(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_758.html)
ここに新たなドキュメンタリーが。
『スター・ウォーズ』絡みと言っても、けっこう異色だ。
1976年、イギリスのエルストリー・スタジオに集められた人たち…『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に登場する、素顔の出ないキャラクターの“中の人”や、一瞬しか出てこないようなエキストラの人たちに焦点を当てた映画。
そんなの面白いのか?…というと、コレがなかなかに面白い。
地味な一作ではあるんだけど。
ダース・ベイダー役のデイヴィッド・プラウズや、ボバ・フェット役のジェレミー・ブロックみたいな、それなりに(って、ダース・ベイダーは“それなりに”じゃ済まないけど)存在を示した役を演じた人(もちろん顔は出てない)から、顔こそ出てるけど役名も付かなかったようなエキストラの人まで、10人の『スターウォーズ』以前と以後を捉える。
10人が登場するシーンが無作為な感じでしょっちゅう切り替わるんで、観ているうちに誰が何の人だったかわかんなくなってくるのがちょっとアレだが(笑)。
デイヴィッド・プラウズって、『時計じかけのオレンジ』の“ムキムキマン”の役だったのかー。
コレはちょっと驚いた。
あと、“マサッシ・テンプル・ガード”の役をやった端役俳優(と言ってイイだろう)デレック・ライオンズが、今では小太りのおっちゃんにしか見えないのに、実は格闘技の達人でキレッキレのハイキックを見せたり。
登場人物の大半が世界各地で開かれている『スター・ウォーズ』のコンヴェンションに参加して、そこでファンにサインしたりしてるんだけど。
“ゴールド・リーダー”の役を演じたアンガス・マッキネスが、役名もなかったエキストラがコンヴェンションに出ていることに違和感を表明している一方で、その“役名もなかったエキストラ”だったジョン・チャップマン(反乱軍パイロットの役で一瞬だけ画面に登場する)の話がめっぽう面白かったり。
“シェイクスピア俳優”だったポール・ブレイクのキャリアの頂点が、どうやら顔が一切出ない“グリード”役だったらしいとか。
“リーサブ・サーリン”役のパム・ローズが60年代には『READY STEADY GO』で踊ってたとか。
あんまり説明するとネタバレになっちゃうな…。
ともあれ、大なり小なり『スター・ウォーズ』に関わった人たちが、その出来事の大きさとマスクの下に隠れた自分自身(あるいは『スター・ウォーズ』以後の人生)との間で少なからず葛藤したであろう様子も、カメラは映し出す。
自身の声で演技したにも関わらず台詞を吹き替えられてしまったデイヴィッド・プラウズは、ダース・ベイダー役について「キャラクターを演じたに過ぎない、自分自身とは関係ない」みたいなことを言いながら、現在の主たる収入源は『スター・ウォーズ』のコンヴェンションだったりする…。
90分と尺も短めで、さっきも言った通りわりと地味な映画だと思うんだが。
しかし、深い。
この映画が描こうとしているのは『スター・ウォーズ』撮影の内幕とかじゃなくて、10人の人生。
初期の『スター・ウォーズ』ファンならより楽しめると思うけど、そうじゃない人にもお勧めです。
『エルストリー1976』、12月17日(土)より、新宿武蔵野館他で公開。
(c)ELSTREE 1976 LIMITED.2015
(2024.12.13.改訂)
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