THE DAMNEDのドキュメンタリー映画。SEX PISTOLSでもシド&ナンシーでもTHE CLASHでもなく、DAMNED。
こう来ましたか、と。
監督は『極悪レミー』のウェス・オーショスキー。
なるほどね。
THE DAMNED。
THE STRANGLERSやTHE JAM同様(?)、あるいはそれ以上に(?)伝説になり損ねたパンク・バンド。
アルバム1枚で解散したワケでもなく、メンバーが若くして死んだワケでもなく。
暴力的なエピソードも、世相や社会に突き刺さるようなメッセージ性もなく。
解散と再結成を繰り返し、現在に至るまでダラダラと(?)現役を続行。
観れば、そんなバンドへの愛おしさが募るような、そんな映画です。
撮影と編集は、さぞ大変だったろうと思う。
40年の歴史があるだけならいざ知らず。
メンバー交代を繰り返し。
音楽性は変化し続け。
それをとりあえず時系列に語りながら、脱退したかつてのメンバーにもスポットを当て…もっとざっくり言えば、デイヴ・ヴァニアン(ヴォーカル)+キャプテン・センシブル(ギター:初期はベース)の現行THE DAMNED組とブライアン・ジェイムズ(ギター)+ラット・スキャビーズ(ドラム:本編中での発音は“スケイビーズ”または“スカイビーズ”に聞こえたが)の脱退組のどちらにも寄らないような絶妙のバランスでドキュメンタリーに仕立てていくという…。
ウェス・オーショスキー監督は、完成までに疲れ果ててしまったそうで(笑)。
話はLONDON SSまで遡るので、もちろんミック・ジョーンズとかも登場。
というか、ポール・グレイやローマン・ジャグやブライン・メリック(故人)ら元メンバーたちまで総動員。
ジョン・モス(ドラム:後にCULTURE CLUB)やルー・エドマンズ(ギター:後にPUBLIC IMAGE LIMITED)どころか、2ndアルバムをプロデュースしたニック・メイソン(元PINK FLOYD)まで出て来たのには驚いた。
関係者のうち、出演しなかったのはトニー・ジェイムズ(元LONDON SS~GENERATION X)とニック・ロウ(1stアルバムのプロデューサー)とアルジー・ワード(2代目ベーシスト)ぐらいじゃないか、という。
それにしてもみんなおじいちゃんに…。
ミック・ジョーンズは『極悪レミー』にも出てたけど、ビリー・アイドルの老け込み具合には言葉を失ったぜ…。
さて、伝説にはなり損ねたTHE DAMNEDだが、伝説のネタになるような過激なメッセージ性や、飛び抜けたヴァイオレントさ…それらを持ち得なかったからこそ、このバンドは今に至るまで生きながらえて来たのだ。
かつてDAMNEDのことを“パンクの申し子ではなく、R&Rの申し子”と評した栄森陽一氏(snuffy smile)は、本当に正しかったと思う。
パンクのオリジネイターのひとつでありパイオニアのひとつでありつつ、パンクが持っていた音楽以外の諸々(それこそが伝説を形作る)に振り回されたりすることなく、基本的に“音楽的”であり続けたバンド。
初期の音楽的支柱だったブライアン・ジェイムズを失っても活動を続けることが出来たのは、もちろんギターにコンバートしたキャプテン・センシブルの才能あってのこと。
そのキャプテンを失ってからも、メンバーを補充してゴシック路線で成功を収め。
それはもちろんデイヴ・ヴァニアンのルックスとカリスマ性あってのことだったが、何より音楽が大事だった。
もちろんデイヴ・ヴァニアンを忘れてはいけない。
傑物。
メンバーがどう替わろうが、音楽性がどう変わろうが、この人がフロントで歌っている限り、THE DAMNEDなのだ。
初期の音楽性の中核を成していたブライアン・ジェイムズとラット・スキャビーズが束になっても、デイヴがいない限りはDAMNEDではなく“RAT & BRIAN”とかなのだ。
2時間近い映画を観ても、このデイヴという人の謎めいたパーソナリティは解明されない。
とりあえずどの時期もすっげえカッコいいシンガー。
MCA時代の美形ぶりはもう、たまらんですね。
ちなみに俺がリアルタイムでDAMNEDを知ったのが、MCA時代だった…。
(近年のライヴでは、「New Rose」とかの初期ナンバーでもMCA時代以降のかっこつけ唱法で歌い上げる!)
基本的に時系列で話が進むので、前半は初期のライヴ映像とかに首を振りつつ観ているのだが。
むしろ後半が曲者だ。
俺を含む多くの中年~初老リスナーは、THE DAMNEDを90年代初頭に終わったバンド、それ以後は再結成して別モノ、みたいに解釈している人が多いんじゃないかと思うんだけど。
後半どんどん顕著になる、現在のDAMNEDの現役ぶり。
それはデイヴ・ヴァニアンとキャプテン・センシブルの頑張りもさることながら、初期のファンの多くが「あんた誰?」と思うに違いない(?)現在のバック陣による。
ピンチ(現ドラマー)なんて、ラット・スキャビーズより長く在籍してるんだぜ。
THE DAMNEDが好きなら、この映画は当然観るべきだ。
少なくともパンクが好きなら、この映画は観るべきだ。
80年代にネオ・サイケとか聴いてたような人も。
もちろんRANCIDとかOFFSPRINGとか好きな人も。
MOTORHEAD含め、英国のR&Rが好きな人も、絶対観るべきだ。
ウェス・オーショスキーの努力には最大限のリスペクトを表明するぜ。
とりあえず今夜はずっと、THE DAMNEDのアルバムを順番に聴いている。
今『BLACK ALBUM』。
『地獄に堕ちた野郎ども』、9月17日(土)より、渋谷HUMAXシネマにてレイトショー公開。
(c)2015 Damned Documentary LLC.
(2024.11.29.改訂)
この記事へのコメント
shun
渋谷はちょっと遠いけど、見に行きます。
大越よしはる
この映画、今のところDVD化は予定されていないらしいので、是非劇場で観ることをお勧めします。