D・O・T/BIRDS EYE VIEW

画像唯一無二のアラビック・ハードコア・バンドD・O・T、約3年ぶりとなる3rdアルバム。
13曲約1時間の力作。

パーソネルはNEKO(ヴォーカル)、HIROSHI(ベース)、MARU(ドラム)のコアな3人で、前作で参加していたMOMORIN(ギター:GAUZE)は今回不参加。
しかし本作ではHIROSHIがギターも担当し、更にはMARUも3曲でギターを弾いているという新機軸。

ただ、ギターも随所で効果的に用いられているものの、リード楽器として驚くほどの存在感を放っているのは何と言ってもHIROSHIのベース。
1stアルバムではヴォーカルとベースとドラムだけでアルバム1枚をちゃんと成立させていたのだから、今更驚くには当たらないのかも知れないが。
それにしても本作でのハードかつメロディアスなリード・ベースには舌を巻く。
そしてリズムを支えるMARUのタイトかつヘヴィなドラム。

MARUのギターというのも初めて聴いたけど、特にロバート・フリップ的な(?)音色で攻める「砂漠の月」でのソロは実に印象的。
というかMARUとHIROSHIのどちらがギターを弾いても、太いベースとノイジーなギターの組み合わせはあちこちでKING CRIMSONを連想させたり。
インストゥルメンタル「REBIRTH」なんかは、展開もプログレッシヴ・ロックを思わせる。

前半はいかにもハードコアらしいスピード・ナンバー中心。
後半は少しスローダウンして、ムーディーな曲やポップな曲を中心に組み立てている。
いずれにしても、歌われているのは平和への希求と前向きな人生観。
特に強烈なのは「岸壁の母(セリフ入り)」。
以前ライヴで初めて聴いた時、曲名は仮題なんだろうと思っていたんだけど、そのままのタイトルで音源化されてしまった。
二葉百合子の有名な同名曲同様、太平洋戦争後に帰らぬ息子を待ち続ける母親をモチーフとしながら、その歌詞は軍靴の響きが近付きつつあるかの如き今の世相を激しく撃つ。
歌詞もさることながら、途中で叫びに転じるNEKOの語りも鳥肌モノ。

そして速い曲でもポップな曲でも、NEKOはこれまでになく丁寧にメロディを追っている。
結果的に、楽曲にしろメロディにしろ、今までで一番多彩で幅のあるアルバムに仕上がったと思う。
一方で、歌詞は比喩やイメージに流れず、これまで以上に直截。
それだけ世相に対する危機感が高まっているということか。

しかしD・O・Tは何処までも前向き。
最後はポップな「BLUE BIRD」で締めくくられる。
青い鳥は何処か遠くに探すモノではなく、今ここにいるのだと。
それは、ここではない何処かを求めるのではなく、ここに足を着けてやって行くしかないのだという決意表明でもあり。


『BIRDS EYE VIEW』、本日リリース。
このアルバムの曲をフィーチュアしてのライヴも期待大。


(2025.1.31.改訂)

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