにご招待!”とか(笑)。日本のメーカーからNASHVILLE PUSSYヴァージョンのピンボール・マシーンを出してくれないかしら?…少なくともこのバンドの4人は買うわよ!(笑)」

―(笑)…さて、アルバムの中身の話も。リリースまでには3年あいてますけど、実際の制作期間は?
ライダー「プリプロダクションは長かったんだけど、実際のレコーディングは13日か15日くらい。レコーディング日程の後にもうツアーがブッキングされちゃってて、レコーディングの後には機材をそのままツアー・バスに積み込んで、ツアーに出ちゃったのよ。プリプロダクションには5~6ヵ月かけたわね。今回は、偉大なるRAMONESのプロデューサー、ダニエル・レイとのソングライティングに時間をかけたから」
―その、ダニエル・レイがプロデュースを担当した経緯は?
ブレイン「彼は元々、NASHVILLE PUSSYのマネージャーの友達だったんだ。ダニエルの前に、BLACK CROWSや映画『TEAM AMERICA』のサントラを手がけたジョージ・ジャキュラスっていうプロデューサーと話をしていたんだが…」
通訳さん「ジャ…ジャキュラス?」
ライダー「(笑)なんか“ドラキュラ”みたいなスペルなのよね。ギリシャ系の名前ですって」
ブレイン「その後、ダニエルと電話しているうちに意気投合してね。ダニエルはニュージャージー出身なんだが、ニュージャージーっていうのは“北部のケンタッキー”とでも言うべき田舎っぽさがあるんだよ。そういうところも俺たちに合ってたね。ダニエルは最近ロニー・スペクターともやってたし、長いキャリアがあるのに決してコマーシャリズムに走らず、クールで良質な音楽を作ろうという誠意に溢れてる」
―ダニエル・レイのプロデュースの特徴として、プロデュース作品の作曲やアレンジに深く関わる、というのがあります。今回もそうなっていますね。
ブレイン「壁にぶち当たったりするといつもすぐにアイディアを提供してくれて、制作はスムーズだったよ。ダニエルほどの豊富なアイディアの持ち主とは今までやったことがなかったね」
ライダー「今までは、プロデューサーにも曲作りにはタッチさせなかったのよ。でもダニエルはアイディアをたくさん出してくれて、いつも新しいことをやろうと励ましてくれたの。もしそれが上手く行かなかったらまた別のことをやってみようって、とにかく次から次へと新しいアイディアを出してくれた。それまでは、曲のことを自分の子供みたいに思ってて、誰にも手出しはさせなかったんだけど…それは愚かなことだったわ(苦笑)。今回は曲に自由度を与える試みをダニエルが気付かせてくれたの」

―確かに、いろいろな意味で変化のあったアルバムだと思います。特に個人的に一番印象的だったのは、これまでのアルバム以上にコーラスが多用されていたことで。コレは、主にメンバーが変わったことによるモノでしょうか。
ライダー「そう、大人になったのよ(笑)」
ブレイン「うん、新しいベース・プレイヤーが加入してから、コーラスの比重が高まったね」
ライダー「ケイティがいた頃から、私もだんだんステージで歌うようになってきて。その後、歌えるベーシスト(カレン)も加入したし、私も自分のヴォーカルに自信が出てきて、それらがちょうどタイミングよく重なった感じね。これまでは、女性メンバーということで却って人一倍ハードさを意識して、フェミニンじゃないイメージを打ち出していたんだけど、最近はこのバンドなりのイメージも受け入れられるようになって、そろそろ女性コーラスが聴こえたからってリスナーがギョッとすることもなくなったでしょう(笑)」
―今回初めて、正式にライダーとカレンが楽器以外に“バッキング・ヴォーカル”とクレジットされてますね。
ライダー「カレンはとってもイイ声してるのよ」
ブレイン「NASHVILLE PUSSY加入以前にも歌ってたしね」
ライダー「NASHVILLE PUSSYではキタナイ声でコーラスさせてるけど、他のバンドではちゃんとキレイな声で歌ってるのよ(笑)」
―今後、ライダーのリード・ヴォーカルとかは?
ライダー「あるかもしれないし、ないかもしれない!(笑)」


 …以下、後編に続く。お楽しみに。


(2023.1.25.改訂)

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