THE DAMNED。メンバーチェンジ・解散・再結成・またメンバーチェンジ・解散・またまた再結成(以下延々と繰り返す)…しかしDAMNEDは演奏を続ける。SEX PISTOLSもTHE CLASHもTHE JAMももういないが、DAMNEDはとりあえずそこにいて、時々ツアーして、たまにはアルバムも出して。そしてデイヴ・ヴァニアン(ヴォーカル)は歌い続ける。
“パンクの申し子ではなく、R&Rの申し子”…THE DAMNEDをそんな風に評していたのは、あのメロディック・パンク専門レーベルsnuffy smile主宰・栄森陽一氏だった。まだsnuffy smileを始める前、氏がテイチクのレーベル“SHAKIN’ STREET”でLEATHERFACEやSNUFFをリリースしていた時代の話だ。
実際、DAMNEDというバンドをいわゆるパンク的なアティテュードや主義主張という側面から語るのは難しい、というか無理だ。デビューの瞬間からあまりにも特異なスピード感に貫かれたバンドだったが、そのスピードで歌われていた「New Rose」や「Love Song」といった代表曲の幾つかは、かなりシンプルな(文字通りの)ラヴ・ソングだったり。もちろんいかにも英国人らしい皮肉や反骨精神を感じさせる歌も多くあったとはいえ、DAMNEDには基本的に、SEX PISTOLSのようなダダイスティックなそぶりもなく(いや、あるにはあるけど)、THE CLASHのようにレベル・ミュージックを貫く姿勢もなく、THE STRANGLERSのような(というかジャン・ジャック・バーネルのような)文学性と暴力性をないまぜにした不穏なたたずまいもない。ヴォーカリストとベーシストはコスプレ(笑)。そのベーシスト、キャプテン・センシブルはその後ギターに転じ、ギタリストになってもやっぱりコスプレ(笑)。
ブライアン・ジェイムズ(ギター)在籍時(1976~78年)の初期THE DAMNEDは、もの凄くカッコいいR&Rをもの凄いスピードで演っていたR&Rバンドだったと思うし、キャプテン・センシブルがギターを弾いていた時期(78~82年)のDAMNEDは、とてもよく出来たポップ・ソングをやっぱりハイスピードで演っていたR&Rバンドだったと思う。そしてMCA時代(80年代半ば)のDAMNEDは、サイケデリックとゴシックをニュー・ウェイヴ的に再構築したR&Rバンドだったと思う。そしてそれ以降も…そんな彼らの音楽がパンクかどうかは、メンバーにとってはけっこうどうでも良かったんじゃないか、とさえ思えてくる。まったく、“R&Rの申し子”とはズバリな一言だったと思う。
そして、在籍した(あるいは在籍する)ほとんどのメンバーの存在を超えて一人歩きする、THE DAMNEDというバンドそのものの存在。ほとんど一人で曲を書いていたブライアン・ジェイムズがいなくなってもDAMNEDは続き、そのレパートリーはやっぱりDAMNEDそのものだった。新たな作曲面の柱となったキャプテン・センシブルがいなくなって、デイヴ・ヴァニアンがヒラヒラフリフリの王子様スタイルになっても、やっぱりDAMNEDはDAMNEDだった。
メンバーが「Final Damnationですよ、解散ですよ…」とか言って、みんなが「ああそうですか…」と言っても、気が付けば(笑)やっぱりDAMNEDは存在し続ける。1995年のアルバム『NOT OF THIS EARTH』に至っては、ギターが元GODFATHERSのクリス・ドリモアと元MANIACSのアラン・リー・ショウ、ベースが元NEW MODEL ARMYのムース、更にハモンド・オルガンが元PRISONERSのジェイムズ・テイラー(っていうかアシッド・ジャズの立役者ですね)…曲は大体ラット・スキャビーズ(ドラム)が書いていて、歌詞はほとんどアランが書いている。最早何がどうDAMNEDなのかよくわからん状態になっているが、それでも出てくる音はDAMNEDの音だった。そしてDAMNEDというバンド名の法的な権利を持っていたはずのラットがいなくなって、いつの間にかキャプテンが復活して、デイヴの奥さんがベース弾いて…それでもやっぱりDAMNEDはDAMNEDなのだった。
そうなると…まあ、今更改めて言うまでもないことかもしれないが、重要なのはデイヴ・ヴァニアン、ということになるだろう。ブライアン・ジェイムズが在籍したのは最初の数年だけ、キャプテン・センシブルがいない時もあったし、ラット・スキャビーズがいない時もあった。しかし当然というかなんというか、デイヴのいないTHE DAMNEDというのは、やはり考えられない。どの時期のDAMNEDも等しくDAMNEDに聴こえるというのは、なんといってもデイヴのヴォーカルによるところが非常に大きいのだ。
『NOT OF THIS EARTH』のタイトル曲は、改めて聴いてみるとなんだかDEEP PURPLEがボ・ディドリー・ビートでカウ・パンク演ろうとして失敗した、みたいに聴こえる(?)曲だが、デイヴのヴォーカルが入るとやっぱりDAMNEDそのものだ。DAMNEDといえばいつでも気持ちいいスピード感、それは彼ら一流だが、実は1stアルバムから妙にスローな曲も常に演り続けていた。それを支えていたのもまた、他ならぬデイヴのヴォーカルの表現力。そしてその表現力は磨かれ続ける。近年どうもエルヴィス化が進行してるのは気になるが(苦笑)。
ともあれ、デイヴ・ヴァニアンは今日も歌い続ける、多分。なんか、いつの間にやら30年経っている…。
(2023.1.4.改訂)
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