超高速ハードコアとレゲエを交互に繰り出す、その特異過ぎる音楽性でアメリカン・ハードコア史上に残るバンドとなったBAD BRAINS…のドキュメンタリー映画。
原題は“BAD BRAINS/A BAND IN DC”で、コレはもちろんBAD BRAINSの名曲「Banned In DC」にひっかけている。
監督はジョニー・ラモーンのドキュメンタリー映画『TOO TOUGH TO DIE』で知られるマンディ・スタイン。
(サイアー・レコーズのシーモア・スタインの娘なのか!)
2007年に制作が開始されてから完成までに5年かかり、日本公開は更に4年遅れだが、まずは日本でBAD BRAINSの映画が観られることを喜ぼう。
しかし、不安もあった。
90年代以降のBAD BRAINSといえばH.R.(ヴォーカル)の奇行と離脱が問題となり。
来日時にDOLLに載ってたインタヴューでも、完全に頭おかしい人という感じだったし。
どんな映画になっているんだろうか。
H.R.、大丈夫かなあと。
映画は、BAD BRAINSの2007年のツアーの模様と、昔の貴重な映像、そして様々なエピソードを描いた再現フィルム的な漫画を交互に映し出す。
結論から言うと…H.R.、全然大丈夫じゃなかった(苦笑)。
ステージでまともに歌わず、観客を見下すようなMCを繰り返したH.R.に対してダリル・ジェニファー(ベース)がブチ切れる場面から始まるくらいだから、コレはもう…。
防弾チョッキ(…)を着込んでパンパンに膨らんだ服装で、かつ終始笑顔のまま、カメラに向かって半ば意味不明な発言を繰り返すH.R.…映画の中でも言及されていたが、多分統合失調症ではないかと。
しかし、カメラは2007年のBAD BRAINSの良い場面もダメな場面も、フラットに切り取って行く。
それにしても、映画『AMERICAN HARDCORE』のポール・ラックマン他(PLASMATICSの仕掛け人ロッド・スウェンソンのクレジットもあった)から提供されたという、昔のライヴ映像は見モノだ。
「コレ早送りじゃね?」というスピードで猛烈に動きまくるH.R.。
ピシッとした白いシャツでキメた黒人の4人組が猛スピードのハードコアを演奏していた…初期のBAD BRAINSを語る記事で目にした記述がその通りであったことを、映像で確認することが出来る。
元々ジャズ/フュージョンを演っていたメンバーによる、超高速にして一糸乱れぬアンサンブル。
H.R.が連発するバク転。
そして大暴れの観客。
インタヴューなどで登場するゲストも豪華。
この手のドキュメンタリーでは見飽きた(笑)ヘンリー・ロリンズとデイヴ・グロールはともかく。
BEASTIE BOYSの3人とか、MINOR THREATのイアン・マッケイ&ライル・プレスラーとか、CRO-MAGSのハーレー・フラナガン&ジョン・ジョセフとか、MURPHY'S LAWのジミー・ゲシュタポとか、THE CARSのリック・オケイセクとか。
意外や意外、ドン・レッツまで登場。
うわあ、なんか、みんなおじいちゃんになっている…。
(そりゃまあそうだよな)
本業(自然食品のお店)に勤しむドクター・ノウ(ギター)とか、ゴルフに興じるダリル・ジェニファーとか、音源とステージ以外でのメンバーの素顔も興味深い。
デイヴ・グロールがアール・ハドソンのドラミングから影響を受けていた、なんて話も。
それにしても。
「H.R.、大丈夫かなあ…」と思いながら観始めて、結局「H.R.、大丈夫かなあ…」と思いながら観終わってしまう映画(笑)。
7月16日(土)から、渋谷HUMAXシネマにてレイトショウ。
(C)2012 PLAIN JANE PRODUCTIONS
(2024.11.20.改訂)
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