ASHRA/BLACKOUTS(1978)

画像ジャーマン・ロックに興味を持ったはよかったが、レコード屋に行っても売ってないし、たまに見かけてもとんでもない値段だし、そもそも1ヵ月に中古盤1枚しか買えないくらい金がない…という状況だった80年代後半。
(比較的)安く売ってるやつに次々手を出した。
GURU GURUの『TANGO FANGO』とか。
AMON DUUL Ⅱの『HIJACK』とか。
いずれも「なんじゃこりゃ」となった。
(俺が「なんじゃこりゃ」というのは肯定的な意味の場合が多いけど、この場合は思いっきり否定的な意味で)

コレも、そんな頃に手に入れた1枚。
以前に書いた、HENRY COWを800円で売ってた、南郷7丁目の「文教堂書店」でかなり安く買ったんだったと思う。

その頃は70年代のジャーマン・ロックに対して、グッチャグチャで狂った音楽、というイメージを勝手に持ち続けていた。
マニュエル・ゲッチング関連で最初に買ったのは、ASH RA TEMPEL『SEVEN UP』(1972年)の再発盤。
予想通り、かなりぐっちゃぐちゃだった(笑)。
次に買ったのがこの『BLACKOUTS』だった。
コレは、(悪い意味の方の)「なんじゃこりゃ」となった。

「なんじゃこりゃ」と思った『TANGO FANGO』が10年もしないうちに愛聴盤に化けたのと同様、『BLACKOUTS』も今ではただただ気持ちよく聴ける。
裏ジャケに“This record should be heard comfortably”と書いてある、まさにその通りに。

前作『NEW AGE OF EARTH』(1976年)は一応ASH RA TEMPEL名義でのリリース(すぐにASHRA名義で再リリースしてるからややこしいが)だったので、この『BLACKOUTS』は(これまた一応)ASHRA名義での1枚目ということになるか。
かつての盟友、ハルトムート・エンケ(ベース)は生きながらにして彼岸へと去り。
シークェンサーとキーボードとギターをマニュエル・ゲッチングが全部一人で重ねてる。
シークェンサーというか、単にリズムボックスと言った方がいいヘッポコな機材だったに違いないんだが、78年の作品とはにわかに信じられないようなセンスのいい多重録音。
重力から解き放たれるようなギター・サウンドがひたすら気持ちよく鳴り響く。
ASH RA TEMPELの1stアルバム(のA面)で爆裂ハード・ロックを演ってた人と同一人物とは思えん。

『NEW AGE OF EARTH』以降のASHRAは、アルバム毎に多少の違いはあるけど、ベーシックな音楽性にはまったくブレがない。
いや、ASH RA TEMPELの『INVENTIONS FOR ELECTRIC GUITAR』(1975年)以降というべきか。
ミニマルにしてダイナミック。
『BLACKOUTS』を初めて聴いたとき「なんじゃこりゃ」と思った俺も、やがて大好きになって、来日も観に行ったな。

それにしても、このジャケットはひどいと思う(苦笑)。


(2023.7.5.改訂)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック