MC5は1971年に3rdアルバム『HIGH TIME』をリリースして、72年に解散。それから5年も経ってようやくリリースされた、ウェイン・クレイマー(ギター、ヴォーカル)の初ソロ作品。
しかしこの7inchがリリースされた時、ウェインは刑務所の中だった。
リリースは1977年だが、録音は74年。
ジャケットにクレジットはないが、メンバーはウェイン・クレイマーの他に、ティム・シェフ(ベース)とメルヴィン・デイヴィス(ドラム)…のトリオ、だったはず。
メルヴィンは60年代からデトロイトのソウル・シーンで活躍していたドラマーにしてシンガーでもあり、スモーキー・ロビンソンのバックとかもやっていた人らしい。
バンド解散以降もとりあえずMC5の名を受け継いでいたらしいウェイン・クレイマーは、その後1975年にコカイン売買の罪で逮捕・収監されてしまっていたが、それ以前にこの録音を残していた。
B面曲「Get Some」は元THE DEVIANTSのミック・ファレン(このブログではお馴染み)との共作曲。
ミックがこの録音テープを所有していたため、ウェインの出所後に備えたベネフィットとして、リリースが実現出来たのでありました。
このリリースのためにチズウィックとスティッフが合体してわざわざ“スティッフウィック”というレーベル名義を立ち上げている。
リリースは限定1万枚で、俺の手元にあるのはシリアル4139番。
A面はMC5の1stアルバム冒頭を飾った、あまりにも有名な「Ramblin' Rose」のスタジオ再録音。
当然ながら、60年代のハチャメチャなパワーは、ない。
MC5で演ってたこの曲での、ウェイン・クレイマーの強烈にしてデタラメな裏声ヴォーカルにはワケもわからずぶっ飛ばされたが、ここではいっそ微笑ましい。
演奏自体もけっこうユルめで、しかしコレはコレでパブ・ロック的な感覚が出ていてイイんじゃないかと思う。
ピアノが入ってることもライトな感覚につながっているような。
このピアノは多分、後で重ねたんだろうけど。
これまたクレジットはないものの、多分その後渡英したウェインのバックも務める、ポール・キャラック(元ACE~SQUEEZE他。後にMIKE & THE MECHANICS)だろう。
「Ramblin' Rose」での裏声ヴォーカルは、このあとも80年代初頭のGANG WAR(言わずと知れたジョニー・サンダースとの双頭バンド)まで聴くことが出来るが。
その後はしんどくなったのか(?)、1984年録音のTHE DEVIANTS名義のライヴ盤『HUMAN GARBAGE』では思いっきり地声で歌ってたな。
余談ながらこの時のライヴ、DEVIANTS名義ながらギタリストはウェイン・クレイマーとラリー・ウォリス(PINK FAIRIES)の豪華ツイン・ギター体制。
演奏はヨレヨレだけど(笑)。
ともあれこの7inchの売り上げで、出所後のウェイン・クレイマーは路頭に迷うことなく。
1978年にはTHE DEVIANTS/PINK FAIRIES周辺の人たちに温かく迎えられて、ロンドンで元祖パンクとしてブイブイいわすことになるのでした。
(2023.5.31.改訂)
この記事へのコメント