IGGY POP/POP SONGS(1991)

画像一般に“低迷期”と言われることの多かったアリスタ時代のイギー・ポップ。
最近ではネット上をはじめとして、再評価著しい。
俺も乗っかってみるか、とか思ったりして。
手っ取り早く編集盤で(笑)。

で、アリスタ時代のアルバム3枚から14曲を収録したのがコレ。
『NEW VALUES』(1979年)から4曲、『SOLDIER』(80年)から5曲、『PARTY』(81年)から5曲と、バランスよく収められている。

改めて聴いてみると、良い曲が多い。
『NEW VALUES』からシングル・カットされた「Five Foot One」とか、あと「The Endless Sea」とか。
『SOLDIER』の「Take Care Of Me」(グレン・マトロック作曲)とか。
『PARTY』の「Bang Bang」とか「Pleasure」とか。
(共にアイヴァン・クラール作曲。どちらもイントロから引き込まれる好ナンバー)

バッキングも豪華メンバー。
『NEW VALUES』では『KILL CITY』(1977年)同様、ジェイムズ・ウィリアムソン(ギター)とスコット・サーストン(ギター、キーボード他)の元IGGY AND THE STOOGES組が顔をそろえているし。
『SOLDIER』はアイヴァン・クラール(ギター:PATTI SMITH GROUP)、スティーヴ・ニュー(ギター:RICH KIDS)、グレン・マトロック(ベース:SEX PISTOLS~RICH KIDS)、バリー・アンドリュース(キーボード:XTC)とパンクのオールスターみたいなメンツだし。

プロデューサーも、『NEW VALUES』のジェイムズ・ウィリアムソンを除けば、実績のある一流どころがそろっている。
『SOLDIER』では当時MERTON PARKASやTHE BARRACUDASをプロデュースし、その後ロバート・プラントやルー・グラムを手がけるパット・モーラン。
(この人、SPRINGのメロトロン奏者だったのね)
『PARTY』ではTHE MONKEESで有名なトミー・ボイスと、ジョーン・ジェットからアリス・クーパーからスティーヴィー・ニックスからDEEP PURPLEからMOTORHEADまで何でもござれのトム・パヌンツィオ。
(トムは『PARTY』の頃にはエリオット・マーフィーやリンク・レイやミンク・デヴィルを手がけていたので、当時のイギー・ポップをプロデュースしたのは納得)

個人的には、それでも今ひとつパッとしない印象が拭えない(苦笑)。
全然悪くないけどね。
アリスタ時代って、何と言うか…イギー・ポップ自身とプロデューサーたちとメンバーたちの間で作品の最終的なアウトプット・イメージが共有出来てないというか、ちょっと焦点が絞れていない気がする。
暴虐R&RのIGGY AND THE STOOGESとも違う(『KILL CITY』を経て、イギーとジェイムズ・ウィリアムソンの間では了解事項があったはずなんだが…)、デイヴィッド・ボウイに引っ張られたRCA時代とも違う(この時期では『SOLDIER』収録の「Play It Safe」がボウイ作曲)…じゃあ何処に向かうのか、という。
個々の曲はイイのにアルバムとして際立った印象が強くないのは、そこのところにあるのではと。

あと、『NEW VALUES』と『SOLDIER』で叩いてるクラウス・クルーガー(TANGERINE DREAM)のドラミングは、イギー・ポップに合ってなかったと思う。
タムをストトトトンッと回す、サンダースティック(SAMSON~THUNDERSTICK)ばりの軽~いドラミング。
「Five Foot One」なんて、ドラムがクラウスじゃなくてもっと腰の据わったプレイをする人だったら、全然違ったと思うんだけど。

『SOLDIER』『PARTY』とアイヴァン・クラールが続けて関わり、バンマス的な立場で、『PARTY』の頃のバンドにはかなりの一体感があったらしいので、そのままイギー・ポップとアイヴァンの関係が保たれていたら、その後は違ったかも知れない。
しかし残念ながらイギーとアイヴァンは喧嘩別れ。
バンドに残ったもう一人のギタリストはロブ・デュプリー(MUMPS)。
前にも書いたけど、イギーの作曲パートナーを務めるには荷が重かったか。

ただ、ライヴでのイギー・ポップは、いつでも素晴らしかった。
アリスタ時代のライヴ音源や映像からは、低迷期などという言葉がまったく似つかわしくないエネルギッシュなイギーの姿が伝わる。
このテンションをもっと上手く音源に落とし込むことが出来なかったかと。
遅い曲なら遅い曲なりに、もっとどっしりした音に出来なかったのかと。

ともあれアリスタ時代のイギー・ポップの音は、RCA時代の延長線上ではなく『KILL CITY』の延長線上にあったのではと思う。
『KILL CITY』の再評価機運が強い昨今、アリスタ時代も見直されるのは当然と言える。
『IDIOT』(1977年)や『AMERICAN CAESAR』(93年)ほどの名盤じゃなくても、ファンならやっぱり見逃すワケには行かんのだった。


(2025.3.3.改訂)

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