THE VON BONDIES INTERVIEW 2004

VON BONDIES.jpg (このブログには全く反映されていなかったが)ここ数日個人的にデトロイトづいていたのは、毎日DEATH(もちろんフロリダのじゃなくてデトロイトの)を聴いていたり、「BEATLEG」誌(正直立ち読みばっかりで、初めて買った)のデトロイト特集の影響があったりしたのかも。
 それでというワケじゃないが、思い出したのが、2000年代の半ば、THE STOOGESやMC5やTHE DIRTBOMBSなんかのデトロイト勢の来日や重要なリリースが集中した時期があったなあ、と。
 その頃に来日して俺がインタヴューしたバンドのひとつに、やはりデトロイトの若いバンド、THE VON BONDIESがあった。GUITAR WOLFの多大な影響を受けたという、素敵なバンドだったな。
 今夜はその時のDOLL誌向けのインタヴューを再掲載、例によってほぼノーカットで。インタヴューは2004年4月14日に行われ、それを4000字にまとめたヴァージョンはDOLL04年7月号に掲載された。
 当時、THE WHITE STRIPESの人気に乗っかる形で(?)、ワーナーもVON BONDIESにかなり力を入れていて、この時の取材はワーナー社屋の一室に控えたメンバーと通訳さんのところに、30分交代くらいで各メディアがインタヴューに入る、という形式だったと記憶している。
 インタヴュー前夜、渋谷CLUB QUATTROでライヴを観て、そして当日インタヴュールームに入ったら…(以下本文)


ジェイソン・ストールスタイマー(ヴォーカル、ギター)「昨日ライヴに来てたよね? サウンドボードの前にいたでしょ?」(いきなり立ち上がって握手を求める)
―よ、よく見てるなあ!…じゃあ、始めさせてください。よろしくお願いします。
ジェイソン「OK!」
―え~と、DOLLって雑誌なんですけど、その雑誌でGUITAR WOLFとかミック・コリンズとかともインタヴューしたことがあるんです。今日は楽しみにしてきたんですよ。
ジェイソン「うん、凄いパンク・ロックの雑誌なんだよね?」
―今日インタヴューする中では一番パンクな雑誌だと思いますよ。
ジェイソン「それはいいね!」
―まず、GUITAR WOLFの国に来た感想は?
ジェイソン「ドキドキものだったね! GUITAR WOLFのパフォーマンスはもの凄くクレイジーで、爆発的だよね! その彼らが客席にいたんだから、とてもナーヴァスになってたんだけど、目をつぶって演奏したよ(笑)」
キャリー・スミス(ベース)「日本は本当に素晴らしい国だし、来るのを本当に楽しみにしてたのよ」
―昨日も、グレイト・パフォーマンスでした。
ジェイソン「Oh,Thank You!(日本語で)ドーモ!」
キャリー「ドーモ(笑)」

―THE VON BONDIESっていう語感はとてもかわいらしく聞こえるんだけど、バンド名の由来は何処から?
ジェイソン「これはまったくの造語なんだけど…じゃあ例えば、“GUITAR WOLF”っていうのはどういう意味? 僕たちはそんな風に、自分たち独自の名前が欲しかったんだ。飲み物の名前とか靴の名前とかじゃなくて、VON BONDIESって聞いたら僕たち4人のことでしかない、そういう特別な名前にしたかったんだ。…(DOLLに載っているVON BONDIESのグラビアを眺めながら)凄くいい雑誌だね! こういうモノクロのグラビアって、凄くいい感じだよね!」
―今回は、こんなところにも…(巻末の方にも彼らの写真が使われているのを見せる)。
ジェイソン「Oh!Very Cool!…Thank You!」
キャリー「(日本語で)アリガトウ!」
―いや、俺がやったんじゃないんだけど…(苦笑)。それで、今回のアルバムは、凄くメジャーな音作りになりましたよね?
ジェイソン「聴きやすいアルバムになってるよね。でもR&Rであることに変わりはないと思うんだ。例えばGUITAR WOLFの1stアルバムとそれ以降のアルバムでは、音質的にはかなり違うけど、心からの音楽っていうことでは変わりがないよね? 僕たちの1stアルバム『LACK OF COMMUNICATION』は、2日で録音したんだ。今回は1ヵ月以上かけたんで、音の感じが違うと思うんだ。1stアルバムはそれこそライヴに近いノリで、間違いもたくさんあるんだけど、今回はバンド4人でいろいろ努力して作ったんだ。1stアルバムの時は、キャリーが加入してからまだ3ヵ月半しか経っていなかったんで、いろいろな意味で荒削りだったよね」
―今回は音の分離が良くなって、各楽器の粒立ちがはっきり聴こえるっていう、その中でも、今日ここにはいないけど、ドン(ブラム)のドラムが特に凄くて、こんなに凄いドラマーだったのか、と…。
ジェイソン「アメイジングだよね! ハイハットなしの、凄く小さいドラムキットなんだけどさ。凄くトライバルな感じで。…THE MONKSっていうバンドがいるんだけど(いきなりカン高い声でMONKSの「Monk Time」を歌いだす)…MONKSからヒントを得て、そういうトライバルでシンプルなドラミングにしたんだよね。シンバルなしの…」
―あと、1stアルバムに較べるとコーラスが多用されるようになって、本当の意味でバンドのアレンジっていう感じになっているのも良かったと思うんです。
ジェイソン「バンドとして成長したし、演奏も上達したし、より良い曲を書けるようになった…前作の時は3ヵ月半しか一緒にいなかったのに対して、今はもっと“歴史”があるよね? 僕たちは同じようなアルバムを何度も作りたいと思うようなバンドじゃないんだ。パンク・ロックのアティテュードがあって、ギターを20回も録り直したりとかはしないで、いいものを目指しながらも、その時のライヴなフィーリングっていうのは大事にしていると思うんだ」

―音作りが向上した反面、前作でのプリミティヴな部分は大幅に後退したと思うんですけど、これについては意図的にそうしたとか、割り切ったとかいう部分が大きかったでしょうかね?
ジェイソン「アルバム2曲目の「Broken Man」とか5曲目の「Been Swank」とかに、まだまだプリミティヴな要素は残ってると思うよ! ひとつのリフの繰り返しだし。そう聴こえないとしたら、やっぱり僕たちがより上手く演奏出来るようになったから、ちょっと複雑に聴こえるのかもしれないね」
―そのアルバムのプロデュースが、ジェリー・ハリスン(元THE MODERN LOVERS~TALKING HEADS他)なんですけど…どうして彼になったんですか?
ジェイソン「ジェリー・ハリスンは元MODERN LOVERSで、僕たちと同じパンク・ロック/DIYのバックグラウンドを持ってる。凄くいい人で、正直なところが気に入ったんだ。アルバムを作る前にバンドの4人で集まって、自分たちのプロデューサーに求めるものっていうのをいろいろ話し合ったんだけど、ジェリーは正にそれに合ったキャラクターを持ってたんで、彼に決めたんだ。彼はとてもオープン・マインドで僕たちの意見を聞いてくれたし、こうしろああしろとも言わなかった。曲作りにもまったく関わってない。スタジオに入る前に曲は全部出来上がってたからね。彼は僕たちの求めていた、ライヴ・サウンドでありながら、さっき君が言ったとおり楽器ひとつひとつの音がはっきり聴こえるサウンドを作ってくれたんだ」
―じゃあ、制作面でジェリーの手腕が活かされたのは、楽曲ではなく完全にサウンド・メイキング?
ジェイソン「そう、彼は僕たちの言うことにいちいち耳を貸してくれるんだ。1曲ごとに、こういう風な音にしたいって説明すると、ちゃんと聞いてくれた。彼ほどのビッグなプロデューサーなのに、エゴなんかまったくなくて、こういうサウンドにしようみたいな指示はまったくなかったんだ。彼がこのバンドに持ち込んでくれたのは、彼自身の多大な経験だね(といいつつDOLLのテッド・ニュージェントの記事を見ている)」
―…ちなみにその記事、俺の連載ですよ。
ジェイソン「テッド・ニュージェント! AMBOY DUKES! Very Cool!(笑)デトロイトだよね!」
―その連載ではTHE STOOGESやMC5についても書きましたよ。
ジェイソン「ワァオ!Very Cool!」
―NEW YORK DOLLSとかも。THE SONICSやTHE OUTSIDERSも。
ジェイソン「グレイト!」

―え~と、話戻しますね。…二人とも25歳ですよね?
ジェイソン「僕は来週26歳だけどね。…年をとると心がケガレるよね…(苦笑)」
―じゃあ俺なんかケガレまくりだ!(笑)
ジェイソン「でも日本人は食生活がちゃんとしてるから大丈夫だよ。僕はあと1~2年で終わりかなあ(笑)」
―…25歳っていうと、TALKING HEADSってリアルタイムで聴いてないですよね?
キャリー「私のパパは凄く音楽の趣味が良かったんで、TALKING HEADSも聴いてたの。だから8歳くらいの時には私も聴いてたと思うわ。リアルタイムではなかったかもしれないけど…」
ジェイソン「僕は聴いてなかったなあ。「Burning Down The House」や「Psycho Killer」は知ってるけど。僕とマーシー(ボレン:ギター)がやってたTHE VON BONDIESの前身バンドBABY KILLERSは、GUITAR WOLFの最悪なコピーみたいなパンク・バンドだったんだけど、その頃「Psycho Killer」をカヴァーしていたんだ。サビの歌詞を“Baby Killer”に変えてね(笑)。今でもその時のテープを持ってるよ」

―音質面・プロデュース面だけでなく、作曲の面も凄く進歩しましたよね? 1stアルバムに較べると、何々風じゃないTHE VON BONDIES独自のモノを獲得しましたね。
ジェイソン「(日本語で)ドーモアリガトウ! まさにそれを目指して頑張ってきたわけで、そう言ってもらえるのは本当に光栄だなあ。バンドとして成長した成果じゃないかな」
―今回、キャリーのヴォーカルも聴けるんですが、これまでにも歌ってたんですか?
キャリー「いわゆるリード・ヴォーカルっていうのはやったことがなかったの。好きな曲に合わせて一人で歌ったり、あと高校生の時にパンク・バンドをやっていたんで、ヴォーカルみたいなことはやってたけど、“歌”じゃなくて“絶叫”だったわね(笑)。1stアルバムではバック・ヴォーカルくらいだったし…」
ジェイソン「(相変わらずDOLLを熱心に眺めている。ジョン・フォックスの写真を見て)この人のことは知らないけど、まるでデイヴィッド・ボウイみたいだね?」
―昔ULTRAVOX!っていう凄いカッコいいバンドをやってたんですよその人は…(笑)。
ジェイソン「ああ、パンク・バンドだよね」
―…で、1stアルバムではキャリーがベースを弾いてない曲もありますが、バンドに参加したのは一番最後ですか?
キャリー「そう、一番最後ね」
ジェイソン「このアルバム(1st)を作った時は本当に時間がなくて、BABY KILLERS時代の録音も使っているんだよ」
―今ではマーシーと並んで、二人のコーラスがバンドになくてはならないモノになっていますよね?
ジェイソン「そのとおり!」
キャリー「そんなに重要かしら?(苦笑)でも、女性ヴォーカルが入ることによって、やさしさもフィーチュアすることが出来ていいんじゃないかと思うの」
―(今度は柴山俊之インタヴューのページを一生懸命見ているジェイソンに)…ちなみにそのインタヴューも俺ですよ。
ジェイソン「これは誰?」
―それは(以下、サンハウスについて説明)
ジェイソン「ワァオ! Very Cool!」

―…で、俺が今度のアルバムで一番好きなのは「The Fever」なんですけど、サビのコーラスのところで一人称と三人称がくるくる切り替わるところのスリリングさはこのメンバーでなければ出せないですね。
ジェイソン「ありがとう! でも、ちゃんと出来てるかなあ?(笑)」
―いやあ、ライヴでもきちんと再現されてたし、ヴォーカルがよく出てましたよね。
ジェイソン「他の曲でも? 毎晩心から歌うよう努力してるからね!」
―こうして自分たちならではのモノを獲得したTHE VON BONDIESですけど、世間的にはTHE DIRTBOMBSやTHE WHITE STRIPESなんかの影響もあって、VON BONDIESも“デトロイトのバンド”とか“ガレージのバンド”とかいう括りで見られることが多いんじゃないかと思うんですけど…。
キャリー「他の素晴らしいバンドと較べられることは嬉しいし、光栄なんだけど…そういう狭いカテゴリーの中に押し込められるとクリエイティヴになれないっていうか、アーティストとして成長出来ない気分になるわね。でも、新しいアルバムで、私たちはそれ以上の存在だということを証明出来たと思うの」
ジェイソン「みんな“素晴らしい大阪のバンド”とか“最高の日本のバンド”とかじゃなくて、単に“最高のバンド”って呼ばれたいよね? 僕たちも“デトロイトから出たガレージのVON BONDIES”とか呼ばれるんじゃなく、“最高なVON BONDIES”と呼ばれるようになりたいね!」
―“デトロイトの”っていう括りで聴くことは、観る側・聴く側からはわかりやすいんだろうけど…。こないだミック・コリンズにインタヴューした時に言ってたんだけど、今のデトロイトはA&Rとかが溢れてて、地元の人間がライヴを観られないみたいに言ってたんですけど、そういうのも一時的なもので、“デトロイトの~”みたいなのもすぐ廃れちゃうよ、みたいに言ってたんですけど、やっぱりそう思いますか?
ジェイソン「君はそうなればいいと思ってるんだろ?(笑)」
キャリー「今はずっとツアーで、地元に帰っていないからクラブ・シーンがどういう状況かはわからないんだけど…シアトルも一時期大騒ぎされて、スポットライトが当たるとみんな飽きちゃったみたいに、デトロイトもそういう状況になるのかなあ…」
ジェイソン「本当の音楽ファンがショウを観に行けないのは悲しいことだよね」

―今回は凄く変則的な来日で、新作(2ndアルバム『PAWN SHOPPE HEART』)の国内盤が出ていない状況で(国内盤リリースはこのインタヴューの1週間後だった)、しかも東京のみワンショットのライヴ…当然、アルバム・リリースに伴う日本全国のツアーを、ファンはみんな望んでると思うんですけど。
ジェイソン「是非また日本に戻って、東京だけでなく他の街にも行ってみたいね。今はファンを焦らしてるようなものだけど、僕らも焦らされてる感じでつらいよ(笑)」
キャリー「夏のフェスティヴァルに参加する話なんかも来てるのよ」
―今回は、お客さんもけっこう入ってて良かったんですけど、なんていうか…俺自身が東京の小さいライヴハウスで会うような、DOLLを読んでるような若い子に会わなくて、耳の早いファンだけが来てたと思うんだけど、DOLLの読者は、ひょっとするとあんまり来てなかったかも知れない。次に来日する時に、今度のアルバムを聴いてDOLLの読者がたくさん来てくれるように、彼らにメッセージをひとつ。
ジェイソン「THE VON BONDIESは心からのパンク・ロックだよ!」
キャリー「パンクが好きな人なら私たちの音楽を気に入ってもらえると思うし、女の子にも共感してもらえる要素が大きいと思うの。誰でも、私たちの音楽にアッと思う部分があると思うわ」
ジェイソン「こういう雑誌を見てると、ほとんどが男性のバンドだよね? 僕らのバンドには女性のメンバーもいる。女の子のパンク・ロッカーもたくさんいると思うし、そういう子達が僕らのバンドに刺激されて、バンドをやったりするきっかけになればな、と思うよ!」


 …当時ジェイソン・ストールスタイマーはジャック・ホワイト(THE WHITE STRIPES)との不仲・喧嘩騒ぎで注目されていて、雑誌によってはそのへんのことを訊いていたインタヴューもあったが、御覧のとおり俺はそこらへん敢えて一切訊かないようにした。
 バンドのその後の躍進には少なからず期待していたんだけど、メンバー交代を経て(このインタヴューで答えてくれているキャリー・スミスも脱退)3rdアルバムがリリースされたのは5年後の2009年。国内発売もされなかったんだっけ? でもバンドは今でもジェイソンとドン・ブラムを中心に活動中。


追記:
結局THE VON BONDIESはこのインタヴューをブログにアップした翌年の2011年に解散。
ジェイソン・ストールスタイマーは現在PONYSHOWというバンドで活動しているとのこと。

(2020.1.20.)


(2023.2.20.改訂)

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