映画『地獄愛』

画像ベルギーのアルデンヌ地方で“狂気の愛”を描くファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督の“ベルギーの闇3部作”。
2004年の『変態村』(観てないけど)に続く第2弾。
(第3弾はこれから撮るそうです)
コレがまあエグい映画なんですわ…。

モチーフになっているのは1970年の『ハネムーン・キラーズ』をはじめとして何度か映画のネタになっている、40年代に実在した連続殺人カップル、マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデス。
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督は舞台を現代のベルギーに置き換えて、陰惨な愛の極北を描き出した。

病院の霊安室で働くシングルマザーのグロリア。
映画の冒頭が霊安室で死体をゴシゴシ洗うグロリアの姿…ある意味ツカミはOKというか。
そんなグロリアは、友人マドレーヌの半ば強引な勧めで、出会い系サイトを通じてミシェルという男と会うことになる。
あまり気乗りのしなかったグロリアだったものの、レストランで会ったミシェルは長身のハンサムで、紳士的な態度ながら最初から大胆にグロリアを口説きまくる。
実はミシェルは結婚詐欺師なのだったが、一発でミシェルに恋してしまったグロリアは、早速ミシェルを“お持ち帰り”してしまう。
娘に聴こえないよう気を付けながらも、ケダモノのようにまぐわう二人。

冒頭では表情のないくたびれたおばさんだったグロリアが、ミシェルに出会った翌朝にはキラキラ輝く笑顔になっているあたり、グロリアを演じたロラ・ドゥエニャスの演技の勝利。
しかし、言葉巧みにグロリアから金を引き出したミシェルは、目的達成とばかり音信不通になってしまう。
ミシェルの写真を片手にクラブを転々として彼を探し続けるグロリアの姿。
(このへんからもうジワジワ怖い感じになってくる)
ミシェルを探し当てるのと同時に、彼が結婚詐欺師/ヒモであることを知るグロリアだったが。
しかしミシェルにイカレてしまったグロリアに、後退の二文字はないのだった。
最愛の娘をマドレーヌに預け、ミシェルと共に行くことを選んだグロリア。
ミシェルの妹を名乗り、結婚詐欺の片棒を担ぐことに。

ところがグロリア、結婚詐欺師のパートナーとしては、嫉妬心があまりにも強過ぎ。
目的遂行のためにはミシェルがカモをたらしこむ必要があるのに、それが我慢出来ない。
結局ミシェルが詐欺の相手としていたマルグリットを殺してしまう。
以後はその繰り返し。

ミシェルが詐欺の相手とあんなことやこんなことをしているのを目撃しては、その度にブチ切れるグロリア…というのがあまりにもお約束過ぎて、途中からは笑ってしまった。
(狙ってるんだろうか…)
そのくせ、グロリアがブチ切れた後に繰り返される陰惨なシーンにおぞ気。
そして、明らかにヤバい女であるグロリアを切り捨てることが出来ず、一緒に“地獄愛”の泥沼にハマっていくミシェルも、かなりイカレてる。

いわゆる“共依存”の、一番ダメダメなモデルケースが描かれている映画とも言えるかも知れない。
しかし、次々に登場する胸糞悪い描写に共感さえ覚える人も、一定数いるのではと思う。
そして、中年~高齢期に差し掛かった男女の半ば変態じみた性描写にフル勃起する人も、決して少なくないはずだ。
一方で、断ち切るようなエンディングは、ファンタジックですらある。

どう考えても万人向けではない。
しかし、間違いなく強烈な一撃。
7月1日(土)より、新宿武蔵野館で『ハネムーン・キラーズ』と共に公開。


(C)Panique/Radar Films/Savage Film/Versus Production/One Eyed-2014


(2025.1.21.改訂)

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