QUICKSILVER MESSENGER SERVICE/SOLID SILVER(1975)

画像メンバー交代を重ねた末、1973年に解散したQUICKSILVER MESSENGER SERVICEだったが。
その73年にリリースされたベスト盤『ANTHOLOGY』がなかなか好評だったらしく。
75年には早くも再結成され。
再結成アルバムがコレ。
通算8作目。

ジャケットの上の方には誇らしげに“The Original”と書いてあるが。
実際には、結成当初の“オリジナル・メンバー”というワケじゃない。
ディノ・ヴァレンティ(ヴォーカル、ギター)、ジョン・シポリナ(ギター、ヴォーカル)、ゲイリー・ダンカン(ギター、ヴォーカル)、デイヴィッド・フライバーグ(ベース、ヴォーカル)、グレッグ・エルモア(ドラム)の5人…レコード・デビュー当時の4人+オリジナル・メンバーでありながらレコード・デビュー時にはいなかったディノという布陣。
ニッキー・ホプキンス(ピアノ)も2曲で華を添えている。
華を添えると言えば、半数の曲でコーラスを担当しているキャシー・マクドナルドの存在も大きいと思う。

グレッグ・エルモアのドラムから、勢いよく「Gypsy Lights」が始まる。
アルバム毎、時期毎にけっこう方向性の違っていたこのバンドだが、このアルバムでは解散前のアルバムで聴けた比較的ストレートなブルーズ・ベースのR&Rを基調としながら、そこに解散時にはいなかったジョン・シポリナとデイヴィッド・フライバーグのエッセンスを加えたとでもいうか。
もちろん、フォーク・ロックとR&Bの間を行き来するようなディノ・ヴァレンティの魅力も十分に。

ディノ・ヴァレンティ参加(というか復帰)以前の初期はリード・ヴォーカルをとることも多かったデイヴィッド・フライバーグは、このアルバムでは1曲しか歌っていないんだけど、ファンキーなベースは流石というか。
(1曲だけ歌う「I Heard You Singing」のヴォーカルがまた凄くイイ)

そして、やはりというかジョン・シポリナ。
初期のアルバムほどではないとはいえ、金属的に伸びるギター・サウンドを随所で聴かせる。
シポリナが最も活躍しているのは「Flames」だろうか。
この曲でのシポリナのクレジットは“リード、ドローン&フィードバック・ギター”となっていて、その特徴的なギターを存分に披露。
ゲイリー・ダンカンとは曲によりリード&リズムだったりツイン・リードだったりと、その絡みも魅力的。
派手なアルバムではないが、演奏はタイトル通り実にソリッド。

一方で、この時点で再結成したバンドが一枚岩としてまとまっていたのかどうかは少々疑わしい。
ジョン・シポリナが弾いていない曲が2曲あったり、デイヴィッド・フライバーグが弾いていない曲が3曲あったり。
(「Flames」ではシポリナの弟、マリオがベースを弾いている。もちろんHUEY LEWIS & THE NEWSの人ね)
アルバムは全米チャートの89位と、解散前の2作よりかは売れたものの、メンバーの思っていたようなヒットではなかったのか、結局再結成はこの1枚でポシャってしまうのだった。

ちなみにライバル(?)だったJEFFERSON AIRPLANEはQUICKSILVER MESSENGER SERVICE再結成の前年にはJEFFERSON STARSHIPに移行し、『SOLID SILVER』がリリースされた1975年にはマーティ・バリン(ヴォーカル)が復帰してのアルバム『RED OCTOPUS』で全米1位を獲得している。
一方のQUICKSILVER MESSENGER SERVICEは、80年代半ばにゲイリー・ダンカンがQUICKSILVER名義で復活させるまで、約10年間凍結されることに。


(2024.12.18.改訂)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック