当時の最新アルバム『GET SOME!』及びその他の話を、昨日の前編に続けてどうぞ。
―バンドの変化として、デビュー以来アルバム毎にブルージーなテイストが自然に増えてきましたが、今度のアルバムでも更にそうなっていますね。その一方でポップな部分にも磨きがかかったと思うんです。
ライダー「イェー、ブルージーでポップ。そのとおり、私もそう思うわ。グッド!(笑)」
―メロディがポップになってきたのは、“ダニエル・レイ効果”でもあるんでしょうか?
ブレイン「確かに、ダニエルがバンドに潜在していたキャッチーさを引き出してくれたね。元々彼はキャッチーさを強調するような曲作りが上手いし、それで今回ポップな部分が前面に出てきたんだと思う」
―オリジナル曲も凄くよく書けてるし…一方でNASHVILLE PUSSYというバンドは、カヴァー曲のセンスが凄くイイですよね(…と褒めたせいか、この晩のライヴでは「DOLL MAGAZINEに」とMCしてエース・フレーリーのカヴァー「Snowblind」を演奏)。
ライダー「ありがとう! やっぱり自分たちのセンスがイイからだと思うわ(笑)。ウチのレコード・コレクションは膨大なものがあって、ハウス・パーティーなんかすると、ブレインがよくDJ役を買って出るんだけど、何か回すと“この曲は何?”とみんなから質問攻めに遭うくらい、いろいろなレコードを持ってるのよ」
―前作に入ってたMOLLY HATCHETの「Flirtin’ With Disaster」(2002年のアルバム『SAY SOMETHING NASTY』国内盤のボーナス・トラック)も凄く良かったし、今回はIKE & TINA TURNERの「Nutbush City Limits」なんて…。
ライダー「MOLLY HATCHETは、今までカヴァーした曲の中で一番難しかったわね。あの曲をレコーディングしたのはコリーが辞めてトレイシーが加入する前の時期で、(ブレイン、ライダー、ジェレミーの)3人でレコーディングしたの。ブレインが短いギター・ソロを2回弾いて、私がギター3本とベースを重ねたの。大変だったわ。凄く面白かったんだけど、ライヴで演るにはもの凄くいっぱい練習しなきゃならなかったし!…腕が何本もあれば簡単なんだけど(笑)。でも、MOLLY HATCHETの前のヴォーカリストには“いいカヴァーだ”って褒めてもらえて嬉しかったわ」
―大体、MOLLY HATCHETのカヴァー演ってるバンドなんて、他に知りませんよ。
ライダー「あははは」
ブレイン「確かに(笑)。あとは最近のMOLLY HATCHET自身か?…今のMOLLY HATCHETにはオリジナル・メンバーは二人くらいしかいないし、ほとんど昔のMOLLY HATCHETをカヴァーしてるような状態だ」
―MOLLY HATCHET自身は、LYNYRD SKYNYRDの「Free Bird」をカヴァーしてましたね。
ブレイン「それは知らなかったな。でも昔の彼らはそういうのも演ったかもな」
―今回、リック・リチャーズ(元GEORGIA SATELLITES)が参加していますが(スコット・アラン・ビラムのカヴァー「Raisin’ Hell Again」でスライド・ギターをプレイ)…彼とは以前から知り合いだったんですか?
ブレイン「思い出させてくれてありがとう。彼には電話する用事があったんだ(笑)。…彼とはここ2~3年で凄く親しくなったんだけど。ライダーは元々リックのガールフレンドと仲がよかったんだが、リック本人とは最近になってから共通するところがたくさんあるのを実感してね。これまでNASHVILLE PUSSYが演ってきたような、クソ溜めみたいなクラブとかホテルとかレストランとかでの演奏は、リックも全部経験済みだしね(笑)。ただひとつ違うのは…リックの方はプラチナ・レコードを持ってるってことだな(笑)。今はリハーサルの場所も同じビルにあるスタジオだよ」
ライダー「(新作に入っている)「Come On Come On」は元々12~13分あるようなブルーズ・ジャムから出来た曲なんだけど、スタジオでジャムっている時に、外で聴いてたリックが“GEORGIA SATELLITESかと思った”って(笑)。これ以上はない褒め言葉で、凄く感動したのよ。それ以来お互いのことを意識するようになったっていうのもあるわね」
―当然、80年代当時はGEORGIA SATELLITESのファンでしたよね?
ブレイン「初期の彼らがドサ廻りみたいなツアーをしていた1986年に、ケンタッキー州のレキシントンで初めてライヴを観たんだ。俺がまだNINE POUND HAMMERをやってた頃で、NINE POUND HAMMERのヴォーカルの奴と観に行った。で、客は俺達だけだった(笑)。彼らはその晩3セット演って、俺達はそれを全部観て帰った。メンバーにハッパを調達してやったこともあるし(笑)、ライヴは6~7回観たよ。アルバムは全部持ってるし、ブートレグも新宿の「AIRS」で買ったし(笑)、大ファンだったよ。アトランタ周辺のそんなシーンからGEORGIA SATELLITESやBLACK CROWSやBUCKCHERRYみたいな、南部独特のギター・バンド…ハード・ロック、そしてTHE FACESやTHE ROLLING STONESみたいな70年代のロック、それにパンクを掛け合わせたようなフィーリングのバンド連中がたくさん出てきたね」
―今話に出てきましたけど、ブレインはNINE POUND HAMMERもやってますね。『KENTUCKY BREAKDOWN』(再結成アルバム:2004年)も凄くよかったです。DOLLでもレヴューしましたよ。
ブレイン「ありがとう。そのレヴュー読んでみたいな(笑)。10年前、NASHVILLE PUSSYが結成された時期が、NINE POUND HAMMER解散の時期だったんだが、その直前に日本ツアーの話があって、とりあえず日本に行こうということになった。日本では5回ライヴをやって、もの凄く楽しかったんだ。今NINE POUND HAMMERは再結成しているんだけど、日本から声がかかればメンバー全員すぐ飛んでくるだろうね。俺も『KENTUCKY BREAKDOWN』は大好きなアルバムだよ。それで今回俺は、70日間のツアーをやってるんだ。NASHVILLE PUSSYのヨーロッパ・ツアーが終わって、俺はそのままNINE POUND HAMMERのヨーロッパ・ツアーに入って、12時間飛行機に乗ってアメリカに戻って、すぐにオーストラリアと日本」
―はあ…(驚愕のため息)。NINE POUND HAMMERはシングルも出ましたね。コレも俺、DOLLでレヴューしたんですけど…。
ライダー「ありがとう!」
―このシングルが出たとき、再結成NINE POUND HAMMERもコンスタントに活動してたのか、と思ったんです。
ブレイン「2~3年前に一度NINE POUND HAMMERとして再結成ライヴをやって、その後も『KENTUCKY BREAKDOWN』が出るまでに何回かライヴをやったよ。『KENTUCKY BREWAKDOWN』と同時に昔のアルバムも再発されたりして、その後はヨーロッパで2回ツアーした。ただ、俺以外のメンバーみんな昼間の仕事を持っていて、サラリーマンとかソーシャル・ワーカーもいるんで、NINE POUND HAMMERとして長期のツアーはなかなか難しいね。最近の活動は…アメリカに“カートゥーン・ネットワーク”っていう、大人向けのアニメばかり流すTV局があって、そこにNINE POUND HAMMERの大ファンがいて、是非番組のテーマソングを作ってくれといってきた。それがクレイジーな作品でさ、“タクシー運転手をやってるアル中のネズミ”が主人公で(笑)。それで「12 oz. Mouse」(12オンスのネズミ)って曲を作った。32秒の曲だが、NINE POUND HAMMER節全開のイイ曲だよ」
―今回、両バンドのメンバー全員連れてきて、NINE POUND HAMMERとNASHVILLE PUSSYの二本立てでツアーしてほしいと、DOLLでも書いたんですが。
ブレイン「メンバー全員が仲良く出来るかどうか微妙だな(笑)。まあ、ベルギーのフェスティヴァルで、金曜日のヘッドライナーがNASHVILLE PUSSY、土曜日のヘッドライナーがNINE POUND HAMMERってことはあったけどな」
ライダー「ブレインがベルギーの王様になった週末よ(笑)」
ブレイン「ベルギーにはもう王様がいるじゃないか…」
ライダー「二番目の王様ってことで(笑)」
(ここで二人ともパスタを注文。食事しながら、AC/DCのマニアックな話題でしばらく盛り上がる。NASHVILLE PUSSYオーストラリア・ツアーのローディーに、初期AC/DCのベーシスト、マーク・エヴァンスの親戚がいたとか、そういう話)
―で、今回の来日は、普通のプロモーターを通さずDEE(当時DIRTRUCKS、現BROKEN COUNTRY GIRLS)が個人でコーディネイトしたような感じですよね。
ライダー「そう、DEEが全部やってくれたのよ。とても感謝してるわ。前回の来日は自由が少なくて…楽屋から出ちゃいけないとか言われて、対バンの演奏も全然観られなかったのよね…私たちが暴れるとか警戒されたんだろうけど(笑)」
―今回は精一杯パーティーしてくださいね!…俺はライヴ観たら帰って仕事しますけど(苦笑)。今回は東京公演2回だけですが、聞くところによると大阪あたりからもファンが来るみたいですよ。
ライダー「NASHVILLE PUSSYでは今まで東京でしか演ってないのよね…。NINE POUND HAMMERでは大阪や名古屋でもライヴしたんだけど。次に日本に来る時は、日本全国を回りたいと思ってるわ。…とりあえず昨日は横浜で野球を観てきたんだけど。球場で暴動が起こってた(笑)」
ブレイン「ニュース見たけど、そのことは取り上げられてなかったなあ。昨日の夜遅かったからかなあ」
―何があったんですか?
ライダー「最後の方でフェアかファールか怪しい判定があって、ファンがグラウンドになだれ込むような暴動になってたのよ」
―そうだったんですか…。
ライダー「アメリカじゃ野球の試合で気に入らないことがあるとお客のブーイングが凄いし、選手に向かってなんか硬いものとか投げつけたりするのよ(苦笑)。日本の野球ファンはおとなしい、いい子ちゃんたちだと思ってたんだけど、最後に凄い盛り上がりで面白かったわ(笑)」
―(笑)今日と明日はもっと盛り上げましょう! DJも素晴らしいですし。
ライダー「そうね!…DJといえば、オーストラリアのシドニーとニュージーランドのオークランドではブレインがDJをしたのよ。でもブレインがDJをやってるのは秘密にしてね(笑)。DJとしての名前も持ってないし」
―(笑)…では最後に、DOLLの読者様にメッセージをお願いします。遠くて来られない人とかもいると思うんで。
ブレイン「(来られない人は)また次の機会に!」
―あっさりしてるなあ!(苦笑)
ライダー「(東京まで)ドライヴして来なさい!(笑)」
この晩のライヴは、渋谷のDeSeOで行われた。そりゃもうカッコ良かったさ。また観たいな、NASHVILLE PUSSY。
(2023.1.25.改訂)
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