浅井蓮次(原作:沢田新)『バイオレンスアクション』3

画像「やわらかスピリッツ」で好評連載中、『バイオレンスアクション』の第3集。
…好評ってか、「やわらかスピリッツ」の連載作品中で、PV数がぶっちぎりのトップですってよ。
凄いね。

…で、第2集の発売直後に、原作者“沢田新”の正体が公表されている。
室井大資。
岩明均原作の『レイリ』の作画担当として絶賛連載中の室井大資その人であります。
納得した人も多かっただろう。
ところどころに挟まれるギャグのセンスとか『秋津』とそっくりだもんね。

ともあれ、第2集の巻末、トラックで突っ込んできた“巌谷(塾長)”“玲(りん)”“玲(れい)”の3人と、ケイ、だりあ、そして“みちたかくん”たちの死闘…が、第3集のメイン。
相変わらず、ゆるふわなのに鬼強い殺し屋ケイ…が走って跳んで蹴って撃って刺す。
何処かが完全に壊れている巌谷たち3人を凌駕する壊れっぷりと底の知れない何かを、あくまでなんとなく匂わせたり示唆したりするだけで、基本的には荒唐無稽さを恐れない、ポップで痛快なアクション。

室井大資(沢田新)が、わざわざ変名(&自分以外の描き手)を用いて提示しようとしている(いた)のは、何なのだろうか。
荒唐無稽さやツッコミの余地まで含めて、徹底的にエンターテインして見せようと?
そこらへんは正直よくわからんのだが。
ただ、常日頃「漫画家はサービス業」と断言している室井大資が、自分の名を伏せることで(って、もうバレちゃってるけど)自身のネームバリューや作家性からも離れたところで自身のサービス精神とエンターテインの極北を開陳しようとした試み、という気はしないでもない。
何しろ、20歳のゆるふわ巨乳専門学生殺し屋とか。
イ○カを聴いて鬼MAXな強さを発揮する(サイボーグにも殴り勝つ!)みちたかくんとか(笑)。
そもそも室井大資自身のペンでは、ケイのようなヒロインは描き得なかっただろう。
(その点で、浅井蓮次の貢献度も実に大きい)

俺がプッシュし続けている漫画家・山下ユタカは、あまりにも痛みを実感させ過ぎるリアルな暴力描写の極北を追及したが。
“バイオレンスアクション”と大上段に銘打ちながら、この漫画にはそんなリアリティはない。
それでイイのだと思う。
…ロックに例えるなら。
山下ユタカがステージで自身を傷つけて実際に血を流すイギー・ポップなのだとしたら、室井大資はロックの情念や直截な暴力性を全部廃して“空気よりも軽い”と評された、全盛期のCANなのだ、と。
(そうかあ?)

いや、この作品を理屈であれこれ言うのが一番愚かしいのだろう。
考えるな、感じろ。
そして楽しめ!
…というのが一番正しい向き合い方に違いない。


『バイオレンスアクション』第3集、12日より絶賛発売中。


(2025.2.26.改訂)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック