その大半はミュージシャンを題材としたモノ。
(レミーとかオジー・オズボーンとかMOTT THE HOOPLEとかTEENGENERATEとか)
あとは映画監督。
(ジョージ・ルーカスとかロジャー・コーマンとか)
今回のお題は、日本人として初めていわゆるスーパーモデルとなった山口小夜子。
生前の彼女と交流のあった松本貴子監督による一作。
珍しく、試写会に先立って監督の挨拶があり。
始まってみると、ナレーションの代わりに監督の独白風の字幕がフィーチュアされていて。
“ワタシ”という一人称が多く出てくるその字幕を見るに、コレは山口小夜子というよりも松本貴子監督本人の思い入れのようなモノに引きずられた映画になっているのでは…とか思ったのだが。
しかし話が進むにつれ、山口小夜子の圧倒的な魅力と謎めいた多面性にどんどん引き込まれていったのだった。
山口小夜子といえば、切れ長の目に前髪スパーンの真っ黒なおかっぱ頭、そしてSTEELY DANのアルバム・ジャケット。
俺を含め、ロック・ファンの認識する山口小夜子って、こんなもんじゃないかね。
正直言って80年代以降の活動についてはほとんど知らなかったんだけど、この映画を観て興味深かったのは、むしろ資生堂との専属契約が切れた1986年以降の活動ぶりだった。
山海塾とコラボレーションしてみたり、50歳でDJデビューしてみたり(!)。
40代以降のランウェイでの動きは、明らかに30代半ばまでとは違う、舞踏の影響を取り入れたと思われるユニークなモノになっていて。
しかも何歳の映像見ても全部きれいなんだぜ。
時にぞっとするほど美しい。
あの特徴的な切れ長の目も、素では大きくて丸かったというのを知って驚愕。
(メイクって凄いね)
生まれついてきれいだっただけじゃなくて、徹底した自己プロデュースと努力の賜物が世界的な成功だったのだ、と知れる。
もちろん本人は既にこの世の人ではないので、山口小夜子を知る多くの人のインタヴューが挿入される。
それも天児牛大、ジャン・ポール・ゴルティエ、立花ハジメ、高田賢三、山本寛斎etc…と実に豪華。
そして、松本貴子監督や丸山敬太(デザイナー)ら、山口小夜子を信奉する人々が彼女を永遠のモノとすべく立ち上げたプロジェクトの成り行きが、ユニーク過ぎる。
(コレは実際に映画観てください)
丸山敬太の涙に、思わずもらい泣きしそうになった。
徹底した自己プロデュースで、苦痛を厭わず美を追求した山口小夜子。
ところが、体調不良に「寝れば治る」と言って一人帰宅し、急性肺炎で突然亡くなってしまう。
ここにも人生の無常を感じずにいられない。
しかし、山口小夜子を単なる過去の人にしない…という周囲の情熱が、死後8年目にしてこの映画を生んだ。
実に美しいドキュメンタリーだ。
『山口小夜子 氷の花火』、10月31日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開。
(C)KAZOU OHISHI
(C)2015「氷の花火 山口小夜子」製作委員会
(2024.8.27.改訂)
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