RADWIMPS。
個人的には、そういう人気バンドがいることは知ってる、ぐらいの認識だった。
一方で、個人的には、売れるモノにはそれなりの理由があるし、メジャーなモノには大抵何かしら見るべきモノがある、と思っている。
この映画も、結果的にとても面白かった。
メジャー・デビュー10周年を迎え、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、台湾と回る初めての本格的な海外ツアーも決まったRADWIMPS。
(アジアは2014年にツアーしているが)
ところが山口智史(ドラム)が神経疾患のため離脱。
冒頭から大変なことになっている。
しかしバンドは、スタジオでアルバイトをしていた23歳の森瑞希をサポート・ドラマーに起用して海外ツアーを成功させ、更に刃田綴色(元・東京事変)を加えたツイン・ドラム編成で国内ツアーへと。
SpitzやMr.Childrenといった豪華なゲストを迎えた“胎盤”(対バン)ツアーを経て、バンドは超満員の幕張メッセでのワンマン・ライヴへと歩みを進める。
そういったあれこれが、かなり淡々と映し出される。
森瑞希もすぐにバンドに馴染んで、ちょっとしたトラブルはあってもツアーは各国で成功裏に終わり。
ツイン・ドラム化でグルーヴは強化され、豪華な対バン(最近話題のあのバンドも登場)とも楽しくコラボレーションし。
適宜挿入されるナレーションもあって、物語はわかりやすくスムーズに進んでいく。
それだけに、途中まではあまりにスムーズというか、食い足りない作品として観終えてしまうのではと思いながら観ていた。
監督自身が「この映画でRADWIMPSの何かを明かしたとか、何かを暴いたということは、ひとつもないんです」と語っている通り、この映画はRADWIMPSの創作の秘密や知られざるバンド内部に迫るようなことは、何ひとつしていない。
しかし。
バンドとフラットな距離感を保ったまま淡々と活動の日々を映し出して行くカメラによって、徐々に炙り出されていくモノがある。
それは主に、山口智史を失ったことによって生じた、巨大な欠落。
そもそもリズムの要であるドラマーがいなくなったのだから、当然とんでもない事態のはずなのだが、この映画はそれをセンセーショナルに取り上げない。
だが100分に及ぶ作品中で、山口の不在という決定的なダメージは、じわじわと明らかにされていく。
そして、バンドがそれを乗り越えてワンマン・ライヴの成功へと歩んでいく姿をとにかく淡々と映し出すことで、まったく大上段でないままに、喪失と再生の物語を見事に描いている。
この作品をオファーされるまでRADWIMPSをそれほど知らなかったという朝倉加葉子監督のセンスが光る。
草食系という言葉が似合いそうな、各メンバーのキャラクターも良い。
バンドに心底惚れ込んでいることが窺われるスタッフたちの表情もイイ。
正直言って俺がRADWIMPSのCDを買うことは今後もないと思うが、とても楽しめた映画だった。
『RADWIMPSのHESONOO Documentary Film』
3月11日(金)~24日(木)、全国でロードショー。
監督:朝倉加葉子
配給:東宝映像事業部
Copyright ©2016“HESONOO”FILM PARTNERS
公式サイト:RADWIMPSNOHESONOO.jp
追記:
その後えらく雑な歌詞の曲が出て、このバンドをすっかり嫌いになってしまった。
残念だが仕方ない。
(2022.4.25.)
追記2:
その後長年不倫していたというギタリストが脱退。
やれやれ、だなあ。
一方、山口智史は自身のミュージシャン生命を奪ったジストニアについて研究を続けているという。
(2024.10.25.)
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