90年代半ば、トゥインクとポール・ルドルフの二人だけで復活してしまったPINK FAIRIES、『KILL'EM AND EAT'EM』(1987年)以来19年ぶりの“PINK FAIRIESのオリジナル・アルバム”。コレがリリースされた時は本当にびっくりした。
PINK FAIRIESがいきなり復活したのにもびっくりしたし、メンバーが二人だけだったのにもびっくりしたし、内容にもびっくりした。
レコーディングはポール・ルドルフが住んでいるカナダのヴァンクーヴァーで行なわれている。
クレジットはないんだけど、トゥインクがドラムとヴォーカル、ポールがギターとベースとヴォーカルを担当し、二人のどちらか(または両方)がキーボードと打ち込みをやっていると思われる。
なんとも言えんジャケットのイラストは、1995年にトゥインクと連名でアルバムを出していたギタリスト“マウス”ことピーター・プラコウニックによるモノ。
アルバムは前半と後半がそれぞれ“MATEY HO(THE PLEASURE)”“JIM LAD(THE ISLAND)”と名付けられた2部構成になっていて。
1曲目「As Above So Below」はポール・ルドルフのギターが唸りを上げる、それなりにハードな1曲。
楽曲自体(トゥインクのヴォーカルも)はPINK FAIRIESらしいと言えなくもないんだけど、打ち込みと生ドラムを併用していると思われる縦割りビートに違和感。
しかしこんなもんでは済まないのだった。
2曲目「Eccleston Chambers」はシンセをフィーチュアした乱暴なエレポップみたいな曲で、「こ、コレがPINK FAIRIES?」となる。
そして1曲目によく似たギターのイントロから始まる「We Run We Hide」でポールが力の抜けた歌を聴かせ。
更にシンセのチープなオーケストレーションに乗せて007のテーマ曲みたいなギター・リフが登場する「The Man With The Golden Gun」。
ここまでが前編。
後編。
「Jungle Drums」はタイトル通り、ほとんどトゥインクのトライバルなドラムだけが鳴らされる2分弱のインストゥルメンタル。
ハイライトはラストの「Cargoe In Jamaica」。
生ドラムと打ち込みを重ねたトライバルなバックトラックに乗せて、ポール・ルドルフがギターを弾きまくる。
トゥインクのふわふわしたヴォイスが時々挿入されるんだけど、ほぼインストゥルメンタルと言って差し支えない。
で、コレが実に31分続くのだった!
打ち込み+生ドラムにギター…というとASHRAみたいだが、実際パンク版ASHRAみたいな曲。
あるいはもの凄く荒々しい『E2-E4』というか。
5曲目まで頭の上に“?”が何個も浮かんだ状態で聴いていたのが、この1曲である程度モトをとった気になる(笑)。
それだけカッコいい曲ではあります。
多分、当時のトゥインクとポール・ルドルフなりに同時代のコンテンポラリーな音楽を創造しようと試みたに違いない。
それが成功しているかというとかなり微妙だけど(苦笑)。
まあユニークではあると思うし、PINK FAIRIES/トゥインクのファンならアリじゃないだろうか。
PINK FAIRIES初めて聴く人にこのアルバムから勧めることは絶対ないが(笑)。
ってか、残るオリジナル・メンバー、ダンカン・サンダーソンとラッセル・ハンターはどう思ったかねコレ…。
翌1997年には同路線でアルバム『NO PICTURE』をリリース。
しかし“二人PINK FAIRIES”はそれ以上続かず。
その後も折に触れてPINK FAIRIES名義は復活し、ライヴをやったり単発の録音はあったりしたものの、オリジナル・アルバムは20年近く出ていない…。
追記:
その後再びポール・ルドルフ主導のPINK FAIRIESがアルバムを出すとか、この時点では想像もしなかったな。
トゥインクはソロをやっている。
(2024.12.18.)
この記事へのコメント