映画『A FAT WRECK:ア・ファット・レック』

画像いわゆる“メロコア”を代表するレーベル、ファット・レック・コーズの25年間を追ったドキュメンタリー映画。

以前にも書いたが、メロコアでは個人的にはBAD RELIGIONが好きで、NOFXはあんまり。
なので、我が家のCD棚にはファット・レックの作品は数えるほどしかない。
しかし、キャラ立ちまくりのファット・マイクと愉快な仲間たちの物語は文句なしに面白かった。

ファット・マイクがNOFXで活動しながら、(当時の)妻・エリンと自身のレーベルを立ち上げ。
NOFX以外にもマイクが気に入ったバンドをリリースして行くうちに、レーベルはどんどん成長し。
一時は年に100万枚以上のセールスを記録するほど大きくなり。
しかし00年代以降は縮小を余儀なくされ。
マイクとエリンも離婚し。
…といったあれこれが、マイクやエリン、所属バンドのメンバーのインタヴューを挟みながらほぼ時系列で語られる。
登場するバンドはLAGWAGON、NO USE FOR A NAME、PROPAGANDHI、STRUNG OUT、FACE TO FACE、GOOD RIDDANCE、LESS THAN JAKE、SWINGIN UTTERS、Hi-STANDARDetc.…とオールスターの趣。

何より、所属バンドのメンバーたちが異口同音にレーベルの居心地の良さを語り、家族的な結束を強調する。
ちゃらんぽらんそうに見える(?)ファット・マイクが、バンド連中に誠実に向き合いつつ本音で付き合ってきたことが窺われるエピソードの数々。
アルコールとドラッグを堂々と推奨するあたりはちょっとどうかと思うが(笑)。
(あと、初期のHi-STANDARDがチューニングをせずにステージに上がっていたことも明かされる…)
マイクとの離婚後も副社長としてレーベル運営を続け、実務面の多くを担い続けているエリンの貢献も大きくクローズアップされている。

もちろん良いことばかりは続かない。
関わってきたメンバーの幾人かはこの世を去り。
近年のCD売上減少に伴ってレーベル運営も厳しくなり。
そういった側面もきちんと描かれる。
PROPAGANDHIとの確執(?)についても、ファット・マイクとバンドの両者が包み隠さず語っている。

個人的にはファット・レックのバンドってどれも同じに聴こえちゃうんだけど(苦笑)、実際PROPAGANDHIのメンバーも同じような発言をしている。
「ファット・レックにいては個性は伸びない」とも。
一方で、ファット・レックの多くのバンドがスラッシュ・メタルの影響を受けているというのは、意外でもあり興味深くもあった。

ファット・マイクやエリンをはじめとする一部の出演者が、場面によってはマペット(画像参照)で表現されていたりするのは、なかなかユニーク。
過去の再現シーンや、マイクとPROPAGANDHIのメンバーがそれぞれ言いにくいような発言をするシーンでは、効果的に使われていると思う。
あと、登場するバンドを紹介するような場面で、そのバンドの楽曲がゲーム・ミュージック風にアレンジされているのも面白い。
そして、レーベルの25周年についてのとんでもないオチ(笑)。

いわゆるメロコアが好きな人ならマストな映画だと思うし、近年かなりの数が作られているロック・ドキュメンタリー映画の中でもレーベルに光を当てたユニークな作品として、特にNOFXやファット・レックのファンではない人も、面白く観られるのではないかと。

『A FAT WRECK:ア・ファット・レック』、2月4日(土)より渋谷HUMAXシネマにて公開。


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(2024.12.25.改訂)

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