前身バンドSCREAMING MELODY MINDでアルバムを1枚リリースしたのち、メンバー交代を経てバンド名も変更。SCREAMING MELODY MIND時代よりもハードさを増したサウンドはハード・ロックもパンクも呑み込んで、ジャンル分け不可能な鋼のR&Rへと。地面に倒れ伏して口の中ににじむ鉄錆の味を感じながら、次の瞬間には立ち上がってただ前へと進む男たち(女も含むが)の不屈のロック。その出どころを探る1時間でした。
インタヴューは7月30日歌舞伎町にて、ギター&ヴォーカルのHIROSHIとサシでビールをガンガン空けながら。前・後編2回お送りします。まずは前編を御覧あれ。
―前のアルバムから1年半。けっこう早いペースで。
「そうですね。コレはもう、最初から決めてました。なんならちょっと遅かったぐらいで」
―今のメンバーで2年半ぐらい?
「3年経ったかなーぐらい」
―流石に2枚同じメンバーで作ると、結束感みたいなものが。
「出たと思いますよ。相当、3年の間に、あったから。いろいろありましたからね…モメたり」
―モメたり。
「モメたり、モメたり(笑)」
―まあそういうアレコレを超えての結束感。
「そうですね」
―ちなみに、HIROSHIくん以外のメンバーって、ほとんど知らないんだけど、HIROSHIくんを含めたメンバーの、ルーツとか影響源みたいなのは?
「多分、俺とベースのTOMOは、一番最初、元々を言ってしまえばBLUE HEARTSですよ。で、そこでパンク・ロックって言葉を知って、そこからやっぱりRAMONESとか、順当に知って行って。で、ラフィン(LAUGHIN’ NOSE)とか、PISTOLSとかも知り始めて。で、そんなこんなして知った中で一番デカかったのは、やっぱりSOCIAL DISTORTIONが一番デカかったと思う。で、ギターのリュウジ(HIGA★RYU)なんかは元々、X(JAPAN)とか、LUNA SEAとかああいう感じからギターを始めて、で、モトリー(MOTLEY CRUE)とか、HARDCORE SUPERSTARとかああいうのに走って行って、今に至る、みたいな感じだと」
―REINAちゃんは?
「最初は、ハイスタとかだったらしいですよ。ドラム始めるきっかけになったのは。で、METALLICAとか大好きな御両親が…」
―イヤな両親だなあ(笑)。
「(笑)METALLICAとかエアロ(AEROSMITH)とか。で、TRIVIUMとかDREAM THEATERとか、コテコテのメタルだとかに…そんな流れらしいです。TRIVIUMのなんとかキイチ(マシュー・キイチ・ヒーフィー)と結婚するんだとか、うるさいです(笑)。…結局、みんな、音に出てると思うけど。基本的に、ガンズとかモトリーとか、思いっきり、世代だったし。ハード・ロックとか大好きだけど、ただ姿勢がパンクだ、ぐらいのことが、音に出ちゃってんじゃねえですか」
―ジャンル分けし難い音。
「自分たちでも思うし」
―ただロック。
「ただロック、でイイと思う」
―アルバムの制作期間は?
「3ヵ月ぐらい。今年に入って、すぐプリプロ録って、録音に入ったけど、6曲録った時点で、そのうちの4曲か5曲を、まるまる作り替えたりして」
―なんていうか、メジャー感みたいなのが。
「…売れたくて。うそうそ(爆笑)」
―“売りたくて”でしょ(笑)。
「でも、前作で、やりたいことをやってんだ、と思ってやってたけど、自分たちで客観的に聴いてみると、何かこう、ひねくれてんなーと思う部分が、やっぱりあって。で、もうそんなもの…作り直したって話があったけど、(今回のアルバムを)作ってる最中、そんなにひねくれさせる必要ねえじゃん、みたいなのが出て、作り直して。素直にパッと出るものをバッとやろうよ、っていうので作り直してこうなったっていうかね。結局、自分たちが楽しめる楽曲、っていったらこういう風になって。で、多分それはオーディエンスも楽しんでくれるもんなんだ、と思って作った、って感じですかね」
―DAREDEVILSっていうのは、ある種、ベッタベタな展開を恐れないバンドっていう…。
「(笑)こう来るだろう、と思ったら、ハイそう行きます、っていう」
―そうは言っても、今回のアルバムは、楽曲にしてもアレンジにしても、凄く幅が出ている。
「ああ」
―どの曲でも、テンポチェンジとかストップ&ゴーとかブレイクとか、効果的に多用している…そのへんは逆に、勢いで行っちゃう感じじゃなくて、ある程度立ち止まって考えた感じが。
「アルバムを作ってて、じゃあライヴで、例えば全曲、新しいアルバムの11曲でフルセットのライヴをやろう、って思った時に、聴き飽きないもの、と考えて。やっぱりライヴありきで考えてるから。ここでストップ&ゴー、ここで押し引きを付けよう、みたいなのは考えて、作りましたね。最初のプロットで出来た曲なんか、“ただの曲”だったもん、なんにもしてないような。それをやっぱり…年も違うし、性別も違うメンバーがいるから、これから曲をいじろうか、っていう時に、世代の差が、上手いこと作用してるんだと」
―アレンジは全員で?
「そうッスね…今回初めてリュウジが2曲書いたりして。今まで、ほとんど俺の頭の中で作ったものをみんなでやる、みたいな感じやったんだけど、今回は、元だけ持ってって、全員でいろいろいじりながら、イエス、ノーだけ俺が決める。で、俺がノーって言ったモノを…なんて言うかな、俺に合わせるんじゃなくて、“ノー”の…“コレは無しやろう?”の、じゃあどこが、みたいなのを、みんなで考えるようになったっていうか。“あっ、何となくみんな違和感があったぞ”を、今まで“まあいいじゃん”でやってたところってあると思うけど、今回、“俺も/私も、ノーだな”となるところを、きっちり考えるようになったな…と思います」
―ギター・ソロなんかは、基本的にお任せ? それとも具体的にこんな感じで、みたいな指示が?
「曲により、やけど…イメージを言ったら、もうあいつ(HIGA★RYU)はイメージを大体把握してて、もうあとはお任せで。あと、今回もエンジニアやってくれたヒデさん(BEATWAVE TRACKS)の手腕っていうのも大きくて。この曲だったらこんな感じだろう、っていうのを、何となくヒデさんは持っててくれるから。で、リュウジが持って来たものを、上手いこと、時間かけてやらしてくれるから。そこは凄く助かった」
―そのへん、完全に共同プロデュース?
「そうですね。ヒデさんなしでは作りえないモノ」
―ちなみにHIGA★RYUが書いた曲は、どれとどれ?
「えーと、「Hard Rain」…元ネタはあいつで、俺たちに勝手にいじられて、ほぼ違うモノになったけど、まあHIGA★RYU(の作曲)で。あと、「I Never Mind About You」、コレはほぼ(HIGA★RYUが)書いた」
―「Hard Rain」は、完全に“HIROSHI節”だと思ってた…。
「あいつが持って来た」
―このアルバム以前のDAREDEVILSは、なんといっても「Tokio Is Burning」、何を抜いても「Tokio Is Burning」っていう。
「(笑)ライヴで演んなかったら非難ごうごうやったことあった」
―1stアルバムの中でも突出した1曲だったんだけど。今回のアルバムは、個人的には、突出した1曲は、逆にないんだけど、凄くイイ曲が…曲の粒がそろってる。そんな中で、HIROSHIくん的に“この1曲”っていうのは?
「いや、全部ですよ! ホントに。俺的に、っていうのもないなあ。ホントに全部だから。…ホントにこの1枚が1曲、ぐらいの感じで作ったし」
―おお~。1枚が1曲…プログレバンドみたいな。
「(笑)でも、今回それは、相当意識したことでもあって。今回、ある曲を集めてアルバムにしました、じゃなくて、50分弱の1枚っていうのをちゃんと聴かせる、っていうところを最初からずっと意識してた」
―曲の寄せ集めじゃなくて、パッケージとして。
「“作品”として聴ける、っていうものを、ちゃんとやってみよう、っていうのがあって」
―ある意味、コンセプト・アルバム的な作りでもあると。
「ありますあります。思いっきり。で、さっきも言ったけど、コレを作ってる時点で、次のプランとかがあるから、そのために今コレをやろう、みたいなのがあったから。“先を見過ぎだ”って、(周囲に)凄い怒られる(笑)」
―確かに曲がヴァラエティに富んでいて、アルバムとしての流れがある。
「それもやっぱり凄い、意識したところで」
―1曲目、「Touch Your Deep」でガッと始まる。“眠る獣大越”って…(実際の歌詞は“眠る獣を起こせ”)。
「じゃあそれで(笑)」
―(笑)前のアルバムに較べても、メンバーそれぞれの見せ場が、必ず用意されている。たとえばTOMOくん…DAREDEVILSの中での、TOMOくんのイメージっていうのは、俺の個人的なイメージでは“堅実”っていうのがあるんだけど。
「(笑)」
―それが「Wild Side Teenage」では、独壇場。ディストーション・べース。
「堅実って、プライベートで言うたら、あいつほど無茶苦茶な奴はいない!」
―人間性のことは言ってない(笑)。
「言いてえ! いろいろ言いてえ!(笑)」
―(笑)プレイヤーとしては、本当に屋台骨というか、いわゆる古典的なベーシスト。
「だって、俺たちみたいな楽曲を演ってる人で…上を見たらいっぱいいるけど、やっぱり、あれぐらい同じピッチで、同じベースラインを弾ける奴は、そうは見ねえっていう。…見た目がもうベーシストやから(笑)」
―地味顔(笑)。
「で、手足長くて(笑)」
―タイガース時代の岸部一徳みたいな。
「(爆笑)古いな!…まあ、各メンバーの…“見せ場”じゃないけど、モチベーションが変わった、ってのはありますよ、多分。1枚目も、それなりのセールスは出したんですけど、なんていうのかな…自分たちでセットしてたところまでは行けてなくて。セールスっていう意味でも、ライヴ・パフォーマンスとかいろんな意味でも。やっぱり、悔しいけど、負けるんですよ、いろんなところで。凄いバンドを観る度に負けてて。で、“何なんだ?”っていうところを、突き詰め始めた時に、みんな…各々の考え方が、変わってきて。やっぱり、言うだけじゃなくて、勝ちに行くんだよ、俺たちは自分に勝ちに行くんだ…っていうのを、本当にみんなが、真剣に考え始めたという。それからかな…見せ場をいちいち作ろうって考えたワケじゃなくて、ただ、みんなが自分のポジションに、本当に責任を感じるようになった。まだまだですけど、そういう意識が芽生えたというのはデカいと思います」
―ちなみにTOMOくんって、具体的に好きなベーシストとか、影響を受けたベーシストっていうのはいるのかな?
「誰なんだろう?…なんかワケわからんジャズのベーシストの名前とかを…“誰それ?”みたいに言いますけど(笑)。“シド・ヴィシャスは?”って言ったら、なんか、顔赤らめてますけど(笑)。“所詮シド・ヴィシャスやろ!”って言ったら、“いやいや”って(笑)、顔赤らめて。でもそこは否めないところでしょう」
―曲順では次に「Hard Rain」が来るんですけど。…ドラマティック路線!
「(笑)」
―男闘呼組に歌わせたい!
「なんで男闘呼組(笑)。ヤクでパクられとるやん!」
―凄くイイ意味で歌謡ロック的というか。
「うん」
―日本人の血、でもないけど、根底に流れる歌謡ブラッド、みたいな。
「BON JOVIが日本で売れるワケはコレだ、みたいな(笑)」
―DAREDEVILSというか、HIROSHIくんの真骨頂、“虐げられ系“の曲。
「どんだけMや俺(苦笑)」
―DOLLのインタヴューでも言ってたけど、“気に入らなかったらぶっ飛ばせばいい“みたいに思っていた、そういう自分をぶっ飛ばす、みたいな…虐げられて自暴自棄になるんじゃなくて、いろんな意味で、踏みとどまる。
「ありますなあ(笑)」
―臭い言い方を承知で言えば、リアル。“虐げられ系“って言ったのも、“この人どれだけ虐げられてきてるんだろう”っていうのがリアルに。…虐げられましたか?
「(苦笑)けっこう…自暴自棄なんか何回あったかわかんねえよ、みたいな。こっちでバンドやってても…もちろん凄いイイ奴らっていうか、“こいつら凄いな、トッポいな、カッコいいぜ”みたいな奴らもいっぱいいるけど、“どんだけ闘っとんねん?”みたいな奴もいっぱい見たから(苦笑)。“お前が言うな!”みたいなのは凄くあって。…こないだ、ツアー中に、地方でサポートしてくれるバンドが…地方で真摯にバンドをやってて、REINAがそれ見てものっ凄い感動してて。やっぱ東京で育った子だから…“こんなに熱いホントのロッカーを、東京じゃ滅多に見ない”って。東京のシーンが悪いワケじゃないけど、やっぱり…なんて言えばいいのかな。東京が悪いワケじゃないんだけど…ストリートの匂いがしない“ストリート・ロック”とか(苦笑)」
―(笑)
「“オメェ、ストリートじゃねえだろ?”みたいなのが(笑)。別にいいんだけど、エンターテイメントやから。(自分たちが)同じことをやったら、ホントにストリートにいた奴からは「うわっ」みたいなのが感じられるんだろうなと。それはちょっと誇りに思ってる」
―ヤンキーが喧嘩してる漫画描いてる奴が、実は喧嘩なんか…。
「やったことないだろう、っていう(笑)。それも、ヤンキーの喧嘩の話が凄いんじゃなくて、何故そいつがそういう奴なのか、っていうところが大事なんで。でもそれがいいとか悪いとかはないんですけどね、別に。エンターテイメントだし。そんなんで何となく表面だけ聴いてくれる人でも、全然いいんだよ。みんなが楽しむ場なんだし、ライヴなんかは。みんながそれぞれ、自分の楽しみ方で楽しんでくれればイイ…って思うけど、音源となって、歌詞カードがある、ってなった段階で…ここがこだわってるところなんだけど、買って、家に帰って、聴いてくれ、っていうのは、やっぱり俺には伝えたいことがあるし、それを、聴いてる時間、ちょっとだけでいいから、考えてほしいなあって。人それぞれ、感じることがあるだろうし。きっかけぐらいにはなればいい、って思うから、手にとって、持って帰って、聴いてくれ…パーティー・バンドが好きなんだったら、パーティーはするよ、ただ、俺たちのロックが、イイと思ってくれたら、ちょっと手に取ってくれ。それが僕らの生活費にもなりますからね(笑)」
―流石“虐げられ系“のキングは言うことが違うぜ。
「(苦笑)どんだけ虐げられとるんだ」
―行くとこ行くとこでダメ出しをされる(笑)。最近どうですかダメ出しは?
「相変わらずされてるけど(笑)。“そうですか…”とか言いながら(心中では)“うっせえ、死ねよ”と思いながら(笑)。…どんだけダメ出しされてるんだ(笑)。一生続くんじゃないですか?…結果出しても言われてるから(苦笑)」
以下、後編に続く。乞う御期待。
(2023.3.10.改訂)
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