『BLAH BLAH BLAH』(1986年)と『BRICK BY BRICK』(90年)の間に挟まれて、流れ的にはなんか浮いた感じ(?)のするアルバムなんだけど、イギー・ポップのソロ史の中では今どういう位置づけがされてるんだろうか、コレ。俺がイギー・ポップの名を知ったのは1983~84年頃だったと思うのだが、その頃はレコード屋に行ってもイギーのレコードはなかなか見当たらず。
『BLAH BLAH BLAH』が出たのとTHE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESのアルバムを買いあさり始めたのはほぼ同時だった。
『BLAH BLAH BLAH』もいいアルバムだったとはいえ、IGGY AND THE STOOGESの『RAW POWER』(73年)にぶっ飛ばされていた俺は、ソロでもガツンとくるR&R聴けないかなあ、と思っていた。
2年後にこの『INSTINCT』が出て、ぶっ飛んだ。
「THE STOOGESの再来じゃあああ!」…改めて聴いてみるとそんなことはまったくないんだけど(笑)、当時の俺はイギーがリアルタイムでこんなハードな音のアルバムを作ってくれたことに、とにかく大興奮だったのだ。
プロデュースはなんとビル・ラズウェル。
『INSTINCT』を聴くと、それ以前の1986年にビルがプロデュースした2枚のアルバム…PUBLIC IMAGE LIMITEDの『ALBUM』とMOTORHEADの『ORGASMATRON』は、このアルバムをプロデュースするための習作だったんじゃないか、なんて思ってしまったりする。
音楽性自体はそれぞれだけど、『ALBUM』『ORGASMATRON』そして『INSTINCT』は、ビルがプロデュースした兄弟みたいなアルバムだなあと、今でも思う。
参加メンバーは元SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ(ギター)、元MADNESSのシーマス・ビーゲン(キーボード)、元THE SIDEWINDERS他のリー・フォックス(ベース:現BLONDIE)、元THE PSYCHEDELIC FURSのポール・ガリスト(ドラム)…という、なんだか無茶苦茶にも思えるメンツ。
スティーヴのハードでよく歌う、必要以上に上手過ぎないギターを中心に、ハード・エッジなR&Rが展開する。
「Easy Rider」のシンプル極まりないギター・ソロなんて、実にカッコいい。
シーマスも随所でイイ仕事をしている。
疾走感溢れる曲、タメのある曲、「Lowdown」みたいな男泣きナンバー…楽曲はヴァラエティに富んでいて、イギー・ポップのヴォーカルもあくまでソロ作の基調を成すあの低めの声。
THE STOOGESの再来なんかじゃない、あくまでイギーのソロだ。
十分にカッコいい、それでいい。
このアルバムが出た翌1989年1月、イギー・ポップは来日し、俺も中野サンプラザの後ろの方で観た。
興奮したなー。
ギタリストはスティーヴ・ジョーンズの代わりに元HANOI ROCKSのアンディ・マッコイが参加していて、これまたカッコよかったのだが…その後インタヴューで「イギー/THE STOOGESが好きだったのはマイケル・モンローで、俺は別に」みたいな発言を読んで、今でもアンディの写真を見ると頭の上にでっかい“?”マークが浮かんでしまう俺なのであった。
(2023.3.27.全面改訂)
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