このブログを始めて間もない頃に、ニール・ヤングのゲフィン時代の編集盤『LUCKY THIRTEEN』を紹介したことがあったが。(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_919.html)
俺が同時代のニールの活動を一生懸命聴いていたのは、ゲフィンを離れてリプリーズに移籍してからちょっとの間、つまり90年代前半だった。
ロックのヒストリー本や名盤カタログの類に必ず載っているような昔のロッカーが、ゲフィン時代の低迷(?)からは信じられないような気合の入った作品を作ってバリバリ現役でやっているのに目を見張った。
あのSONIC YOUTHを前座に従え、PEARL JAMとはアルバムを共作し。
特に1991年のライヴ盤『WELD』は愛聴していた。
アメリカ初回盤はCD3枚組『ARC-WELD』としてリリースされ。
しかし日本では『WELD』2枚のバラ売り。
そしてディスク3と言うべき『ARC』は国内発売されなかった。
(せめて『WELD』を2枚組で出すべきだったのでは…)
そこで、輸入盤の1枚モノで購入したのがこの『ARC』。
1991年の“Weld Tour”から、曲のイントロやエンディングや曲間などに聴けるノイズを編集した全1曲35分。
キャリアのあるロッカーがノイズにアプローチしたアルバムとしては、ルー・リードの『METAL MACHINE MUSIC』(1975年)がまず挙げられるだろう。
しかしフィードバック・ノイズのみで作られた『METAL MACHINE MUSIC』とは違い、ニール・ヤングとCRAZY HORSEとのいつもの共同名義でリリースされた『ARC』には、ギターの他にベースもドラムもキーボードも、そしてヴォーカルも入っている。
(すべて断片とはいえ)
そして、後にルー自身が「冗談だった」と語ったこともあるらしい『METAL MACHINE MUSIC』に対して、『ARC』からはニールのマジな激情が伝わる。
『ARC』を制作するに際しては、サーストン・ムーアからの助言があったという。
当時“グランジの祖”と呼ばれた男が、グランジの兄貴分との会話から生み出したアルバム。
「Like A Hurricane」や「Love And Only Love」の断片が聴こえる。
唸りを上げるギターのフィードバックと、蠢くようなベース、乱打されるドラム、そして歌のかけらが、曲の輪郭をおぼろげに垣間見せるくらいのところで切り出され、次々に放り出される。
このアルバムについて、ニール・ヤングは“白人のラップ”と語ったらしい。
ほとんど意味不明だが(笑)、黒人のラップ/ヒップホップの対極に位置する白人の白人による万人のための音楽、という意識があったのではと思われ。
更にはジミ・ヘンドリックスへのオマージュや、『WELD』にも聴かれた当時の湾岸戦争に対する怒りもあったのではと。
まあ多分、音楽でもなんでもない、ただの騒音にしか聴こえない…という人の方が多いであろうことは仕方ないだろう(笑)。
しかし、ニール・ヤングのハードなコアを凝縮した1枚がコレだと、俺は思う。
ハードコアなニール。
(2025.3.10.全面改訂)
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