ジム・ジャームッシュによるTHE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESのドキュメンタリー映画。コレはもう、期待するなというのが無理なアレでしょう。
近年大量に生み出されている音楽ドキュメンタリー映画と大きく違うのは、THE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESのメンバーと、ごく少数の関係者へのインタヴューのみで作られていること。
この手の映画でお馴染みの(?)デイヴ・グロールもヘンリー・ロリンズも出てこない。
出演はイギー・ポップ(ヴォーカル)、ロン・アシュトン(ギター、ベース)、スコット・アシュトン(ドラム)、ジェイムズ・ウィリアムソン(ギター)、スティーヴ・マッケイ(サックス)、マイク・ワット(ベース)の新旧メンバーに加えて、アシュトン兄弟の妹キャシー、当時のエレクトラ・レコーズのA&Rで一時期バンドのマネージャーでもあったダニー・フィールズのみ。
メンバーたちがTHE STOOGES結成以前にやっていたTHE IGUANAS、THE PRIME MOVERS、CHOSEN FEWといったバンドについても語られる。
ブルーズのドラマーだったイギー・ポップ(ジェイムズ・オスターバーグ)が「黒人の音楽ではなく自分たち自身の音楽を演らなければ」と決意するくだりなんかは、これまでにイギーの伝記本なんかでも紹介されてきたが。
ともあれ故デイヴ・アレキサンダー(ベース)を含むTHE PSYCHEDELIC STOOGES~STOOGES誕生の経緯については丁寧に語られている。
一方で、アルバム『RAW POWER』のリリース後、バンドにライヴ活動を禁じていたメインマン事務所を離れて、ツアーを重ねながら破滅に向かって突き進んで行く1973~74年のIGGY AND THE STOOGESの話は、随分あっさり。
『RAW POWER』からすぐに『KILL CITY』に行っちゃうような印象。
『RAW POWER』制作に関するあれこれも、もっと掘り下げる余地はあったと思うし。
(ロン・アシュトンがベースにコンバートさせられたことなんかによる、諸々あったはずの軋轢も語られていない)
そのあたりは、個人的にちょっと不満。
それにしても、少ない映像や音源などの素材をそれでも掘り起こしに掘り起こしてある。
画像が粗かったり、音質が悪かったり、映像と音楽がシンクロしてなかったりという部分も多いものの、貴重な写真や映像が山盛りなのは間違いない。
アルバムの音源を使って、関係ないはずの映像を上手く組み合わせてあったりもして、かなり工夫して編集されているのはよく伝わる。
DESTROY ALL MONSTERSやSONICS RENDEZVOUS BANDなんかもちょっと登場。
あと、IGGY AND THE STOOGES時代のジェイムズ・ウィリアムソンは、どう見ても魔王だなー。
そしてそれらの映像や音や証言から浮き彫りになる、THE STOOGESの元祖パンクぶり。
一方でその無軌道さゆえ、活動が長続きするはずもなかったのだが。
もちろん2003年以降の再活動についても。
J・マスキスの貢献度が思った以上に高かったというのがわかったり。
(J本人は出演していない)
そして、8年という制作期間の間に、ロン・アシュトンもスコット・アシュトンもスティーヴ・マッケイも世を去り。
この映画の意義は、ジム・ジャームッシュの意図以上に大きくなってしまったと思う。
ともあれイギー・ポップ/THE STOOGESのファンはもちろん、パンクやロックが好きな人は必見の1作なのは間違いない。
『ギミー・デンジャー』、9月2日(土)より新宿シネマカリテにて公開。
(C)2016 Low Films Inc
追記:
そして2025年、イギー・ポップが来日する。
多分最後になるだろう。
(2025.1.24.)
この記事へのコメント
ま
大越よしはる
コレは、必見ですよ!
Shun
今から楽しみです。
大越よしはる
あと2ヵ月となりました。
コレは本当に要チェック。