DAVID PEEL INTERVIEW 2003(後編)

DAVID PEEL POPE SMOKES DOPE.jpg …はい、恐怖の大魔王デイヴィッド・ピールのインタヴュー、以下が後編です。ますます飛ばす、というか話がトぶというか、ホントに何なんでしょうこのおっさん。もっとも、本人的にはブレのないひとつのことを言ってるだけなんだろう。ともあれお楽しみください。





―(話を戻そうとする)アップルからのアルバムは発禁でほとんど出回らなかったワケですが、そのこともあって自分でオレンジ・レコーズを興したんですか?
「アップルからのレコードは、知ってのとおり発禁になった。アメリカやカナダでは出たんだが、すぐに検閲にひっかかった。それは当時のジョン・レノン、オノ・ヨーコ同様、(権力側からの)イジメに遭ってたようなものだ。俺はアンダーグラウンドの人間だが、俺と組むことによってジョンの行動も非常にラディカルなものになった。その中でジョンは殺されてしまったけれど、俺とヨーコは生きている。3人の音楽は生き続けていて、今回のBOXセットにもちゃんと入っているってワケだ。俺はいかなるレコード・レーベルも信用しない。誰かの音楽を他人が所有するってことがそもそも間違ってる。マイケル・ジャクソンがTHE BEATLESの権利を持ってるみたいに。あの犯罪者は、死ぬべきだ(と言って、「We Are The World」の替え歌を歌い出す)。あのピーターパン野郎の、ミッキーマウス、いやモンキーマウスが! 牢屋にぶち込まれるか、いっそ自殺してもらいたいな。そうすれば許してやろう。それがパンク・ロックだ。いつか審判が下されるだろう。パンクの対極にいる奴だな。ブラックジャックでぶん殴ってやれ!」
―(苦笑)ジョン・レノンの…。
「(遮って)レーベルの話をもう少しさせてくれ!」
―ど、どうぞ。
「Apple To The Core。俺のレーベルの趣旨として、誰も人の音楽を所有しない、ということがある。たとえば制作費をつぎ込んで誰かのレコードを出したりするが、その音楽の権利を所有しようとは思わない。GGアリンにしても、版権は彼に持たせていた。そこをしっかりすることで、インディペンデントであることの自由さを保つことが出来る。その中で、誰もが自由に発言して、新聞みたいに情報を発信する。その媒体が、オレンジ・レコーズなんだ。パンクといえばSEX PISTOLS。パンクにおいて重要な存在だ。西海岸のラジオ局の番組で、ジョニー・ロットンにインタヴューされた。奴は「自分はデイヴィッド・ピールの音楽を聴いて育った」と言った。「Anarchy In The U.K.」「God Save The Queen」「Pretty Vacant」「EMI」…そしてPILに至るまで、完璧でなくても、自分らしさがあればいいんだ。パンクというのは、システムに反抗する気持ちが大事なんであって、自分自身を表現するのがパンクなんだ。ジョニー・ロットンは俺に言った。「君は花をちりばめた、いわゆるヒッピーではないね。拳と拳銃を持ったヒッピーだ」と。アナーキー・イン・ザUK。アナーキー・イン・ザUSA。世界中にパンクがいるんだ。…エルヴィスとBEATLESの影響が重要だ。俺に言わせれば、RAMONESはカッチリし過ぎてる(「We’re Happy Family」を歌い出す)。そこに“ヨゴレ”とか、そういったものがない。(RAMONESは)BEATLES風の髪型が良くなかったな。SEX PISTOLSはその逆で、ああいう自己表現は…ジョニー・ロットンの中に、ジョン・レノンに次いで共感出来るアルター・エゴを俺は見つけたね。MC5についてもそうだ。凄いパンク・ロックだったし、パンクとは何かといえば、音楽性であれ生き方であれアナーキーであること、システムに組み込まれることを拒絶するのがパンクというもんだ。その中にいろいろな表現があって、ドラッグやったりとかタトゥー入れたりとかいろいろあるだろうが、そこで唯一線を引かなければいけないのが、自虐的になることだ。自虐的になるのは、アル・カーイダの連中がアラーのためにとか自分の国のためにとか言って自爆テロをするのが美しいとか勘違いしてるのと一緒で、間違ってる!…(時計を見ながら)時計があるから時間は大丈夫だ!(笑)」

―『KING OF PUNK』というアルバムの中では、PISTOLSやRAMONESを含むいろいろなバンドのことを“Fuck”と言ってるんですけれども、必ずしもそのバンドのことを嫌いだったというワケではないんですね?
「RAMONES!…RAMONESはダニー・フィールズに見出された。MC5もダニー・フィールズに見出された。イギー・ポップもダニー・フィールズに、このデイヴィッド・ピールもダニー・フィールズに見出された。あとニコも。ニコ、DAVID PEEL & THE LOWER EAST SIDE、MC5、IGGY AND THE STOOGES、そしてRAMONES。RAMONESはフィル・スペクターと組んでたな。それはパンクと言えるのか?…まあイイ部分もあったが、ちょっと作り過ぎている部分の方が多かったような気がするな。(再び「We’re The Happy Family」を歌い出す)ちょっときっちりし過ぎてると思う。パティ・スミスは今ニューヨークの5番街に住んでるんだぜ! 彼女がパンク・ロック・レヴォリューションの中で何をしたっていうんだ? 「CBGB's」で演ってたからってそれがどうした? NEW YORK DOLLS? デイヴィッド・ジョハンセンは今じゃバスター・ポインデクスターって…名前変えてどうするんだ?…みんなイイ奴だったし、才能のあるいいバンドばかりだが、イイ部分と悪い部分があって、悪い部分を指摘したまでだ。パティ・スミスはBLUE OYSTER CULTのギタリストと一緒に住んでたんだよなあ?」
―キーボード・プレイヤーですよ。
「ポール・マッカートニーにも一緒にやろうって誘われたことがあるんだが、「いや、俺はショウビズはいいから」って言って断っちまった。元BEATLESからの誘いも断る、それこそパンクだろう(笑)。ポール・マッカートニーといえばBEATLESでも最も有名なメンバーだが…ロンドンの「ハロッズ」の前で、ポール・マッカートニーがタクシーに乗ったジョニー・ロットンを見かけたんだ。それで彼はタクシーに近づいてあいさつしようと思ったら、ジョニーはタクシーの窓を閉めて、運転手に「大至急発進してくれ」と言ったそうだ(笑)。これがRAMONESだったら喜んだんじゃないか?…つまりポール・マッカートニーはパンクの追っかけに過ぎないってことさ(笑)。タクシーの運転手はジョニー・ロットンに言ったそうだ。「BEATLESから逃げる奴なんて初めて見たぞ」ってな(笑)。マイケル・ジャクソンも捕まったし、フィル・スペクターも女優を殺して捕まったな。ポール・マッカートニーにはThank YouでもNo Thank Youでもある。ジョニー・ロットンはもうSEX PISTOLSのアルバムを作るつもりはない。その潔さ、それこそがパンクなんだ。…もうそろそろ時間だな。最後の質問に答えよう。あと、BOXセットの話もしたいな」

―…すべてにおいて不寛容になりつつある今の世の中で、音楽によって異議申し立てをして、変革していくことは今でも可能だと思っていますか?
「(質問を聞かないうちに)パンク・ロックというのはひとつの生き方だ。特に若い連中にとっての表現方法。拳銃を持ったりせずに音楽で自分たちを表現することで、システムには同調しない、自分たちは違うことをやっていくんだ、ということを伝えられる音楽であり、生き方であり、そういう生き方をしっかり提示していけるモノ、それがパンク・ロックなんだ」
―今ので半分くらい答えになってるなあ。…じゃあちょっと内容を変えましょう。…そのパンクすら、今では変革を歌うものではなくなっている現状の中で…。
「(また勝手にしゃべりだす)」
―ちょっと待って!(苦笑)…という現状の中で、音楽が実際に社会に異議申し立てをしたり、変革していくパワーがあると今でも思いますか?
「だが今回日本に来て、日本のパンク・バンドを見てみると、なんだか凄くアンダーグラウンドな感じで、自分たちなりの表現をして、何かを変えていこうという心意気を凄く感じて、面白いと思ったよ。特に東京は人がたくさんいて、抑圧されているところで、多分若い連中は自由を求めて音楽に表現の場を求めているように感じたな。パンク・ロックというのはよりディープなR&Rだ。Punk Rock Forever, Forever Punk Rock。そして俺こそがKing Of Punkだ! …ちょっとBOXセットのことについて触れておきたい。キャプテン・トリップ・レコーズが今回のBOXセットを出してくれたことには非常に感謝している。彼らは好きなことをやって、結果を出している。実に素晴らしいことだ。そこに根付いているのがインディペンデントということで、それぞれが自分らしく、自分の好きなことをやって、その中で最善の方法で仕事をどんどんやって行ってる、そんな連中と一緒に仕事が出来たのは嬉しかったよ。俺はMC5の二人のリード・ギタリストを知っているが、キャプテン・トリップはBLUE CHEERと仕事をしていた。BLUE CHEERこそはラウド・ミュージックの元祖だ。MC5もBLUE CHEERの影響を受けていた。今回、松谷健とジョニー・サンシャインという、共にジミ・ヘンドリックスの影響を受けた二人のギタリストが、ステレオ状態でもの凄くラウドなギターを弾いてくれている。MC5みたいなハード・ロック・サウンドだ。R&Rはインディペンデントなモノだ。ジョニー・サンシャインはそれを貫いている。MARBLE SHEEPも、LOWER EAST SIDEもな。「ポケモン」にもメッセージがある。主人公の少年が戦おうとするところにしっかりした理念があって、非常にメッセージ性がある」


…以下、ポケモンとシンプソンズの話が延々と続いたのだった。


(2023.1.9.改訂)

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