HAWKWINDの詩人兼ヴォーカリスト、ロバート・カルヴァート…の2ndソロ・アルバム。1973年の1stソロ・アルバム『CAPTAIN LOCKHEED AND THE STARFIGHTERS』(名作)同様、コンセプト・アルバムとなっている。
『CAPTAIN LOCKHEED AND THE STARFIGHTERS』が73年当時のHAWKWIND+PINK FAIRIES混成軍をバックに、演奏やアレンジがほとんどHAWKWIND状態だったのに対して、こちらの2ndはやはり75年当時のHAWKWINDメンバー(+ブライアン・イーノ人脈)を中心としながらも、楽曲やアレンジ面でロバート・カルヴァートのオリジナリティがより前面に出た感じ。
参加メンバーは『CAPTAIN LOCKHEED AND THE STARFIGHTERS』でも中心的役割を担っていたポール・ルドルフ(ギター、ベース:元PINK FAIRIES~HAWKWIND)を筆頭に、 アンディ・ロバーツ(ギター、キーボード他:PLAINSONG、GRIMMS他)、サル・メイダ(ベース:元MILK 'N' COOKIES他)、ブライアン・タリントン(ベース:THE WINKIES)、マイク・ニコルズ(ドラム:後にGLORIA MUNDIに参加)、ニック・ターナー(サックス:HAWKWIND)、サイモン・ハウス(ヴァイオリン:HAWKWIND)。
そしてプロデュースは(前作同様)イーノ。
何気に豪華。
ロバートはヴォーカルだけでなく様々な楽器を担当し、ヴァイキング風のホルンも自ら吹いている。
ロッキードF104が西ドイツ空軍に採用される上での顛末をブラックに戯画化した『CAPTAIN LOCKHEED AND THE STARFIGHTERS』に対し、この2ndアルバムは、ヴァイキングのレイフ・ザ・ラッキーが実はコロンブスより500年も早くアメリカ大陸を発見していて…という物語を主軸に、ロバート・カルヴァートによるアメリカ文化とアメリカ音楽巡り、的な内容を北欧神話と無理矢理合体させたような、かなりキテレツなコンセプト。
パロディや批評的な精神性が音楽そのものより先に来ているような感覚もあって、部分的にはTHE RESIDENTSや一時期のTHE FUGSにちょっとだけ共通するセンスを感じないでもない。
THE BEACH BOYSの見事なパロディ「The Lay Of The Surfers」は、ヴァイキングの視点から“お前ら俺たちを蛮族呼ばわりするんだろうよ/蛮族・ば・ば・蛮族”とか歌われるサーフ・ロック。
ゆる~いボ・ディドリー・ビートの「Magical Portion」では“アメリカの全てが素晴らしい/コカコーラにネオンサイン/ブロードウェイは俺の場所/たとえ絶対に行けない場所だとしても”と歌われる。
「Moonshine In The Mountain」はカントリー。
「Storm Chant Of Skraelings」は、ネイティヴ・アメリカン風のズンドンドンドン、というリズム。
レゲエとカリプソを混ぜたみたいな「Volstead O Vodeo Do」は、禁酒法時代のシカゴを舞台に。
(ニック・ターナーのサックス・ソロがナイス)
いわゆる“神々の黄昏”とロックを引っかけた「Ragna Rock」は、ロバート・カルヴァート流のファンクか。
ロバート・カルヴァート自身はアメリカン・ミュージックの見本市的なモノを提示しているつもりだったのかも知れないけど、何しろ英国特有な感じの黒いユーモアと湿った感触が前面に出ているんで、結果としてなんだか非常に独特な作品になっている。
音だけ聴いているとなんだかつかみどころのない感じかも。
歌詞を眺めながらだとより楽しめると思う。
(詩人だけに? 表現はあんまりストレートじゃなくて、かなりわかりづらいが…)
同時期のブライアン・イーノのアルバムとは参加メンバーも重複していて、イーノの作品と並べて聴きたい1枚です。
(2024.4.8.全面改訂)
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